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大好きな人の子どもを身籠って逃げたら追い掛けてきて溺愛されてます。なんで!?  作者:


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14 旅立ちの日

私、結構わかりやすく一途だったと思うのよ。

なのに、見た目こそ私にそっくりな息子だけど、関係を持った人(シルヴェスト)と同じ瞳の色をしていれば自ずと結論は一つだと思ったのに……何故?

──え、私にそんな相手他にいた?


結局口を挟める空気でもなく、私も上手く説明できる気がしなくて訂正することも出来ず、ネルガル伯爵邸に向かうことが決定した。


私の今の住まいはひとまず管理人さんに託して、最低限の荷物だけ持ってシルと私とヴェス、それとエル、ユリの二人も付いてくることになった。

私は二人にこのままここで住んでも良いよ?って言ったけど、私に仕えているのだから付いていくのは当然だと言ってきかなかった。


そこまで恩義を感じなくても……。


絶対に二人は私があの場所から連れ出さなくてもいずれ自活してどこかで活躍してたと思う。だって明らかに訳あり美人兄妹ですって空気だったし。むしろ私がしたことは余計なお世話だったんじゃないかと未だに何度も思い悩むこともあるのよ。


「ねえ、エル」

「はい。なんでしょうか、アンジェリア様」

「私、本当にこのまま帰っても良いのかしら」

「貴女がそれを望んでいるのならそれが正解ですよ」

「……でも」

「もし、望んでいないのに無理やり戻るというのなら──()()()()誰にも見つからないように連れて逃げることも出来ますよ」

「──え?」


今の、どういう意味?


「それで、嫌々戻ることにしたんですか?」

「ち、違うわよ!」

「なら、何も問題はありませんね。荷物は最小限で良いと言っていましたが、何かと入り用のものもあります。まずは荷造りに集中致しましょう。ユリはヴェスター様の荷物の準備を」

「勿論。準備は順調ですわ」


どうやら準備が一番押してるのが私の荷物らしい。

私は慌てて準備を再開した。服や靴など必要な日用品から仕事に必要な書類や印章など重要度によって分類していく。

ここに来たときはほぼ身一つで、ドレスや宝飾品とかもほぼ全て置いてきた。それでも三年もの間に色々なことがあって、また私の物はちょっとずつ増えてきた。


だけど、絶対持ち出さなくちゃいけないものはそう多くない。

仕事関連の物は重要度が高いけど、私自身のものは……子爵令嬢であった私だから持てたものは、持ち出す資格などないと思っていたから、今ここにはない。



──だから、私自身の【宝物】はこの小箱の中身だけ。


これを宝物と言っている辺り、未練ありまくりなのは明白だ。

だって、これは今までにシルから貰った贈り物なのだから。


小箱を荷物の一番奥底に仕舞って私は荷造りを終えて、明日に備えてベッドに横になった。寝られないと思っていたのに身体は疲れていたのかあっという間に眠気がきて寝てしまった。


だから、エルとの会話の違和感のことはすっかり忘れてしまったのだった。


**********


翌日、シルは伯爵家のものと思われる豪華な馬車で私達を迎えに来た。


「それでは行こうか。アンジュ、お手を」

「あ、はい。ありがとうございます、シルヴェスト様」


エスコートされるまま手を重ねれば、動きが止まりその指先をきゅっと握られドキッとした。


「……出来ればまた以前のように呼んで欲しいのだけど」

「え?ごめんなさい、今なんて?」


シルの行動に気を取られてちゃんと聞き取れず、聞き返すも寂しそうな表情を僅かに浮かべて小さく笑うだけで。


「いや、なんでもない。長旅になると思うから、休憩が必要な時や体調がすぐれなかったらすぐに言って欲しい」

「わかりました。お気遣いありがとうございます」


だから、私は釈然としないながらも馬車に乗り込んだ。

大きめの馬車の中にはシルと私とヴェスの三人だけ。

全員乗れそうな大きさだったからシルも、エルとユリのことを誘ったけれど、二人は荷物を載せたもう一つの馬車に乗るからとやんわりと断った。


──めっちゃ気まずいんだけど!!


今までは何だかんだとシルが来る時はエルかユリが立ち会っていたから二人きりになることはなかった。今も正確には二人きりではないけど、ヴェスはまだ大人の会話に交ざれるほど口達者ではない。


基本的に私は初めて出会った頃から、シルに一目惚れしているという経緯があるわけで。

目の前にいるシルヴェスト21才(美青年)は、私が逃げていた三年分、大人の色香をまとわせてより魅力的な人になっていた。目が合えば、ふわっと優しい眼差しで笑う。

私は赤面した顔を晒さないように必死に耐えた。私はその笑顔を向けられるべき相手じゃないもの!

ビジネス。ビジネスライクよ!


馬車の乗り心地はどうか、疲れていないか。私たちを気遣って色々聞いてくれる優しい人。

──ほんとこれでどうやって好きにならないでいられるというのか。



移動中、私はますますシルのこと好きになって抜け出せないのだった。


(……シルはそんなこと望んでないはずなのにね)



なかなか溺愛感なくてすみません(>_<)

元が口下手で不器用な人なので、愛し方は控えめです。

俺様ぐいぐい系だったら今頃きっと手を出してる(笑)


個人的に伯爵家に帰ってからが本番だと思ってますので、しばしお待ちくださいませ。

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