蛇足的プロローグ
Merry Christmas!
全ての人が、本当の運命の相手と出会い、素敵なクリスマスを送っていますように!
あたしはこの春から、パパの転勤で日本にやってきた。
グランマが日本にいるので、数年に一度はバカンスで日本に来ていたし、パパはよく日本語で話していたから、日本語の会話は問題無い。
ただ、読み書きはかなり苦手。
最初は転勤に反対して、一人ででもアメリカに残ると主張したけれど、今では日本に来て本当に良かったと思っている。
雨ヶ丘インターナショナルスクールに入学して、彼と出会った。
そう、あたしは、彼に出会うために、日本に戻ってきたのだ。
彼の名前は、佐々木和人。
とてもきれいな、まるで歌麿の絵のようなオリエンタルな顔立ちをしている。
一目惚れだった。フォーリンラヴ。
彼には何か悪い噂がある、と、止める同級生も居るけど、そんな事は関係無い。
彼の側にはいつも、やはりオリエンタルな顔立ちの日本人形のような女性が側に居るけれど、それも関係無い。
行動あるのみ、だ。
少しでも近付きたくて、彼の課外活動について調べてみたら、どうやら彼は「史学研究会」というものの会長をしているらしい。
あたしと同じ考えの女生徒は結構居て、何人もが入会を希望したみたいだけど、全員が「史学研究会というのは名前だけで、本当は別の活動をしているから入会させる事はできない。歴史に興味があるなら日本史研究部というのがあるからそちらに入ってください」と断られたそうだ。
もちろん、教師や理事長に抗議した子も居たけれど、この学校では史学研究会はアンタッチャブルなものらしい。
勇気を出して史学研究会の部室のドアをノックした。
入会希望だと言うと、彼は噂で聞いたものと一言一句違わない返答をしたのだけれど、女性のほうがあたしを見て「入会させよう」と言った。
あたしは結構キュートだと自分でも思う。
パパに似てしまったので、割と日本人っぽい顔をしているけれど、今まで告白された事も何度かある。
自分に恋している人は、見ればわかる。
けれど、同性愛者の友人は何人か居たけれど、自分が同性からこんな目で見られたのは初めてだ。
この女性は同性愛者なのだ。という事は、彼の恋人という訳では無さそうだ。
この際、利用できるものは何でも利用させてもらう。
女性の方に、とびきりの笑顔で自己紹介をした。
「ユリア・佐倉です。よろしくお願いします」
女性は心なしか涙ぐみながら「さくら……」と私を呼んだ。
彼のほうは、「不謹慎だよ」眉をひそめる。
よくわからないので、頬に人差し指を当てて小首を傾げると、彼女はこれでもかと言うくらいに顔を赤くして下を向いた。
そんな彼女を見て、彼は舌打ちをしながらも溜息を吐いて、あたしに入会届を差し出した。
「ここは史学研究会と名乗っているけれど、本当はオカルト研究会なんだ。お遊びじゃなく、本当に命の危険が伴う事もある。それでもいいなら、ここにサインして、保護者の方にもサインもらって来て。キミにそこまでの覚悟があるならね」
あたしはすぐにサインして、夜にパパのサインもゲットした。
その日のうちに理事長からパパに連絡があったらしくて、すごく反対されたけど、「パパなんて大嫌い! 許してくれないならあたし、今すぐ死ぬから!」と言ったらサインしてくれた。
もちろん、その後でパパに大好き、愛してる、ってキスの雨を降らせてあげた。
パパを脅したわけじゃない。あたし、本当にこの恋に命賭けてるから。
翌日、入会届を出すと、彼は目を瞑って大きな溜息を吐いてから、あたしを迎え入れてくれた。
「よろしく、ユリア。僕は佐々木和人。あっちは三神琴子」
琴子センパイも、ものすごく嬉しそうに微笑んで歓迎してくれた。
「よろしく、さくら」
そうしてあたしは、史学研究会に入会を認められた。
それから数日は何事もなく、和人センパイは黙々と本を読んでいて、あたしはそんな和人センパイを見つめていて、そして、琴子センパイの視線を痛い程感じていた。
1時間ほど部室で過ごした後は、みんなで神社やお寺にお参りに行った。
あたし、キリスト教徒なんだけど。
古い建物を見て歩くのは楽しかったけれど、お寺に行った時は毎回、琴子センパイがお坊サンに何か言って、中でシュギョーをさせてもらった。
ザゼン、苦手。
足が痛いし、肩を棒で叩かれる。
でもそんな時、普段はあまり仲が良くなさそうな二人なのに、和人センパイが切なそうに琴子センパイを見つめている事がある。
もちろん、その後、和人センパイも、和人センパイを見ていたあたしも肩を棒で叩かれる。
和人センパイは、話している琴子センパイの事が嫌いで、黙っている琴子センパイの事が好きみたい。
琴子センパイの家にも行って、琴子センパイの家族だと言う、きれいな男の人も紹介してもらった。
彼は日本版のエクソシストらしい。すごくミステリアス。
何度か食事をご馳走になったけれど、料理はいつも和人センパイがしてくれた。
料理もできるなんて、パーフェクト!
琴子センパイは、いつも料理を一口ずつつまむだけで、あとはサプリメントを飲んでいた。
和人センパイに聞いてみたら、琴子センパイは去年、何か事故で、胃の半分以上を摘出してしまっているそうだ。
だんだんと、和人センパイとも琴子センパイとも打ち解けて来て、楽しく学生生活を送っていた。
夏休みを間近に控えたある日、音楽教師が部室を訪ねて来た。
詳しい事を聞いてみると、音楽教師の親類が、沖縄で地元の人達が信仰していた「ウタキ」というものを荒らしてしまったそうだ。
その親類の一家は、ほんの3カ月ほどで、全員が病気や事故や自殺等で死に絶えてしまったとか。
それで終わったと思っていたのだが、その一家以外の親族にまで、祟りは及び始めたらしい。
琴子センパイはそれを聞いて頭を抱えた。
「あぁ、神様かぁ。地元のユタさんとかノロさんとかに何とかしてもらえないんっすか? そのほうが確実だと思うんっすけど」
教師は頭を横に振る。その親類というのも、元々沖縄の人間では無く、何かの活動で沖縄に行っていたそうだ。
「最近は、本州出身でユタと名乗っている偽物も多くて、私も色々探しては見たんだが、本物に辿り着けないんだ。それで、理事長に相談してみたら、キミ達の事を聞いてね」
「妨害も入ってるのか。その上で俺たちはスルーで繋ぐなんて、なめられてるな」
琴子センパイが牙を剥き出したように凶暴な笑みを浮かべる。
そこに和人センパイが割り入って、電卓を叩きながら教師に見せた。
「すみません、僕達の手には負えないと思うので、プロの方をご紹介します。旅費と滞在費と諸々の諸経費、お祓い代、他にも、現地のノロさん等に払う金額等も考えると、最低でもこれくらいは……」
教師は電卓を覗き込み、即決する。
「うん、うん。偽物に吹っ掛けられた金額の10%だな。安いもんだ。是非お願いするよ」
教師を引き連れ、琴子センパイの家に行くと、ドアの前に張り紙がしてあった。
『しばらく出張。あとの事は任せた! 帰りは不明!』
「三神さん!」「慎二さ~~ん!」
センパイが二人して絶叫しながら崩れ落ちた。
「頼む。君達でいいから、なんとかしてくれないか? 次はきっと僕なんだ。その次は、妊娠中の妻かもしれない。3歳になったばかりの息子かもしれない。一刻を争うんだ。頼む!」
教師が土下座する。
「タカ、これで断ったら男じゃないよ」
「おう、当たり前だ」
琴子センパイに向って「タカ」とか「男」とか言っているのは理解できないけれど、ここで断るようじゃあたしだって和人センパイに幻滅する。
「さくら、お前は危ないから来なくていい」
そんな事を言う琴子センパイに、言ってやった。
「あたしは自費ででも行きます。なおさら危険じゃないですか? 一緒に行って、琴子センパイが守ってくれたほうが安全だと思います」
琴子センパイはひどく悩んでいたけれど、和人センパイがOKを出してくれた。
沖縄。青い海、青い空。沖縄と言えばビーチ。ビーチと言えば水着。
和人センパイを悩殺する絶好のチャンスだ。
危険だと言われても、諦められる訳が無い。
たとえ命を落としたとしたって、後悔なんかしない。
最後の瞬間まで和人センパイと一緒に居られるなら、それだけで幸せな事だと思う。
だって、和人センパイこそが、私の、運命の相手なのだから。
長々と(期間的に)引っ張ってしまい、申し訳ございませんでした。
この話は、「なんかグロいの書きたいな~」と思って始めました。
でも、最初書いていた腸がでろーんと出て、そこに車が走り去ってう〇こびっしゃー!みたいなひどすぎるのは削除しましたw
そして、やっぱ恋愛絡めないとダメかな~と思い、若いころの勘違い的な思い込み的な脳内麻薬の仕業的なwそんなものを絡めて、思い込みで人生を狂わせていく若者(その時はそれが全てでも、ぜってえ次あるべや!みたいなw)を書いてみたいなぁ、と。
書き込み甘い部分ばかりで、なんだかイマヒトツな感じになってしまいましたが、次、頑張ります!
読んでくださってありがとうございました!




