第12話
ノアを取り戻したアン。そんなアンとノアの関係は良き相棒である。
「アン様、お茶の用意が出来ました。」
「ありがとう、ノア。」
「いいえ、私は貴方の執事ですから……」
「全く便利なやつだよなー!」
クーがそう良いながらお茶菓子を摘む。
「こら!クー!まだ食べちゃダメよ!」
「いいじゃん?」
「全く……もー。」
「お2人は仲が良いのですね。」
ノアの言葉に2人は顔を見合わせる。
「そうね!幼なじみだもん!」
「まあ、人となりは知ってるかな。」
「クー様、もっとアン様の事を教えていただけませんか?」
「アンの事?バカ女ってことぐらいしか……」
「!?クー!余計な事教えないで!」
「はははっ!わりーわりー!」
「もー!」
軽口を叩きながらもその仲は良いものだった。それを見てノアは少し胸を傷める。
これは……?
ノアはまだその感情を知らなかった。
「ノア!ノアってば!聞いてる?」
「は、はい?!」
「クーが酷いのよ?!」
「オレは何もしてないってば!」
「よく言うわ!私のマカロン食べた癖に!」
「いいじゃん。別にー!」
「新しいの持って参りますね。」
ノアはそのまま部屋を出る。
「……」
クーはそんなノアを横目で見送りながら指についたお菓子を舐めていた。
「クー!前よりお行儀が悪くなったんじゃない?!」
「あ?そんな事ないですよー!オレはいつもお行儀いいって!」
「どこがよ!ノアに変な事吹き込んでないでしょうね?!」
「へいへい。ノア、ノアって、よっぽどノアが好きなんだな?」
「だから、相棒だからよ!」
「ふーん。」
2人は軽口を叩きながらお茶をする。
「はぁ、貴方執事のくせに一緒にお茶するなんて本当にどうかしてるわ!」
「でも、一緒にして欲しいんだろ?」
「………むー!そうだけど!」
「ははっ、変わらねーな。アン様は!」
なんて笑っているとノアが部屋に戻ってきた。
「マカロン持ってきましたよ。」
ノアの手にはマカロンが山になったお皿があった。
「ところで、今回のエミリっつー女の事だが……」
「エミリの事?」
クーは静かに話し始めた。
「エミリが他の国でまた何かやってるそうなんだよ。」
「他の国?」
「隣国バルス。」
「バルス?!あの隣国バルス?!」
「ああ、そうだ、あの軍国主義国家のバルスだよ。」
「危険だわ。」
「アン様、確かに危険かもしれません。ですが、隣国の事ですから……。」
「……そうね。私達にはもう、関係ないかもしれないけど……」
「まっ、何かあってからじゃ遅いけどなぁ?」
クーがそう良いながら足を組む。
「クー!お行儀悪いわよ?」
「はいはい。」
クーは足を元に戻した。
「今私達に出来る事は特にないわね。」
「……そうでもありませんよ。何人か密偵を向かわせるのはどうでしょう?何か分かるかもしれません。」
「ノアの言う通りだわ。向こうが戦争を仕掛けて来ないとも限らない。そうしましょう!」
こうして、何人か密偵を隣国に送り込む事になった。夜になる。紅い夕日が沈んでゆく。これから起こる事を示唆するように、不穏な色をしていた。




