1章-4
ニタリと邪悪に笑う敵。
自分より二回り以上デカい身体をしているリザードマンが
「い゛だぞぉ……!」
その声に弾かれたように外にいた他のリザードマンが窓ガラスを割って入ってきた。
フェルトは、結界の表面が軋んだ時から唱えいた術を放つ。
「潰れろぉ!」
窓ガラスから侵入してきたリザードマンの頭に小さな箱状の結界を放ち両側から挟み込み、リザードマンの頭を潰した。
頭の無い敵は、血を流しながら膝から崩れ落ちた。
フウタの喉から、小さな声が漏れた。
「ひっ!……」
フウタは動けなかった。
目の前で、魔物が倒れている。
血の匂い。
砕けた鱗。
こんなのーー初めて見る。
「……お、お姉ちゃん…。」
そういうと、服の裾を固く握りしめた。
フェルトは振り返らない。
「フウタ、下がってて。」
その声は、いつもより低く聞こえた。
フウタは、震える視線を玄関へ向けた。
「……っ。」
まだ、いる。
黄色い目が、静かにこちらを見ている。
他の個体より二回りは大きい。
片手には大きな斧。
口の端が、ゆっくりと歪み、細い舌が!口の外へぬるりと伸びた。
フウタの背筋に、冷たいものが走って。ニタリと邪悪笑う敵。
自分より二回り以上デカい身体をしているリザードマンが
「い゛だぞぉ……!」
その声に弾かれたように外にいた他のリザードマンが窓ガラスを割って入ってきた。
フェルトは、結界の表面が軋んだ時から唱えいた術を放つ。
「潰れろぉ!」
窓ガラスから侵入してきたリザードマンの頭に小さな箱状の結界を放ち両側から挟み込み、リザードマンの頭を潰した。
頭の無い敵は、血を流しながら膝から崩れ落ちた。
フウタの喉から、小さな声が漏れた。
「ひっ!……」
フウタは動けなかった。
目の前で、魔物が倒れている。
血の匂い。
砕けた鱗。
こんなのーー初めて見る。
「……お、お姉ちゃん…。」
そういうと、服の裾を固く握りしめた。
フェルトは振り返らない。
「フウタ、下がってて。」
その声は、いつもより低く聞こえた。
フウタは、震える視線を玄関へ向けた。
「……っ。」
まだ、いる。
黄色い目が、静かにこちらを見ている。
他の個体より二回りは大きい。
片手には大きな斧。
口の端が、ゆっくりと歪み、細い舌が!口の外へぬるりと伸びた。
フウタの背筋に、冷たいものが走って。玄関を睨み付ける。
(結界を重ねがけしておいた方が良いわね。)
「フウタは私の後ろにいなさい。」
「うん…。」
小さな返事が、背後から落ちる。
フェルトはそっと目を閉じた。
深く息を吸い込み、足元から魔力を広げていく。
床をつたい、壁を伝い、天井を撫でるように。
やがてそれは、家全体を包み込むほどの淡い光の膜となった。
二重、三重に編み上げられた結界が静かに空気を震わせる。
「これで少しは時間稼ぎに……。」
それでも、胸のざわめきは消えなかった。
背後で、フウタの気配が揺れる。
(来ない……?)
結界を張ってから、どれくらい経ったのか。
ほんの数分だと思うが、体感ではもっと長く感じた。
外は静まり帰っている。
風も無い。
葉擦れの音もない。
背後のフウタの呼吸だけが、やけに大きく聞こえる。
「……来ないね。お姉ちゃん。」
「えぇ…。」
来るはずだ。
来ないはずが無いのだ。
なのに、来ない。
静寂が、じわじわと胸を締め付ける。
結界に流し続けている魔力が、じわりと体温を奪っていく。
神経を研ぎ澄まして外の様子を伺っていた時だった。
ドンッ!!
家全体が揺れた。
2度目。
3度目。
結界の表面に、鈍い衝撃が叩きつけられる。
淡い光の膜が、歪んだ。
「お姉ちゃん!」
フウタの手がフェルトの服を掴む。
幼かった時のように。
(壊される……)
胸の奥で、冷たい確信が浮かぶ。フェルトはフウタを庇うように一歩前へ出た。
そして、詠唱をはじめる。
ミシィッ……
結界の表面が、軋むように歪んだ。
二人は息を飲む。
そして、
パキッ
という乾いた音が響いた次の瞬間、
ガシャァン!!
大きな音を立てて、窓がくだけ散った。
割れた窓の向こう。
ぬらりと、何かが顔を覗かせる。
鱗に覆われた顔。
大きく裂けた口。
そのギョロリとした片目が、ゆっくりと家の中を見回す。
そしてーー
フウタに目が止まった。
「……み゛、み゛づげだ……」
ニタリと邪悪笑う敵。
自分より二回り以上大きい身体をしているリザードマンが、喉を震わせた。
「い゛だぞぉ……!」
その声に弾かれたように外にいた他のリザードマンが窓ガラスを割って入ってきた。
フェルトは、結界の表面が軋んだ時から唱えていた術を放った。
「潰れろぉ!」
窓ガラスから侵入してきたリザードマンの頭に小さな箱状の結界を放たれる。
透明な壁が両側から挟み込みーー。
リザードマンの頭が潰れた。
頭を失った魔物は、血を流しながら膝から崩れ落ちる。
フウタの喉から、小さな悲鳴が漏れた。
「ひっ……!」
フウタは動けなかった。
目の前で、魔物が倒れている。
血の匂い。
砕けた鱗。
こんなのーー初めて見る。
「……お、お姉ちゃん…。」
そういうと、服の裾を固く握りしめた。
フェルトは振り返らない。
「フウタ、下がってて。」
その声は、いつもより低く聞こえた。
フウタは、震える視線を玄関へ向ける。
「……っ。」
まだ、いる。
黄色い目が、静かにこちらを見ている。
他の個体より二回りは大きい身体。
片手には大きな斧。
口の端が、ゆっくりと歪む。
細い舌が、口の外へぬるりと伸びた。
フウタの背筋に、冷たいものが走った。




