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プロローグ
まだ、誰も起きていない朝。
フウタは、バルコニーに立っていた。
空を見上げ、大きく息を吸い込んだ。
冬の冷たい空気が肺を満たす。
また、一日が始まる。
普通の一日が。
コツンと、背後で音がした。
フウタはゆっくりと振り向き微笑んだ。
「あのね、君に伝えたかったことがあるんだ。」
目の前に大切な人がいる。
「聞いてくれたら、嬉しいな…。」
指先が、ほんのわずか震えている。
フウタはぎゅっと、手を握りしめた。
顔をあげ、相手を見つめる。
「……僕は……、君のことが……。」
その時、二人の間を風が通り抜けた。
フウタは、もう一度息を吸った。




