9話
ーーー地方都市 ビックツリー
夕暮れの大通りを少年は上機嫌で歩いていた
冒険者ギルドで金を手に入れた彼らは旨いものを腹いっぱい食べるべく
様々な屋台を見比べていた
「ロック様、今の手持ちでは大部屋で素泊まりの宿にしか泊まることが
できないようです。それでも二人で1400G必要になります」
「そうだった、宿代のことをすっかり忘れた。そうすると残りは
950Gか・・・」
「ロック様、まずは宿を確保しにいきましょう」
「いや、先に飯にしよう!950Gでも屋台なら一人3品は食えるな!」
そういうと少年は屋台探索を再開した
「旨そうだな。アルバートは何を買ったんだ?」
「チーズサンドとスープですね。ロック様は肉串と肉団子汁と肉巻きおにぎりですか」
「久々にまともな飯がくえるな!いただきます!」
そういうと少年は口の周りを油でベトベトにしながら、勢いよく食べ始めた
「ふぅー、食った食ったー。よし宿にいくとするか・・・んっ?」
少年の視線の先には貧しい格好の二人の子供がこちらをじっと見ていた
「なんだお前たち、どうしたんだ?」
「ロック様、彼らは空腹なのでしょう。貧民街に住む子供ではないでしょうか」
その言葉の通り子供たちはやせ細っていて串をじっと見ていた
食べ残しがあるかもしれないと期待しているようだった
「なんだ腹が減っていたのか、よし俺様が肉串をおごってやろうではないか」
「しかしながらロック様、余分な金銭はありませんが」
「・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・」
「大丈夫だ、俺ならできる。よし、お前たちついて来い!おごってやるぞ!」
「えっ、本当に?いいの!?」
「当たり前だ。伝説の冒険者ロック様に不可能はない!」
少年は二人の子供を引き連れ大騒ぎしながら屋台へと向かっていった
その後ろ姿を見ながら青年は小さくため息をついたがその様子はどこか
嬉しそうだった
旅はまだ始まったばかりだ