12話 -討伐-
ーーーゴブリンの森
息をひそめ足音を殺し少年はその群れを追いかけていた
少年の名前はライオネル・アルセーヌ・ロック、通称ロック
Fランク冒険者であり、魔王の息子でもある
彼が追跡しているのはゴブリンリーダーを頭としたゴブリンの群れだ
相棒のアルバートはもう一方から同じ群れを追跡している
少年が飛び掛かると同時に奇襲を仕掛ける作戦だ
彼は全身に汗をかき興奮状態ではあるが群れに気づかれることがないよう
全神経を集中させ息をひそめているところだ
もしも追跡がばれ群れに取り囲まれれば自分の命はここで終わるであろうと
少年は考えていたが、そう考えるほどに集中力が増してくる気がしていた
ゴブリンの群れは5匹でゴブリンリーダーとゴブリンシャーマンと
3匹のノーマルゴブリンで、棍棒と杖で武装していた
アルバートの鑑定スキルで調べたので間違いはないだろう
群れは先ほどから獲物を探しているようだが全くうまくいっていないようで
木の実を十数個とっただけであった
少年はアルバートが作戦通りに追跡しているだろうかと少し不安に思った
反対の木々を見てみてもそれらしい様子は全く見えず
もし自分一人が飛び出し彼が続いてこなかった場合を想像してしまったからだ
群れに動きがあった
どうやら真新しい足跡を発見したようだった
ノーマルゴブリンたちがギャアギャアと大騒ぎしながら地面を指し示し、
それをゴブリンリーダーが乱暴に押しのけて地面を凝視していた
茂みから突如として何かが飛び出しゴブリンを弾き飛ばした
ゴブリンリーダーは素早く左によけその突進を交わしたがノーマルゴブリンは
弾き飛ばされ地面を転げまわっている
飛び出してきたそれは巨大な角をもつ猪だった
群れと猪は互いに睨みあっていたがゴブリンシャーマンの杖から炎の球が生じ
一直線に猪に向かっていった
猪は叫び声をあげたが避けきれずに炎が直撃した
同時にゴブリンたちが一斉に飛び掛かり仕留めにかかった
猪は正面のノーマルゴブリンを角で突き上げ刺したが横のゴブリンリーダーが
棍棒で殴ると体をよろめかせた
それからは一方的な展開となり数分後には猪は動かなくなった
ゴブリンリーダーは恐る恐る近づき死んでいる事を確認すると
大声を上げ棍棒を頭上に掲げた
その刹那少年は茂みから飛び出しゴブリンリーダーへと襲い掛かった
<特殊スキル ゴリラパンチ 発動>
「ドラーーーーーーー!!!」
全魔力のほぼ全てを右の拳に集中しゴブリンリーダーの頭部へと叩きつけるべく
拳をふるった
ゴリラパンチとは物理攻撃力、魔法攻撃力を加えた攻撃力に魔力を
乗せて攻撃する特殊スキルである
乗せる魔力は掛け算となりその威力を増大させチートともいえる
攻撃を可能とする
こちらを恐れおののいた表情で見ることしかできなかったゴブリンリーダーに
その拳を叩き込んだ
大きな炸裂音が生じ拳は頭部を破裂させた
<スキル 暗殺 発動>
<スキル 炎刀 発動>
<スキル 神速 発動>
少年が目をやると首が転げ落ちたゴブリンシャーマンと炎に包まれた短刀を持つ
アルバートがいた
アルバートはそのままノーマルゴブリンの首を落とすと少年に目をやり笑顔を向けた
「さすがでございますロック様」
少年は全身の力が抜けたように大きく息を吐いた
「討伐完了だな」
「はい」
「クイー」
少年は笑顔を見せると大きく深呼吸をした
<特殊スキル 爆食王 発動>
<レベルが上がりました>
<レベルが上がりました>
<レベルが上がりました>
<レベルが上がりました>
<レベルが上がりました>
「よし、帰るとするか」
「はいロック様」
「クイー」
「カメパルトちゃんと見ていたんだろうな伝説の冒険者ロックの戦いぶりを」
「クイー」
「格好よかっただろう」
「クイー」
「さあ、魔石と肉を回収して帰りましょう」
旅はまだ始まったばかりだ




