王宮
視点戻りましてカリーシャちゃんです
私は、何をしているのだろう
抱き付いた男の人が斬りかかられ、決して軽くはない怪我をした
私のせい…だから、治癒魔法で治した
男の人は笑っていた、酷い目にあっても私を安心さるだけの余裕がある
前の私でもそんなの無理だ
自分一人で精一杯で、他人のことなんて目にも止まらなかった
独り単独で魔王に挑み打ち勝った
確かに、考えてみれば単独で魔王を倒すなんて馬鹿げていた
他に仲間が居れば言い訳も出来たかもしれない、世界の端へ追いやられることも無かったのかもしれない
私の中に渦巻くのは後悔だけだった
そんなことを思っていたら、男の人が私の顔を覗き込んできた
私は、謝罪がまだだったことを思いだし、焦りながらも声を絞り出す
「ごめん、なさい…!私の、せいで…怪我したから、治した…大丈夫…?」
男の人は、腕の調子を確かめた
「あぁ、大丈夫。ちゃんと治ったしね。でも凄いね、その年で治癒魔法使えるんだよね?」
やってしまった、流石にこの体形で魔法を使うのは、怪しまれるだろう
「お嬢ちゃん?これから少しお話しを聞くことになるから王宮まで来て貰ってもいい?」
あぁ、こうなってしまっては、仕方がない
他にいい案がないか考えながら頷いた
「うしっ、じゃあ行くか!」
男の人はそう言うと、私をお姫さま抱っこで抱き抱えた
予想外のできことに、私は赤面してしまった
しかも、男の人に顔を見られ、笑われた
うぅ、恥ずかしぃ…
男の人は、大きな城の方へ歩みを進めた
☆
ところ変わり王宮
私は、城の中に連れていかれ、とある一室に入った
その部屋をぱっと見た感じ、書斎のようだ
壁には、天井に付きそうな高さがある本棚が並んでいる
部屋の隅には、小さいながらも暖をとるための暖炉がある
そして、奥には書類が沢山積み上げられた机が一つあるだけだった
「ほら、座って」
男の人は、中央にあるソファーへ座り、隣に来るように言っている
「あ…はい」
私は、躊躇いながらも従った
「うーん、それで?どうして俺に抱き付いて来たのかな?」
いきなり、恥ずかしところを突いてきた
「うっ…それは…」
「それは?」
正直に言うしかないようだ
「その…匂いが」
「に、匂い?」
「はい、匂いです…なんて言うか、引き付けられる匂い、です…」
「うーん…匂いねぇ」
男の人は、首をひねりながら、悩んでいる
「あ、あの…」
「ん?なんだい?」
「私は、これから…どうなるん、です?」
男の人は、あぁっと言って答えてくれた
「俺としては、国で君を保護したい。その年で魔法が使えるのは危ない。もしも、悪人に捕まったらどうなるか分からない」
「あ、あの…!」
「あー、ごめんよ?怖がらせるつもりじゃなかったんだ」
「いえ…そうじゃなくて…」
「ん?」
「私…これでも、400歳以上なんですよ…?」
「ぇ…、ええっ!」
男の人はフリーズ
…
…
えっ?フリーズ長っ!
「あ、あの、大丈夫です、か?」
問いかけながら、体を揺する
「はっ!俺は、一体…」
「…途中で、起きてました、よね…?」
「な、なんのことかな?」
明らかに目を反らしている
「そ、そんなことより、君はこれからどうしたい?」
話し反らしやがりました、です
「…国で保護、されると、どうなります…?」
「衣、食、住、が保証されて、王宮で簡単な仕事も与えて貰える」
「仕事、です、か?」
「あぁ。男とかだと、やっぱり衛兵とかになるね。女の人は、メイドとかかな」
「メイド、ですか…」
「まぁ、掃除や料理が主になるけど、騎士団の人の専属メイドになったりすると、書類整理なんかも入ってくるね」
「それがいい、です」
「専属メイド?」
「はい、貴方の、専属メイドがいい、です」
「あー、別にいいんだけど…俺、一応副隊長やってるからさぁ、書類の量半端ないぜ?」
「大丈夫、です」
「…そうかなら…」
「それに…」
「ん?」
「私が今、頼れるのは、貴方だけだから…」
「…そうか。過去のこととかは、詮索しない。安心してくれ」
「ありがとう、ございます」
「じゃ、保護するとしても、女王陛下の許可がいるから、来てくれるかな?」
「はい」
私達は、女王陛下のところへ向かった…
どうしてだろう?
カリーシャちゃんの心が黒くなってゆく!(笑)
お気づきかと思いますが、カリーシャちゃんのパートナーには、アノスさんを付けました
ツッコミ、ボケの両刀です
シリアスが入ったのでその内、糖分も入れていきますね