表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
闇の魔物と女子高生  作者: ゴルゴンゾーラ
人間に憑依
5/193

5_動かせない運命


有理の運命が変わってしまう日。

その日がとうとうやってきた。


今日、俺は人間に憑依するつもりだ。


(そろそろだな)

スコープを通して有理を見張っていた。


有理は忘れ物をして、教室に取りに行く。

ひとけのない夕方の学校では、クラスメイトたちが同級生をいじめている。


正義感の強い有理は、その同級生の一人につかみかかる。

同級生はバランスを崩し、頭を打つ。


有理はこの日、人を殺してしまう運命だった。


有理が教室に忘れ物をしなくても。


俺が有理を、足止めしたとしても。

いじめが起きていなくても。

学校がこの世に存在しなかったとしても。


運命のゴールは必ず同じ場所に用意されている。

たとえ、その道順が多少違っても、必ず同じゴールに向かう。


つまり、俺が何をしても、有理はこの日、人間を一人を殺す運命にあった。

このような決定的な運命を変えるのは、不可能に近い。


マーヤの占いによると、有理は人を殺したことを背負い、一生を苦しみと闇の中で過ごすということだった。

殺人ではなく事故だとしても同じ。


人を殺したという事実は、有理を傷つけ、むしばみ続ける。


有理はこの日、人を一人殺す。

その運命を変えることはできない。


だとしたら俺にできることはひとつ。

死んだ人間を生き返らせることだった。


----------------------


「あっ!体操着。教室だ。取りに行く」

有理は友だちにそう告げる。

「明日で良いんじゃね?」

「洗濯したい。取ってくる」

有理は友だちに手を振る。

「また明日」


そして校舎の階段を登る。


俺は人間界に降りていた。

セルパンの姿、つまり人間からは見えない姿で、俺は有理のあとを追いかけた。


階段の途中で、有理はクラスメイトに出会う。


「お前、今日のお布施ふせは?」

「......」

笹山 道元どうげんが、川田洋平に迫っていた。

「今日はこれしかなくって」

いじめられっ子である洋平は、震える手で5000円札を道元に渡す。


道元の家は寺で、親は俺の天敵である仏教徒の僧侶だった。

だからか?

道元はいじめられっ子から金を没収するとき「お布施」という言葉を使った。


「なにしてる。ダメだ!」

有理が階段を登りながら言う。


「あれっ、北条じゃん。俺たち、みんなで喋ってるだけだけど?」

「いまお金を取った!川田くんから」

「川田が、俺にくれるっていうからさ。

うちの寺のファンらしい。お布施だって。だよな、川田?」

「う......うん」

洋平は弱々しくうなずく。


道元はこの後、有理に突き飛ばされ、階段を転げ落ちて死ぬ運命だった。

俺は死んだ直後の道元の体に憑依する。


そう。


俺はこのいけすかない、道元に憑依しなければならない。

しかも家はバリバリの仏教徒、神明宗の寺で父親は厳格な僧侶だった。


いくら人間に乗り移ったとしても、俺は悪しき存在。

寺の家でやっていけるか、不安だ。


でもやるしかない。

選択肢はこれしかない。


有理は道元を殺すことで「殺人を犯す」という運命をまっとうする。

でも俺が道元の体にのりうつることで、道元の体は生きかえる。

死んだことにはならない。

実際には魂が抜けて死んでいるんだけど。


俺は道元の体に憑依することで、有理が人殺しにならないようにしたかった。

彼女が苦しむ姿を見たくなかった。


道元の体には数か月でも我慢して憑依していれば良い。

しばらくしたら抜け出る。

そうすれば有理は罪の意識に苦しむことは無くなる。


そんなストーリーを描いていた。

そのときまでは

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ