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闇の魔物と女子高生  作者: ゴルゴンゾーラ
清めの檻に囚われる
49/193

49_妹と弟

「ゆかり。俺はお前の大事な兄を死にいたらしめた悪魔だ。

俺のことは放っておけばいいんだよ」

「......」

ゆかりは黙っている。


「それとも、肉体が兄のものだから、心配か。

傷だらけにしてしまった」


「違うよ、そんなんじゃない」


「ルイ......」

ゆかりは俺の手を握った。

「お兄ちゃんには、まだ会いたい。だけどルイはいつも優しくしてくれるから。

だから......」


ゆかりは俺の手を自分の頬に押し付けた。


「俺も妹が欲しくなったな」

もう一方の手でゆかりの頭をなでた。

「ルイには兄弟がいないの?」

「いるかもしれない。分からない。生まれてすぐに親と引き離される決まりだから」

「そんな」

「それが普通だから、なんとも思わない」


ゆかりは目に涙をためていた。

「ゆかりは、すぐに泣くよなぁ」

ゆかりの頬をこぼれ落ちる涙を指でぬぐってあげた。


「もう少し眠る。残念だけど、学校は休むことにする」

「私、カラスたちに餌をやってくるね」

ゆかりはそう言うと立ち上がった。


-----------------------


玄関のチャイムの音がする。

もうろうとした頭で、上半身を起こす。

「もう10時か」

ひたいに乗せられていた布がパタッと落ちる。

ゆかりが乗せていてくれたのだろう。


「誰だ。チャイムを鳴らすのは!名を名乗れよ......」

ゆかりは学校に行ったようだった。

ふらふらとした足取りで1階に降り、玄関に近づく。


扉を開けるとそこに立っていたのは、グースだった。

律儀に、チャイムを鳴らして入ってくるところがグースらしい。


「ルイ!心配しました」

グースはそう言うと俺を抱きしめた。

「昨夜、あなたの痕跡が見つからなくなった。

オーラが弱いじゃないですか!なにかあったんですね?」

「グース、いつも俺を見張っていてくれたのか?」


グースは幼い頃から一緒に育ってきた。

弟のようなものだ。

人間界の妹がゆかりなら、グースは天界の弟だ。


グースをリビングに通した。

「清めの檻に閉じ込められた?やはりそうでしたか。見つからなくなるということはそれしか考えられないし」

「初めてワナにかかった。

本当にあの中では、何もできなくなるんだなぁ」


「無事でよかった。

どうやって逃げ出したんです」

「人間が助けてくれた」

「人間が!?」


リビングのソファにグースと並んで腰掛けた。


俺はグースにすべて話すことにした。

セルペリオールに言われたこと。

ミーネのこと。

あと4ヶ月で敵の本拠地をつきとめること。

ミーネが有理を狙っていること。


自分が灰になって、契約を無効にするつもりだということだけは、話せなかった。

そんなことを話せば、グースは悲しむだろう。


「ルイ。大変なことになっているじゃないですか。

だから言ったんです。人間に憑依するなんて止めたほうが良いって」


「もう、今さら遅い。運命は別の道をすすんでしまった」

「......」

グースはしばらく考え込んでいた。


「そうだ!今日は、これを持ってきたんです」

グースは麻袋から、ガラス瓶を取り出した。


「あなたが40年前に契約した魂です。

この魂は、あなたが天界にいないから、行き場をなくしていましたよ。

煉獄をさまよっていたのを、私が捕まえました」


「そうか」

俺は瓶を受け取った。


瓶に手をかざして目を閉じる。

「金持ちになりたいと言った人間だな。よくある願望だ......」


「私はこの魂の契約者ではないので、手出しができませんでした。

だから加工もできてないですけど」


グースは真剣な様子で俺を見つめた。


「ルイ。加工してない魂ですけど、別にかまわないでしょう?

早く、それを体に取り込んでください。

あなたはしばらく魂を養分にしていない。

弱ってきているのが目に見えて分かります。

そんな状態じゃ、ミーネを打ち破るなんて無理ですよ?」

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