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闇の魔物と女子高生  作者: ゴルゴンゾーラ
清めの檻に囚われる
31/193

31_拷問

道元は今になって、自分のやったことを後悔し始めているようだった。

洋平をイジメてはいたけど、死んで欲しいとまでは思っていなかったのだろう。


むしろ、もとのイジメられていた頃の洋平を取り戻したい。

道元はそんなふうに思っているみたいだった。


道元は姉に向かって必死に尋ねた。

「川田を殺さずにセルパンの魂だけ取りのぞく方法はないのかな?」


「難しいわね。一流の霊媒師でも、除霊は成功するかわからない。憑依したセルパンの魂を捕らえるなら清めの檻の中で肉体を殺すのが手っ取り早い」


道華は残忍な笑いを浮かべて、そう言った。

老婆もうんうん、とうなずいている。


こいつら狂ってる。


「この子、年齢はいくつなのかしら」

ふと、道華が、俺の方を眺めながら言う。


「高校生に憑依しているけど、中身は800年くらい生きたお爺さんかもしれない。

異性には憑依しないとは思うから、性別は男だとは思うけど」


「姉ちゃん、年齢なんてどうでもいいんじゃないか?」


「あたしは知りたいわ。道元、知ってる?セルパンは成長が遅いのよ。

精神的にも肉体的にも、私たち人間よりも成長に時間がかかるの。

だいたい100年で人間の10歳なのよ。天界は時間の流れが違うのかしらね」


ふいに道華が俺の頬をなでた。

「お前は何年前から生きてる?」

優しくなでたかと思うと次の瞬間、平手で強く叩いた。

「早く答えなさい?」


「16」

「本当の年齢をいいなさい」


俺はプイッとそっぽを向いた。


「可愛い」

道華は嬉しそうに手を叩いた。


「道元、ばあちゃん。私がこの子に拷問をするわ

それでセルパンかどうか、見極めてみる」

「ほう。道華の責め苦に耐えられるものはそういないからな」

祖母がうなずく。


「だけど、大丈夫かよ。ただの人間だったら犯罪になるんじゃないか」

道元が心配そうに言う。


「バカね。こうして拘束して縛り付けてる時点でもう犯罪なのよ?

だけど、この子が何を言っても警察は信じない。

笹山家はこの地域に数多くの檀家を抱える由緒正しい寺。

警察幹部や政治家ともコネがあるのは周知の事実」


「お前がセルパンだとしても、人間だとしても、もう後戻りはできない」

女は俺の髪に触れた。


「触るな」


俺は女の顔をにらんだ。

道華の体からは紫色のオーラが流れていた。

こんなに邪悪な人間は見たことがなかった。


「私この子のこと、すごく気に入ったわ」


道華は片手で俺の頬をギュッと強くつかんだ。

「ふふ。そんな風にしていられるのも今のうちだよ?

その可愛い顔を涙でぐちゃぐちゃにしてやる」


「ね、姉ちゃん、俺はいったん抜けるわ。終わったら教えてくれよ」

道元は、牢から逃げるように小走りで出ていった。


「ワシも部屋に戻るよ。拷問は道華の担当だからね。

その子がセルパンなのかどうか。結果が分かったらすぐに知らせてくれ。

殺すのはワシがやるからな」

祖母の方も、牢から出ていった。


道華と二人きりにされた。


「お前の本当の年齢。人間に憑依した目的。これが知りたいわ」

「......」

俺は道華から顔を背けて無視をした。


道華は俺の頬をまた平手で叩いた。

「興奮してきたわ。こんなに可愛い男子高校生を好きにできるなんて」

そう言いながら俺の制服のシャツを引きちぎるように脱がせはじめた。


ボールのような何かを口に押し込められ、頭の後ろで固定される。

「っ!」

声が出せなくなる。

女は壁に立てかけてあった細長く鋭い棒を手に取った。


俺はこれから拷問される。


人間のふりをするなら、早めに音を上げるべきか?

泣きながら屈服するふりをすれば良い。


それとも、あくまでセルパンではないと、シラを切り続けるべきか?

どちらが正解なんだ?


どちらにしても殺される可能性もあるだろう。

肉体は滅ぼされ、俺はどこかの人間に売り飛ばされ、働かされ、灰にされる。


道華は顔を近づけると、首筋にしつこくキスをしてきた。


ゾッとする。

猿ぐつわのようなものを口に入れられ、俺は女に噛みつくことも出来ない。


首筋をはっていた道華のくちびるが耳元に移動した。

「はじめるわよ」

とささやく。


黒い棒を、俺の胸にむけて振り上げた。

嫌な音がして鋭い痛みが体に走る。

「......っ!」


「お前はセルパンなのでしょう?

人間に憑依した目的は?お前の本当の年齢は?

言う気になったら合図しなさい。

猿ぐつわを取ってあげる」


痛みから感情を逃さなければ。

痛みに集中すれば、俺は女に服従することになる。


服従のフリならまだしも。

この邪悪な女に心からの服従をすることだけはプライドが許さない。

そうなるくらいなら、灰になったほうがマシだ。


黒いムチの先で肩や腕を優しくそっと、なぞるように触れてくる。

次に襲ってくる痛みを想像させるために、わざと攻撃の間をあけているのだろう。


また強く打たれた。

電気が走るような痛み。


ギュッと目をつぶり、有理のことを思い浮かべた。

彼女と過ごした幸せな時間。


皮膚が破けポタポタと血が足元にたれた。


そもそもどうして、こんな罠にハマってしまったんだ?

ことの始まりを思い出していた。

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