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闇の魔物と女子高生  作者: ゴルゴンゾーラ
人間に憑依
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2_闇の主にして魂の破壊者

あの少女と出会ってからというもの彼女の様子を見守ることが、すっかり習慣になっていた。


彼女の名前は北条有理ほうじょうゆうり

弟は元気に走り回っている。

障がいを引き受けた彼女は、つねに足を引きずって歩いている。


ある朝起きると、弟の足は治っており、

その代わりに姉の足がおかしくなっていた。


医者に行っても、原因不明。

母親は困惑していた。


------------------------------


有理は強い子どもだった。


小学校の運動会でクラスメイトに

「有理のせいで、うちのクラスはリレーで負けた」

と言われた。


でも有理は

「あたしは死ぬ気で走った。みんなはどうなんだ」

と同級生に言い返していた。


中学校ではいじめられている同級生をかばっていた。

「仲間はずれはダメだ」

と叫んだ。


有理はとにかく正義感が強いのだ。


彼女は障がい者となった。

しかし、彼女はしっかりと前を向いて生きていた。


----------------------------------


有理は高校生になっていた。

彼女はアルバイトをしていて、いつも帰りが遅かった。


その夜、俺は占いの結果と自分の予感に従い、「何かが起きる」と予想した。

有理を見張った。

有理の運勢が非常に悪かった。


予想通り。


彼女は夜の公園でガラの悪い連中に絡まれていた。

連中は足の悪い彼女に乱暴する気だった。


有理は懸命に男の腕に噛みつき抵抗していた。


俺は震えた。

有理が大変な目にあっている。


もう見ていられなかった。

人間界に降り立った。


俺は、実体化した。

人間たちと闘うためだ。


「お前たち、やめておけ」

有理を背中に隠して奴らから、かばった。


「何だお前、外人か?どこから現れた?」

一人が驚いて俺を見る。


「俺は闇の主にして魂の破壊者セルパン。

その名もルイだ。覚えておけ。

お前らの死後、その魂を見つけ出し必ずや破壊する」


奴らに向かって指をさす。

俺の決めゼリフだった。


「なに言ってんだコイツ、中二病か?」

奴らは俺を指さして大笑いした。


なぜ奴らは笑う?

何がおかしいのか、分からなかった。


「やんのか?今なら面白さに免じて見逃してやるけど?」

一人が俺に尋ねた。


人間同士が素手で目玉をえぐり合うような、血なまぐさい戦をしていたころから、俺は生きている。

戦乱のなかで依頼者と何度も、やりとりをしてきた。


さらに俺には、攻撃力を増大させる特殊能力があった。

以前に、古武道の達人の魂を養分にしたときに、たまたま身についた能力だ。

だからケンカは得意中の得意だった。


「お前たちこそ、生きながらにして地獄を見ることになるぞ?」


「笑わせんな」

奴らは、なにか叫びながら、俺に飛びかかってきた。


相手の前蹴りを手でしなやかに払う。

すると相手は受け流された勢いで、俺に背中を向けた。

すばやく後ろから首を絞めながら、接近してきたもう一人に目打ちする。


首締めした相手が気を失ったので、地面に転がし

目打ちをした相手に、顔にパンチを打つフェイントからの金的蹴り。

それから、もうひとりの回し蹴りを余裕で避けて、相手の耳を掌底で叩き、思い切りひっぱる。


耳と目は人間にとってけっこうな弱点なのだ。


ナイフを出して飛びかかってきたバカがいた。

攻撃を腕で阻止しながら、相手の側面に入ることで自分の正中線を守る。

ナイフを握った手を小手返し。

相手を転がし、みぞおちを踏みつけた。


かなりのダメージを与えた。

4人の男はうずくまって戦意を喪失した。

「二度とこの子に手を出すな」


有理の手を握る。

「走れるか」

「大丈夫。この人たち」

有理は襲われたのに相手の心配をする。


「死なないし障がいも残らない。

だけど逃げずに、これ以上闘うなら、手加減は難しい」


俺と有理は、逃げた。

彼女に合わせてゆっくりと走った。


「足痛まないか?」

人通りが多い駅前で、有理に聞いた。


有理は質問には答えず、俺の顔を覗き込んだ。

「ありがとう。助かった。名前はルイ?」


「もう暗い道を一人で歩くな」

俺も彼女の質問に答えなかった。


有理との会話はまったく噛み合っていなかった。

だけど俺は有理と言葉が交わせてすごく幸せだった。



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