109_支配者を探して
支配者を探して、広間をウロウロする。
ゆかりは、友だちがいるらしく同年代の女たちと楽しそうに料理をつまんでいた。
広間で支配者を探していると、肩を叩かれた。
「川田洋平さんですよね?」
「えっ?」
振り向くと知らない女が数人、こちらを見上げていた。
「カワタホールディングスの川田副社長と一緒にいるのを見たの。
どこの高校に通ってるの?」
「高校?月ヶ丘学園ってとこだけど」
「あぁ~、あそこ?大学はどこに進学するつもりなの?
やはりお父様のあとを継ぐんでしょう?」
いろんな女に口々に質問される。
「川田くん、モデルみたい。背が高いしカッコいいから、みんな驚いてる。
ウワサとぜんぜん違うんだもん~、ね、ハルコ?」
「えっ?ウワサってなんだ?」
女に聞く。
「川田洋平くんは、すごく太っていて、暗い人っていうウワサだったんだけど」
「太っていたんだけど、減量したんだ。暗い人ってのは、よく分かんないけど」
女たちに適当に返事する。
「減量?きっと腕のいいパーソナルトレーナがいたのね」
女たちが「どこのトレーナー?知りたい」と聞いてくる。
「トレーナー?」
どういう意味だろうと戸惑っていると別の女が会話に割り込んできた。
「ねぇ!今週末プールパーティするから、川田くんも来ない?」
「富美加の父親はキミシマホテルの経営もしてるの。
毎年夏はホテルのプール貸し切りでプールパーティするのよ?」
富美加の友達の誰だかが、そんなことを話していた。
「へぇ、楽しそうだな」
俺は、広間を見回しながら上の空で答えた。
「絶対来て欲しい~」
「あれっ?有理がいない!」
俺はさっきまで、側にいた有理がいないことに気づいた。
「髪の短い女の子、ここにいたんだけど知らない?」
「知らないわ。それより連絡先、交換しない?」
「ごめん!ちょっとやることがあって」
俺はそう言って、女たちから離れた。
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うろうろと、有理を探すと、彼女は中庭にしゃがみこんでいた。
「有理。ここにいたの」
気分でも悪くなったのだろうか。
だがよく見ると、有理のとなりには男がいた。
有理はとなりに座っている男の背中に手を回していた。
「有理、なにしてる」
知らない男にさわるなんて。
自分でもびっくりするくらい激しい嫉妬を感じた。
「洋平?弱ってるんだ。この子」
有理がこちらに振り向いた。
「弱ってる?」
シャンパンでも飲みすぎたのか?
有理のとなりに座り込んでいる男の顔を覗き込んだ。
「えっ!お前は.....レオじゃないか」
驚いた。
有理の隣に座っていたのは、セルパンのレオだった。
顔色が悪く目はうつろだ。
囚われの少年セルパンが、なぜパーティ会場に。
支配者じゃなくって囚われの本人に会えるとは思ってもみなかった。
「この子。おかしい。なにかが」
有理は心配そうにレオの背中をさすっていた。




