じつはやばいこ
ただのシスコンではなかったでござる
「面倒だからサクッと検査するわよ。質問を幾つかするから答えなさい」
「は~い」
「片方の部屋には瑠璃が、もう片方の部屋には強力な付与をされた宝石があるわ」
「ふむふむ」
「瑠璃の前にはボタンが二つ、一つはその部屋の扉を開けるボタン。もう一つは宝石の部屋の扉が開くボタン。扉が開かなかった方の部屋は溶岩が流れ込んできてすべてを溶かすわ、瑠璃はどっちのボタンを押す?」
「宝石の扉のボタンかなぁ付与の度合いによるけど」
なんかお母さんと奈央が驚いてる。そんなに変かな?
「次の質問よ、瑠璃は線路の側に立っている」
「あ~トロッコ問題でしょ僕知ってるよ」
「知っているなら少し省くわ、線路の切り替えの他に自分が犠牲になればみんなが助かる方法があるわ。どれを選ぶ?」
「そんなの決まってるじゃない、僕が犠牲になるよ」
「全く知らない人たちよ、それでも犠牲になることを選ぶのね?」
「小さい犠牲で大勢を助けれるんだよ?他の選択肢なんてないよ」
「なるほどね、じゃあ次の質問よ」
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それなりの数の質問に答えたけど、僕的には満足がいく回答が出来た。
ただ、側にいるお母さんと奈央の顔色が悪いし奏さんは怒ってるっぽい。
「ちょっと頭を見せなさい」
「ひびが入っちゃってるんだって、づきづき痛いから治して~」
大人しく奏さんに頭を見せると、ズパーンと叩かれた。
ひびじゃなくて多分これ割れたと思うんだけど。
「ひびだと治すのに時間がかかるから、折ったわよ。普段はこんな荒っぽいことしないけど、瑠璃にはこれくらいが丁度良いわ」
「最終的に治るんなら別にいいけど、先に言ってほしかったよ。覚悟が出来てれば耐えれるけど痛いよ」
「自分の事を大切にできない子にはこれくらい丁度いいわ」
「そんなー」
「私もそうだけど、みんなあなたの事を勘違いしていたみたい。行き過ぎたシスコンだと思っていたけれど、瑠璃は異常なまでに自分に価値を見追い出していないのね」
「ふえ?僕よりも可愛くて、魔力も多い翡翠達を優先するのがおかしいってこと?」
「瑠璃の言ってることは、瑠璃自信を誤魔化すための理由付けよ。本質的に、瑠璃は自分の事がどうでもいいんでしょう?どうなったっていいって思っているんでしょう?さっきした質問もそう、どの質問も自分を犠牲にする回答を選んでいたわ。それも周りを納得させるような理由をつけて」
「僕自身ではよくわからないなぁ」
「瑠璃のは自己犠牲なんてものじゃなくて、自分に価値が無いからどうなってもいいっていう投げやりな考えよ。周囲の人の言ってること、今私が言っていることだって瑠璃には響いていないんじゃないかしら」
「そんなことないよ。褒められたりすれば嬉しいし、怒られたら悲しいし僕だってちゃんと言われたことで反応するもん」
「私だって感情が無いって言ってるわけじゃないわよ。ねぇ瑠璃は右手を失ってどう思っているのかしら」
「ちょっと不便だとは思うけど、なれたら何とかなるかなって今は思ってるかな」
「それ以外はなにかある?」
「ん~~~~~ないね」
「夏休みがもうすぐ終わるけど、学校に行くことに不安があったりしないの?」
「なんで?それに今の話の流れと学校が何か関係あるの?」
めっちゃため息吐かれたんですけど、遺憾の意を表明したいね。
これが瑠璃の本質になります。
次の話でもう少し掘り下げます。




