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第五話 二年B組

 中等部二年B組は今日もにぎわっている。


「おっはよう〜!」

 

 アイスケは歌うように挨拶して、教室の扉を開けると、いつものクラスメイトがにこやかに返事をした。


「おはよう」


「はよ〜」


「おは、よ………」


 天使な末っ子の後ろで、一人般若の如く形相で周囲に刺々しい殺気を放つユウキ。


 段々と周りの返事も活気をなくしていく。


「ユウキ兄ちゃん…………もうあの占いは忘れようぜ」


「ダメだよ…………臭豆腐のない今、アイちゃんを間男や間女から守れるのは俺だけ………!」


「男も入ってんの………」


「当たり前だよ!! アイちゃんの殺人級の魅力は老若男女にイチコロだよ!! 現にあいつも──」


「アイスケー、ハンカチ落ちたよ」


 クラスメイトの女の子がピンクパンダのハンカチを拾い上げた。


「あ、ありがと……」


「はいありがとう窓口はこちらで!! ベタな展開はお断りだからね!!」


「おいユウキ!」


「アイスケー、この悪魔学の宿題のさ〜、魔王ルシフェルが詠んだ句を述べよってとこなんだけど……」


「鳴かぬなら 焼き鳥にすっぞ ホトドキス!!」


「アイスケ! 魔王ルシフェルのIQは?」


「サル以下のゼロ!!」


「アイスケー、お前の父ちゃんって四股だっけ?」


「三股っ!!」


 ファーストフードの店員並みの速さで即答していくユウキ。


 無駄に神速で立ち塞がってくるし。


 もはや魔王の子としてのプライドがズタズタだし。


(中学生に舐められすぎだろ父ちゃん………)


「ダメだ………みんながアイちゃんを狙うハンターに見える………この教室は危険だっ!!」


「あんたの脳が危険よ」


 ココロのナイスツッコミに思わず頷きまくった。


「でもさ〜、ココロちゃん! もしユメがユメの可愛さに惚れた人に攫われちゃったら助けてくれる〜?」


「そのままお渡しするわ。食費が浮いてちょうどいいし」


「ひっど〜い!! がぶぅッ!!」


「いだぁっ!!」


 今日も犬猫コンビの姉妹は朝からじゃれあっている。


 相変わらずの四つ子の寸劇に、クラスメイトの笑いは絶えない。


 戦争の知らない人の子と魔王の子が、同じ教室の中他愛もない話で笑い合う。

 B組では日常と化した光景である。


 キーンコーンカーンコーン。


 寸劇も終了のお知らせ。


 アイスケは自分専用のチャイルドシート付きのイスに飛び乗った。


 ココロもユメカを引っ剥がして、二人とも慌てて後ろに並んで席につく。


 ユウキもしぶしぶといった様子で隣に座った。


 コツコツ、とコンクリートを鳴らす足音。


(ん?)


 ヒールのついた足音。兄のラムではないようだ。


 ガラリと扉が開くと、ふわりと花の甘い香りが広がった。


 透明感のある茶髪を、内巻きにカールさせた、雅やかな雰囲気を纏う女性が、にこりと教壇の前に立つ。


百合子ゆりこ先生………」


 魔法学担当の教師、来栖くるす 百合子ゆりこ先生。


 このクラスの副担任でもある。


 容姿端麗、品行方正、家は生花の教室という、少女漫画に出てくるようなお嬢様なのだが──


「皆さん! おはようございまっ──きゃあっ!」


 何もない床の上で、百合子先生は躓き派手にすっ転んだ。


 どーん! と突っ伏したあとに、抱えていたファイルが回転しながら飛んで、天井を弾いて頭の上にクリティカルヒットした。


 バサバサと資料の山に飲まれながら、百合子先生は涙目になる。


「い、痛いですのぉ………」


 容姿端麗、品行方正──だが少女漫画の主人公並みのドジ属性を持ち合わせる、ちょっぴり残念な美人先生だ。


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