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大会前夜③:ティアの視点

 本日分の報告書も作成し、改めて大会のプログラムを確認する。

 一回戦は八つの会場に二十人程度を振り分けてのバトルロイヤル。

 二回戦は一回戦で勝ち残った者が共闘してアスガルド王国の戦士達と戦う。

 大会としてはそれで終了。

 

「気になるわね。アスガルドが用意した戦士というのが」


 魔王に対抗するための人材を集める、というのが当初の目的だ。

 大会の開催は国同士で決められた計画のひとつ。

 運営自体はアスガルドに一任されていた。

 人材を見つけるという上では問題があるのではと勘ぐってしまう。

 

「自国が持つ戦士の実力を見せつけたい、そう思っても仕方ないな」


 アスガルドにも有名な将は幾人かいる。

 しかし、レベル80を超える者はいない認識だ。

 一回戦と二回戦を逆にしてもいい筈だ。

 

「それに彼等と手合わせ出来ないのも残念ではある」


 大会参加者を見た時、とある名前と村の名が目に留まった。

 リムルムント村。

 ソフィアとクリス。

 私達の国でも相当の実力者として名を挙げられた者達だ。


「私と同じ年くらい年齢か……」


 幼き頃から騎士の一人として育てられてきた。

 それ故に心を許せる近しい年齢の友達が出来たことは無い。

 時々、思う事がある。

 普通の人として生まれて来たなら、友人と笑いって過ごす時間もあったのかと。


「別に後悔しているわけではないのだけど……」


 与えられた地位は誰もが羨むモノだ。

 私自身、誇りに思っているし、期待には応えたいと思っている。

 なのに何故、そのような考えに至ったのか。


 昼間に話し掛けて来た優男のせいだ。

 少しの時間を過ごしただけで恋慕の思いが芽生えたというワケではない。

 何も気にせず街を散策できたことは、とても有意義だった。

 出店で売られた甘いだけの携帯食も不思議と美味しく感じたのも確かだ。


「城で兵士から分けて貰った時はあまり美味しくなかったのだがな」


 恐らく気分がそうさせたのだろう。

 大会開催により街が賑やかな雰囲気になっていたということもある。

 祭りは大会終了日まで続く。

 明日の私に演者として、国民を盛り上げる立場だ。


「仕事ではあるが見栄えより戦が出来ればそれはそれでいいのかもな」


 私の愛剣を見る。

 固有スキルが内蔵された伝説の武具。

 大会では刃を抜かず鞘に納めたまま戦うことが義務付けられている。


「剣のスキルを解放するだけなら問題ないだろう」

 

 本気を出せば相手を殺す事も可能だが力を抑えての使用なら大丈夫だ。

 国王は気に入らないがアスガルドの国自体は好きだ。

 彼等に少しでも貢献できるのなら本気を出す価値はある。

 それがリムルムント村の二人に試せればと思うと残念な気持ちになってしまう。


「叶わぬことを思っても仕方がないな。そろそろ明日に備えて寝るとするか……」


 仕事道具を全て鍵のある箱へとしまい、寝床へと入る。

 まだ布団に残る太陽の匂いと暖かみが布団が物凄く心地よい。

 昼に天日干ししたのだろう。

 これなら、明日に備えてすぐに眠ることが出来そうだ。

 そうして私の意識はすぐに微睡の中へと落ちていくのだった。


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