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065.ネコレンジャー奮戦中

 ◇◇◇◇◇


「これが昔、聡明な子猫って呼ばれた大臣のご先祖様のお話にゃ!(あせあせ)」


 アニィによって語られた、両国の建国と大臣とやらの先祖の黒歴史。

 それはどう聞いても、ミィラスラ王国の上層部のみが知り得ているだろう極秘事項。

 その事実に気づいてしまったコウヤは頭を抱え、そして諦めた。

 いままで思っていた疑問の答えを得た、と思う事にして……


「なるほど、そう言う事だったのなら、いくつかの疑問が解ける」

「ミィラスラ王国が、子猫(ケットシー)の侵入に対して弱腰だった事ですか?」


 ルネは、王国の子猫達の国境侵犯に対しての対応が、大人しかった事を言う。


「それもあるが、今回の護衛依頼に際して交わした契約の一文に対してもだ」


 コウヤは、その一文を差し示す。 


『護衛期間中に得た情報には秘匿義務が発生し、両者ともに口外を禁じる』


 これは、いまアニィが話した内容が、外部に漏れる事を警戒しての条件だとも取れた。


「リディアーヌ王女も、とんだクセ者だったようですね」


 ハツカが、少し不機嫌になりながら(つぶ)いた。


「いや、あの時に、この条件を出したのはシロウだ」


 この条件を提示したのは、不用意に自分達の情報が漏洩(ろうえい)するのを防ぐ為だった。

 それに対してリディアーヌ王女は、国家が認める栄誉を放棄するのか、と訊ねている。


 あの時の国境の街は、過去のアニィによる砦の破壊によって子猫(ケットシー)への悪感情があった。

 ゆえに子猫(ケットシー)の存在が明らかになると、パニックに成りかねない状況下。

 その事から考えれば、この護衛依頼を完遂させたなら、その評価は高いものとなる。

 ゆえにルディアーヌ王女は、それを高く評価すべきと考えていたのだろう

 その事からリディアーヌ王女は、この事実を、まだ伝えられていなかったと考えれた。

 そしてあの時、この一文を認めるように薦めた人物が他にいたのだ。


「どう言う訳か、リディアーヌ付きの執事、セドリックが、これを認めさせていた」

「セドリックさんがですか?」

「第二王女付きとは言え、その執事の方が事情通だった、と言う事ですか?」

「さあな、単に優秀さゆえの先見(せんけん)(めい)だったのかもしれない」


 コウヤは、セドリックに最初に会った時から、あまり良い印象を受けていない。

 それは早朝からの強引な召集や、人の思考を先回りする頭の回転の良さから来るもの。

 あれらは執事としての経験からくる職業病的な行動だったのかもしれない。

 しかしシロウ達と違って初対面だったコウヤにとっては、それは不快でしかなかった。


『ニャンダーブレーク』


【ガシャーンッ!】


 コウヤ達が油断していたタイミングで、ネコレンジャーが仕掛けた。


 天を差したネコレンジャー達の指先。

 そこに落ちて集められた雷光は、その場で指向性の雷撃に変換され百二足(ヒャクニ)に放たれる。

 百二足に向けられた電光石火の雷槍は、固い外殻を貫いて大サソリを沈黙させる。

 と同時に、その背後に身を隠していた黒爪狼(ブラッククロー)にも、その余波でダメージを与えた。


 その光景を見てコウヤは思わず(つぶや)く。


「あいつらよりもアニィの方が魔力が上、つまり高威力の魔法が使えるんだよな?」

「えっ? コウヤさん、何か言いましたか?」

「耳がキーンとします。よく聞こえなかったので、もう一度言って下さい」

「いや、大した事じゃない。気にするな」


 不意打ちの雷撃による轟音で、一時的にルネ達の耳の機能を低下する。

 それによってコウヤは言葉を切ってしまったが、その背中にはイヤな汗が流れていた。


 コウヤは、先ほどの黒歴史の中にあった子猫の女王の魔法を想像していた。

 あの話によれば、花火と(にご)してあったが、その威力は、この比ではないだろう。

 だからこそ初代ミィラスラ王は、子猫達との対話を選んだ。

 そしてその事が正しく伝わっているからこそ、子猫達の扱いに神経を使っている。


 コウヤは、それを理解し、改めて子猫達を冷静に判断している王国に敬意を持った。

 そして(あなど)っていた自分を反省する。


「よし、百二足(ヒャクニ)は、やっつけたのにゃ!」

「でも、犬っころは、まだ生きてるにゃ」

「しぶといヤツなのにゃ!」

「でも、かなり弱っているのにゃ」

「やっちゃえーい!」


 ──が、その反省も子猫達の反応を見ていると、どうしても薄らいでいく。

 子猫達は、その無邪気さゆえに、相手を油断させる事に()けた存在であった。


 ネコレンジャーは、倒した百二足には目もくれずに、黒爪狼に群がって行く。

 多勢に無勢、と言う戦闘が始まり、ネコレンジャー優位の戦闘が繰り広げられる。


「ここはもう、あいつらに任せておけば大丈夫だろう。他を捜すぞ」

「そうですね、あの子達は大丈夫そうですし、他に候補があるなら行きましょう」


 コウヤは、趨勢(すうせい)が決まった戦闘を見送る。

 ルネもシロウの捜索を優先して、次に可能性のある場所に向かおう、と言う。


「……二人とも、私は、もう少し、その百二足を調べていくべきだと思います」


 だが、ハツカは倒された百二足を見て待ったをかけた。


「ハツカさん?」

「何か気になる事があるのか?」


 ハツカの言葉を不思議に思ったルネ達が、その是非(ぜひ)を訊ねた。


「コウヤは、この百二足がシロウと接触した可能性が高いから調べに来たのですよね?」

「そうだ」

「それなら、ちゃんと調べておいた方が良いと思います。そしてルネ』

「は、はい」

「いまのうちに百二足から、毒のサンプルを手に入れておいた方が良いと思います」

「あっ、確かにそうですね。私の解毒薬は、百二足の毒に対応した物ではありませんし」


 ルネはシロウが百二足の毒を受けていた場合に備えて、自分がすべき事を再認する。


「コウヤは、百二足にシロウと接触した痕跡が無いか調べてもらえませんか?」

「分かった、やってみよう」

「では私は、あの黒爪狼が、こちらに来た時に備えておきます」

「はい、ハツカさん、気をつけてください」


 ルネは、ハツカに警戒を任せると百二足の毒腺を採取に向かう。

 そしてハツカは、二人から黒爪狼へと視線を向けた。


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