破壊作戦3
「あ、あなたは……」
真壁さんは屋根の上を見ていた。
そこには黒装束の人間が一人立っていた。
月光が雲の隙間から差して来て、その顔を照らす。
「りゅ、龍神⁉︎」
いや、あいつは俺を庇って死んだはずじゃ……
「龍神くん生きてたの⁇」
綾月さんも信じられないという顔をしている。あの時の綾月さんではどうしようもなかったはずの傷を負っていたのだから無理もない。
「おい、こいつ霊になって出てきたんじゃないか?陰陽師だし。」
金作が言う。
「馬鹿か貴様。んなわけないだろう。」
龍神が口を開く。
「龍神、どうして生きてるんだ⁉︎」
沙織さんも驚いている。
「それは帰ってから話す。今はこいつらを叩くのが先だろ。動きはもう止めておいた。後はあんたらの銃で倒せ。」
全員の表情が一気に明るくなる。
「「「おう‼︎」」」
「龍神、さっきの奴らの動きを止めたのって、どうやったんだ?」
学校の裏手を目指しながら聞く。
「昔の奴にあってな、そいつから聞いた。……前にいるぞ。」
前方にはカルダノが10体いた。
「俺が動きを止めるからその間に奴らを倒せ。」
すーっ、と息をするのが聞こえ、手を組むのが見える。
「第零式紅葉流封印術……鬼蜘蛛‼︎」
龍神からそう聞こえたその瞬間、カルダノの動きが止まる。
あまりのことに皆固まる。
「早く‼︎」
縄が解けたかのように素早い動きに戻る。
「こいつ、いったい何をしたんだ?」
金作が呟く。
それは俺も同じで、ここにいる全員も同じ考えだろう。
陰陽師ってのは本当によく分からない。分かっているのはこいつは強いって事と、もう学校の裏手はすぐそこという事だ。
「うわぁっ!」
共に走っている兵士が倒れる。
「カバーを入れろ!」
沙織さんと数名の兵士で倒れた兵士を囲み、綾月さんが治療にあたる。
「止血しまし……」
「囲まれてる、しかも数がハンパないぞ。」
綾月さんが沙織さんに止血した事を伝える前に、真壁さんがそう告げる。
今回は四方を囲まれていて、しかも、数は六十はあるだろう。
「薩美、これを持っていけ。」
沙織さんが背負っていたバックを渡してくる。
「この中にはポータルを破壊するのに十分だと思われる爆薬が入っている。これを持ってポータルまで行け。」
「そ、そんな無理ですよ……」
「お前一人ならな。だから綾月さんと金作もついていけ。ここは私達で抑えておく。龍神、中央の奴らの動きを止めてくれるか?」
「あぁ、流石に周りにいるやつ全員は無理だがな。……鬼蜘蛛‼︎」
「よし、今のうちに突破しろ!他の者は絶対にここから先に通すな‼︎」
「了解!」
真壁さんが後ろを向き、銃を撃つ。
「何をボケっとしている、さっさとこの戦いを終わらせてこい。」
「薩美、死ぬなよ。」
真壁さんと龍神が声をかけてくる。
二人の振り向いた顔は笑顔だった。
龍神、お前に言われたくないよ。
金作と綾月さんを見て頷く。
「「「了解‼︎」」」




