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でたとこクエスト ショタ神様の言うことにゃ

設定説明回です。

穴だらけで突っ込みドコロ満載ですが、大目に見てやってください。

いや、割とマジで。

 神を自称するお子様から詳しい事情を聞き出す前に、いったん落ち着こうということになって、俺達はちゃぶ台を囲んでいた。


 特に一縷には、それなりの時間が必要だろう。

 何せ、高校生活の思い出の1ページに新たな黒歴史を刻み込んだばかりなのだ。

 マジ凹みする一縷のその様子から、俺は『学校でセンセイのことを間違ってお母さんと呼んでしまった時』の軽く40倍の精神的ダメージを負っていると判断し、とりあえず、自力で立ち直るまで放置することにした。


 まぁ、今の一縷に何言ったって、逆効果だろうしなー。自力でガンバレー。



「で? そこの小っこいの。名前なんつったけ? ナハムト・・・、ナハトムなんとか。ま、どうでもいいか。

 ともかく、詳しい話を聞かせて貰おうか?」


 とりあえず、全員にオレンジジュースの入った湯呑みやらマグカップやらが行き渡ったのを確認してから憲吾が先を促した。


「うむ。もちろんじゃ」


 そう応えつつ、お子様は湯呑みを傾け、その中身を一口飲む。

「ほう。なかなかの美味じゃ」と小さく呟いてから、


「最初に断っておかねばならんが、お主らをこの世界に召喚したのは、我ではない」


 と、そう言った。


「お主らを召喚したのは、我が主ペンテシレイア様であり、我はお主らに助力を仰ぎ、契約の詳細を詰めるための交渉役に過ぎん」


 そこまで言うと、オレンジジュースを一気に飲み干して、雪乃へとお代わりを催促する。


 このガキ、遠慮しろよ。


「――――――そこでだ。物は相談じゃが、お主ら、冥王『タナトス』とか、サクッと殺って来てくれんか?」


 まるで大根でも買いに行かせるような気軽さで、とんでもないことを言い出した。


「いやいやいやいや」


 俺は笑顔を維持したまま、額に青筋を立てる。


「何言ってんだテメー。ただの高校生が数人がかりで、殺れるほどチョロイ相手なら、こっちの世界の人間でも、ちょっと頑張れば殺れんだろ?」


 俺の完膚無きまでの正論に、お子様は湯呑みの中身を、ゆっくり時間をかけて飲み干すと「ふー」と息を吐き、自信満々な顔で、きっぱりはっきり言い切った。


「無理じゃ」


「何でじゃ!?」


 反射的に声を荒らげる俺。


 うぬぅ。憲吾に任せるつもりが、生来のツッコミ気質が災いして黙っていられない。


「仕方あるまいよ。タナトスはそもそも、冥界『ロウテルモン』を統べる王にして、古き時代の神々が1柱じゃ。


 我ら新しき時代の神々とは犬猿の仲での? 数万年前に台頭を始めた我らに対抗するため、タナトスは自らに強力な呪いをかけたのじゃ。

 その呪いというのが、タナトスが冥界におる限り、我ら、新しき神々がどのような手段を用いてもタナトスに傷1つ負わすことが出来ぬというデタラメなものじゃ。

 とはいえ、その呪いの代償に、タナトスは冥界を出ると直ちに死んでしまうのじゃがな。


 ともかく、その呪いの効果のせいで、我らはおろか、我らの創造物である、全ての生ある者までが、タナトスに毛筋ほどの傷も負わせられなくなってしまったのじゃ。


 脆弱な人間にまでその呪いの効果が及んでおるのは、その昔、ラグナロクの時代、人間の英霊を使って数多くの古代神を屠ってきたから、それを警戒してのことじゃろう。


 だがまぁ、殺せぬというのなら、そのまま封印してしまえばいいという話になってじゃな。


 我らは多大な犠牲を払いつつも、タナトスとその眷属を冥界の奥深くへと封印することに、どうにか成功したのじゃ。


 それが、今からおおよそ、3000年前の話での?

 どうやらその封印が、最近になって、一部破られたらしく、その綻びからタナトスは自らの眷属たる妖魔を人界クアドラードへと送り込んでおるのじゃ」


「なるほどな。そのタナトスとか言うヤツの呪いがかかってない、異世界人である俺達の力が必要だってわけだ?

で? その妖魔とやらは、こっちの世界の人間でもちゃんと殺せるのか?」


「ふむ。そこなんじゃがな。妖魔というのは、人界クアドラードで活動するには、それ相応の『依り代』を必要としてな。


 低級の妖魔なら小動物や、同じく低級のモンスターに憑依し、その肉体を自らの都合の良いよう書き換えてしまうのじゃが、その依り代を破壊することはこちらの人間でも可能じゃ。

 だが、妖魔本体にはダメージを与えることは出来ぬ」


「うん? ソレって何かオカシクないか? タナトスは冥界を離れると死ぬんだろ? なのに、その眷属の妖魔が人界を死なずにウロウロ出来るのに、こっちは妖魔に傷1つ負わせられねーってのか? なんか普通にダブスタじゃね?」


「そんなこと、我に聞かれても知らん。呪いの類は専門外なのじゃ。

 ともかく、分かっておるのは、妖魔をそのままにしておいた場合、やがて新たな依り代を得て、復活するということじゃ。


 ま、言うてみれば、分の悪いイタチごっこじゃな。


 ――――――とはいえ、何も我らとて、ただ黙って、手をこまねいておった訳ではないぞ?

 無論、対抗策は講じてある。

 とある因子を、才ある男へと授けたのじゃ。

 殺せぬ妖魔をその身に封印し、力と変える、いわゆる『封魔』の力じゃ。

 その封魔の因子は男の子共から孫へ、さらにその子供へと広がり、今ではかなりの人間がその因子を持って産まれて来るのじゃが、封魔の力を発露するのは、ごく限られた適性者のみじゃ」


「ほー。そんなのがいるんなら、俺達の出番はなさそうだなー。という訳で直ちに俺達を地球に戻せコノヤロー」


 そうゴネる俺を、お子様はチラリとウザそうな顔で見やると、俺を無視し、自分でオレンジジュースを湯呑みに注ぐと、一息に飲み干した。


 コノヤロー、それは俺が買って来て冷蔵庫に置いてたジュースだぞ?

 それをぱかぱか、ガブ飲みしてんじゃねーよ。

 こっちにゃ、コンビニとかねーんだろ?


「とはいえ、じゃ。それは苦肉の策に過ぎぬ。妖魔の力を使い、妖魔に対抗する力とする。

 それは一見合理的に見えるが、考えてもみぃ。そこらをほっつき歩いとるノラ妖魔を幾ら力に変換した所で、神たるタナトスに敵うものか。


 じゃが、お主らは例外じゃ。それはお主ら『日本人』が神を祖としておるからじゃ。

 いわばお主らは『霊性を喪失した神』そのものと言える。

 お主らは器として極上の素質を備えておる。

 同じ因子であっても、お主らに宿らせれば、効果は絶大じゃろう。

 こちらの世界にいる最上位の封魔師など足元にも及ばぬ、遥かな高みへと至ることが可能じゃろう」


「ふーん。そういうことなら、まぁいいんじゃねぇか? 実質チートを授かるようなもんだろ? ギーは不満みたいだが、俺は納得したぜ」


 おいおい。マジか憲吾? この話がマジでも、つーか、むしろマジなら俺達の命が幾らあっても足りねぇぞ? 神様すら手を出せないようなヤバイのと戦えって言ってんだぞコイツ?


 俺は憲吾の真意を探るため、彼の目をジッと見やる。

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。


 はぁ、駄目だ。憲吾のヤツ、すでにヤる気満々じゃねぇか。

 一縷は聞くまでもないだろうし、雪乃だって、たとえ日本に帰れるとしても、二人を置いていくことはしないだろう。


 俺だってそうだ。

 クソッ! 結局俺が選べる選択肢なんて、始めっから1つしかなかったんじゃねーか!

 コイツらのいない日本になんて戻ったって意味ねーよ。


「あーもー、分かった。そんな目で見んな。俺も付き合ってやるよ!」


 半ばヤケクソ気味に声をあげる。

 だから、そんな生暖かい目で俺を見んじゃねー。


 そんなことよりも、俺はショタ神様に確認しなきゃなんねーことがある。


「仕方ねぇ。協力してもいいが、その前に幾つか俺の質問に答えてもらおうか?

 俺の質問は3つ。

 1つは俺たち以前に召喚された人間はどうなったのか、2つ目は、俺達が地球に戻るにはどうすればいいのか、そして最後は、今回の召喚で俺達を含めた、何人がこの世界に召喚されたのか、だ」


「ふむ。何かと思えば、そんなことか。どれも答えるのは容易い。

 まず、この200年の間に、召喚された日本人の数は186人に上る。

 ある者は上位妖魔との戦闘で亡くなり、ある者はこの世界に根を張った。

 ちなみにタナトスへと至ったのは、その内の12人ほどじゃ。そのいずれもが死んだ。

 地球への帰還はタナトスを倒した時にこそ叶えられるじゃろう。

 そして、最後の質問の答えじゃが、今回、召喚されたのは、お主らを含め、16人じゃ。この建物に居合わせた全員ということになる」


「ええっ!? それって、わたし達の召喚に巻き込まれったってこと?」


 それまで無言で、ショタ神様の言うことを聞いていた一縷が驚きの声を上げた。


 その瞬間、ショタ神様がビクッと、体を強張らせる。さっきのことが原因で、ちょっとトラウマになってるようだ。

 ちなみに雪乃は話に興味がわかなかったか、うつらうつらと船を漕いでいる。


「いや、むしろ巻き込まれたのはお主らの方じゃが?」


「はい?」


 一縷はショタ神様の言っている意味が理解できなかっのだろう、アホみたいな顔をしている。


 まぁ、それは俺も一緒だったが。いや、理解出来ないというより、したくないってカンジか?


「いや、だからじゃの? 巻き込まれたのは『お主らの方』じゃと言っておるんじゃ」


「ええーっと? つまり???」


 一縷はきっかり3秒をショタ神様の言葉を理解するのに当て、やおら部室の天井を見上げた。


「マージーかーよー! うわー、もー超やってらんねー! 『選ばれし勇者で逆ハーだー』とか思ってたら、ただのオマケかよー。超やってらんねー!」


 いや、一縷さん。そんなこと思ってたのか? お兄さん悲しいよ?

 つーか、そんなことより、俺の覚悟返してよっ!

 『コイツらのいない日本なんて帰っても意味ねーよ。キリッ!』とか、内心とはいえ、やっちゃったじゃねーかよっ!

 俺、恥ずかしさで顔、真っ赤っ赤になっちゃうよ!




「あー、一応聞いておきたいんだが、俺達は誰の召喚に巻き込まれたんだ?」


 憲吾がオズオズと手を挙げ、ショタへと聞いた。

 もう、お前なんか敬称略で十分だ。


「ふむ。それを聞いてどうしようと言うのかは知らんが、まぁいいじゃろう。

 我が主ペンテシレイア様が所望せし、人間は『天祥院明テンショウイン・アキラ』と『来栖真希菜クルス・マキナ)』の二人じゃ」


「ケッ。リアルチートは異世界でもチートですかっ! そうですか!」


 やさぐれた一縷がオレンジジュースを「グッ」とあおると、ショタからオレンジジュースを引っ手繰り、ペットボトルに直接口を付け「んぐんぐ」と一気に飲み干す。


 おおー、一縷が呑んだくれのオヤジみたいになっとる。


 だが、まぁ一縷の気持ちも解らなくはない。

 なにせショタの挙げた二人は、我が校の誇る2大チートである。


 天祥院明は、地元の名士である天祥院家の跡取り息子であり、俺の偏見満載なイメージだと、幼少期から帝王学とか叩き込まれているに違いないのだ。

 その上、ヤツはスポーツ万能で模試とかも全国上位常連の完璧超人である。しかも見た目はクール系イケメンときた。


 そんなヤツの口癖は「弱者は死ね」(注:ギーの偏見で構成されています)もしくは「人がゴミのようだ」(注;ギーの偏見で構成されています)のどちらかに違いないのである。


 そんな天祥院はベタなことにウチの学校の生徒会長をしている。


 んで、来栖真希菜だが、コイツもコイツで負けず劣らずの完璧超人である。

 スポーツは言うまでもなく万能で、勉強も天祥院明と競るほどだ。

 性格は豪放磊落で人情に厚く、スタイルもモデル並み。邪魔になるからと肩に届く程度で切り揃えられた黒髪と、太めな眉が凛々しい、勝気な美人だ。


 そして雪乃に勝るとも劣らない巨ッパイの持ち主である。雪乃に勝るとも劣らない巨ッパイの持ち主である。

 ハイ。大事なことなので、当然のように2回いいました。


 そんな来栖は気さくな性格と面倒見の良さで、男女共に人気があり、次期生徒会長候補筆頭と目されていて、現生徒会による半ば強引とも取れる校則改定の抑止力として風紀委員長に就任していた。


 生徒会と風紀委員との対立は最早、ウチの学校の名物となっている。

 今日も夏祭りということで、ハメを外す生徒がいないかどうか、共同で見回るという名目の下、学校に集まっていたのは知っていたが、それが、なぜ2人揃って文化棟にいたのかは知らない。


「ちなみに、じゃが」


 ショタは何となく落ちた沈黙を破って、そう前置きする。


「召喚された16人の中で言えば、お主らの素質は、それこそ下から数えたほうが早い。

 とはいえ、なぁに、気に病むことはない。

 お主らはこっちの世界の常識に当てはめれば、途轍もない素質を備えておるのじゃからな。

 ただ日々を暮らし、生き延びるだけなら、何の心配もないぞ?」


「あー、全然フォローになってないフォローきたー。うわー。マジかー。その補足情報マジにいらねー」


 一縷は天井を見上げ、泣き言を言う。


 まぁ、むしろ俺なんかは、それを聞いてホッとすらしていたが。

 タナトスの相手は2大チートに任せておいて、俺らは楽させて貰うか。


 とか、半ば以上、本気でそう思っている俺はどこまでも脇役体質なんだろう。


次はチュートリアル戦闘です。


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