90話目
「それよりも、捕縛するって言っておいていきなり殺しに来るとは驚いたな」
「え? あっ、ごめ――、ううん、あなたの強さを見抜いた攻撃を加えたまでよ! 手加減ってやつよ! 実際、無事だしね!」
リナちゃんは、自分がやった行動を正当化するように早口で言い訳する。一瞬、謝ろうとしたあたり素の性格が垣間見える気がするけど、言動が一致していないのはある意味脅威だ。
「そっちがそういうつもりなら、私たちも抵抗させてもらう。手足の一本くらいは覚悟してもらおうか」
「そ、それよりもあなた達、本当にランク2なの?」
「お前の言うランクとは何だ?」
アオイさんは、ランクについてはすでに知っているはずなのに、あえてなのかリナちゃんに聞き返していた。リナちゃんは律儀に攻撃をやめ、指を一本ずつ折り曲げながらランクについて説明し始めた。
「え? ランクを知らないの? えっとね、ランク0はこの力に全く適応できない人たちで、ランク1は再生能力は得られるけど力を使えない人たち。そして、ランク2は体が常に変化した状態の人たちで、ランク3は大きく体が変化した人たち、そして私の様に自分の意志で変化できるのがランク4よ! どう? すごいでしょ!」
ただのランクの説明が、なぜかリナちゃんのランク4自慢になった。
「ランク4というのは少ないのか?」
「そうね。世間ではマリア様から力を得てランク4になった人たちを真の使徒って呼んで領地を治めているんだけど、残念ながら私みたいに14番目以降にランク4になった人たちは、領地を与えられてないから認知度が低いのよね」
「マリアは、それを見越した上で真の使徒とやらにする順番を決めたんじゃないのか? 正直、お前に領地を治められる器があるとは思えない」
「失礼ね! 私だってやればきっとできるわよ! ま、まあ、アイラさんにも私には無理って言われちゃってるけど・・・」
「あ、すでに言われてるんですね・・・」
「うるさいわね! それで! あんたたちは結局なんなのよ!」
「なんなのって言われても・・・。私たちは、マリアさんとは別口でこういう状態になったとしか・・・」
「へぇ。そういうのがあるんだ。初めて知ったわ。あなた達、いろいろ知ってそうね。やっぱり、捕まえて情報を吐かせるほうが正解かしら」
「それは、捕らぬ狸の皮算用と言うんだぞ?」
「えっと、どういう意味?」
「・・・実際に勝ってから考えろということだ!」
アオイさんが再びリナちゃんへと攻撃を開始した。リナちゃんは、透明化を使わずに舌で応戦している。鞭のように使ったり、さっきの私みたいに突きに使ったりと変幻自在だ。これで舌まで透明化したなら強いんだろうけど、リナちゃんの言動からはきっと舌が透明にならないか、舌に力を使いすぎて同時使用できないようだし。
舌の動きが見えているアオイさんは、順調にリナちゃんを追い詰めていった。リナちゃんの皮膚は固くないようで、アオイさんのカッターや包丁でも簡単に傷を負う。すぐに再生するけど、再生は無限じゃない。特に外部からエネルギーを得るタイプだと思われるリナちゃんにとって、長期戦は完全に不利なはずだ。
「私も加勢します!」
とりあえず、リナちゃんを戦闘不能状態に追い込むことが先決だよね。




