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ゾンビにされた  作者: 斉藤一


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88話目

 リナちゃんの見た目が確定する。目が飛び出て、左右別々にぎょろぎょろと動く。


「き、気持ち悪・・・」

「あー! 気にしてることを! だから、この姿は嫌いなんですよね!」


 リナちゃんは、爬虫類の顔であまり変化してない表情だが怒ったようだ。


「とりあえず、殺しますから、おとなしく殺されてくださいよ」

「どうして私たちを殺す必要があるんですか? 別に、反逆するつもりなんてありませんよ!」

「そんなこと、私だって知らないし。けど、マリア様が邪魔になる存在っていうなら排除するのが当然でしょ?」

「当然・・・かなぁ?」

「まあ、油断してやられちゃったら話にならないから、最初から本気で行くわよ」


 リナちゃんはわざわざそう宣言すると、ぼろい布の服を投げ捨てた。体は少し女性のスタイルではあるけれど、ほぼ爬虫類の見た目だった。そして、何のために服を投げ捨てたか理由もわかった。


「えっ! 体が透けていく?」

「なるほど。擬態というやつか? どうやらあの見た目はカメレオンらしい、な!」


 アオイさんはまだ見えているうちにリナちゃんへ攻撃を仕掛けたけれど、リナちゃんはその辺のコンテナの陰へと入り込んだ。私もすぐにコンテナの後ろを覗いたけれど、そこにリナちゃんの姿は無かった。


「リナちゃんはどこに?」

「どこにも行ってませんよ?」


 目の前からリナちゃんの声が聞こえ、私はどうやら殴られ、ごろごろと転がる。


「痛っ! なんていう固さなの。あ! それと私をリナちゃんって呼ぶな! こう見えても私は大人なんだから! 小さくなったのはただの副作用!」

「え? そうなんですか?」

「私と同じく見た目が若返ったということか。それと、どうやら風景に同化できるのは自分自身のみのようだな。服を脱いだし、武器も持っていないようだ」

「うるさいわね! 普通の人間だったら、もう殺し終わってるんだから!」

「あいにく、私たちは普通の人間では無いのでな」


 アオイさんはわざと会話をしてリナちゃんの居場所を声で特定しているようだ。聴力のいい私には、リナちゃんの距離まで分かるけどアオイさんはそこまで正確な位置は分からないみたいだけど、代わりに地面をしっかり見て本当に小さな小石の動きなんかを見ているのが視線で分かった。


「どうして私の場所が分かるのよ!」

「それは秘密に決まっているだろう? ふむ、カメレオンの擬態程度じゃこの風景の同化具合は説明できんな。ナノマシンが迷彩服の様な補助をしているのか?」

「そんなこと、私が知るわけないでしょ!」


 リナちゃんは、声で場所がばれていることを理解していないのか、普通に会話を続けている。そして、アオイさんがリナちゃんの動きを誘導し、私に背を向ける形だと思われる位置へ連れてきた。


「そこ!」

「っと、危な! あんたも私の位置が見えるの? それじゃあ、私の能力の意味がないじゃない!」

「そ、それは知りませんけど・・・」


 どうやら目の可動範囲が広いのか、ほぼ後ろにいた私も見えていたみたいで攻撃を躱されてしまった。あっちの攻撃は単純な殴る蹴るだけだと思われるので、こっちにとって有利な戦闘だと思う。

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