213話目
「あっ、床、掃除してくれたんだ。ありがと」
「いえ、ちょっと汚したかなって思って」
「うちは掃除なんてほとんどしないから、元からだと思うよ」
「その割にはそれほど汚れは目立っていないけど?」
「ヨウコがたまに掃除してるんだと思うよ。あいつはうちよりは綺麗好きだからな」
「比較対象がアイちゃんだと、それがどれほどなのか分かんないんだけど」
「まあ、ここを見れば分かるだろ?」
「それだと、普通よりも少しずぼらっぽいんだけど」
「そうかもな」
アイちゃんは濡れた髪をタオルで拭きながらトレーニングルームを見渡しています。設備はそれなりに綺麗になっていますけど、使わないようなところは掃除してないって感じですかね。
「汗流してさっぱりしたら、もっかい運動する気は無くなったかもしんない」
「別にいいよ」
「カエデはシャワーを浴びなくていいのか?」
「私は汗をほとんどかかないから、汚れないんだよね。汗臭さはないし、トイレもしないから汚いって感じはないかな」
「なんだそれ、便利だな。じゃあ、せめて服くらいは洗濯するか?」
「私、代わりの服を持ってないよ」
「ジャージくらいならあるよ。うちのだけど、洗濯されてるから汚くないよ」
「でも、制服って乾くのに時間かからない?」
「晴れてるからすぐ乾くって。それに、乾くまでの服は貸すから」
私は自分の制服をつまんで見ます。制服は頑丈だし、汚れは目立たないけど、それなりの日数洗濯していませんね。せっかくだから、たまには洗濯するのもいいかもしれません。
「分かった。それじゃあ、服を貸して」
「いいよ。あっ、下着はどうする?」
「さっきも言ったけど、トイレはしないから下着は汚れてないと思うからそのまま同じの使うよ」
「じゃあ、ジャージを持ってくるから着替えてくれ」
「うん、分かったよ」
アイちゃんはジャージを取りにどこかへ行きました。しばらくすると、ジャージを持ったアイちゃんと一緒にヨウコさんも来ました。
「アイから聞いたけど、服も下着も無いんだって?」
「うん。だからあんまり着替えないよ」
「あたしので良ければ貸すよ? あたし好みの服、近くの家から拝借してるから。下着も、たぶん新品っぽいやつがいくつかあるはず」
「そんな貴重な物、借りられないよ。それに、大阪へ行けば新しい服があると思うし」
「ふーん、大阪ねぇ・・・」
ヨウコさんが、何か含みのある言い方をしましたね。大阪の事を口走ったのはまずかったですかね?




