120話目
「その種を適当な地面に撒けばすぐに育つわよ。日光と水があればどこでも育つわ」
「そうなのか? それなら野菜を育てたことが無いあたしでも育てられそうだ。助かる、ありがとう」
ミユちゃんはユカリさんから貰った種を大事そうにぎゅっと握る。
ミユちゃんから他の人達に大人しくする様に言い、拘束を解いた。と言っても、解くことを考えられていなかったため、普通に力で引きちぎるしか方法が無かったんだけど。
「ごめんなさいね。拘束を解く方法を考えていなかったわ」
「だが、植物にそれを求めるのは不可能なのでは?」
「そうねぇ。一応、時間が経ったら枯れるとかならできると思うけど」
「できるのか・・・。しかし、いつまで拘束するか分からないから、枯れるのは時間制限じゃない方がいい」
「だったら、一部の葉っぱをちぎると枯れる、とかにしようかしら」
「そんなに詳細に作れるのか・・・」
ハルカさんとユカリさんが拘束弾の改良について話しているのを聞く。ユカリさん、研究所に居た時は生きる気力が無くてずっと心有らずの状態だったけど、今は随分と楽しそうに見える。
「お前たちを大阪へ連れて行ってもいいぞ? オミ様には私から話を通す」
「いや、いいよ。あたしらはここで暮らす。地元を離れるのは嫌なんだ。―――ところで、みんなをもとに戻す方法とかってあるのか?」
ミユちゃんはハルカさんの誘いを断る。そして、ミユちゃんの問いに答えられるのはアオイさんだけかな。アオイさんがミユちゃんに向かって説明した。
「元に戻すというか、体の中のナノマシンを排除できれば元に戻るだろうが、いまの設備状況では不可能だ。唯一、大阪ならそういう設備を作り出せそうだが」
「・・・分かった。あたしは大阪へ行く。少しでも早く元に戻せるように、いろいろ勉強することにする。だから、あたしたちを大阪へ連れて行ってください」
ミユちゃんは頭を下げてハルカさんにお願いした。
「さっきも言った通り、私は連れて行っていいと思っていたから構わない。カエデ、もう一度戻る事になるがいいか?」
「構いませんよ。今から戻っても夜になると思うので、今持っている食料をここでつかって、明日食料を貰いに戻りましょう」
アヤヒさんの情報をくれたミユちゃんのお願いだから、これくらいの遅れは構わないだろう。
大阪から持ってきた新鮮な食料は、ミユちゃんに絶賛されていた。




