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転生したらナニしよう?  作者: とらじ
第1章 異世界転移編
12/24

第十二話 銅級昇格試験(下)

エレナが無事であることを確認して落ち着いたタイシは辺りを見回す。

「ここって…ダンジョン前の広場?」

「そう見えるけど…タイシ、私たちスケルトンキングと戦ってる時に多分気絶したよね…」

「ああ…たぶんトラジさんが運び出してくれたんだと思う…」

ダンジョン試験の合格条件はスライムの魔石を10個持って脱出することだ。

僕らは自力で脱出を出来ていない。つまり…

「また来月頑張ろうか…」

「そうだね…次はもっと安全な作戦を考えなきゃね…」

二人して落ち込んでいるとトラジが戻って来る。

「どう?体におかしなところはない?打ち合いもできそう?」

「いやいや…僕たちはダンジョンから脱出する前に気を失ったんですよ?減点どころか一発アウトじゃないですか?」

そういうとトラジは不思議そうな顔をする。

「パーティーの仲間が運び出してもダメかい?」

「…?トラジさん…どういうことですか…?」

エレナの疑問にトラジは答える。

「本来、この試験は三人パーティーで行うものだろう?でも君たちは二人なのだから枠は一つ余っているはずだよね?」

「トラジさん、まさか…」

「その枠に僕が入ったのさ。まあ君らを助けただけなんだけどね…」

「充分ですよ!じゃあ午後の試験さえ大丈夫なら…!」

「あー…それなんだけどね…」

トラジはなんだかばつの悪い顔をする。


「まさかペーパーテストが受けられないなんてね…」

今日のスケジュールは12時までがダンジョン攻略、一時間休憩を挟んでからペーパテストを2時まで…そして僕らが起きたのはちょうどその2時だったのだ。

「私も今日の範囲は自信があったから…残念…」

まあ、命あっての物種という言葉もある。まだ不合格でないことを喜ぶべきだろう。

「いくら三人いてもその連携では勝てる相手にも勝てないぞ。次だ。」

現在は打ち合いの試験中だ。広場に円状の空間を作り、そこでライズさんとシャールさんが時々交代しつつ先ほど組んだ即席パーティの冒険者たちと戦っている。

「タンクの君、もっと前に出なさい。その距離では何もできないぞ。魔法使いの君は魔法の威力は良いがタイミングが悪い、仲間の邪魔をしてしまっている。剣士の君は戦い方はとてもいい。しかし力が弱すぎる。ステータスを鍛えるだけでなく筋肉を付けることも意識しなさい。次だ!」

ライズさんは冷静に戦いながら相手を分析していく。しかも、連戦しているというのに疲れた様子が無い。

「ライズくんは君の兄弟子だよ。君のように魔力があまり多くないから参考にできる部分も多いんじゃないかな?」

横にいるトラジはそんな説明をしてくれる。

「少し気になったんですが…あんなに沢山の冒険者と連戦してるのになんで全然疲れてないんですかね?」

「それはね…彼はレベルアップしてるからだよ。彼は自分の中の壁を乗り越えてその魂の器を昇華させた。だからあんなに余裕たっぷりで戦えるんだよ。」

「なるほど…どうりであんなに速い動きも出来るんだ…」

エレナの言う通りライズさんは一瞬で後ろに回り込んで冒険者の背を木刀で叩く。

「君は知識はあるようだがそれを有効に使えるほどのステータスになっていない。もっとダンジョンで経験を積みなさい。次はそこの冒険者!」

こちらにライズさんは指をさす。

とうとう順番が来た…準備を始めていく…

「僕らの番か…全力を尽くそうね。」

トラジはそう言って空間に入ろうとするが止められる。

「貴方じゃあ相手にならないでしょう!師匠なんですからおとなしく弟子達を見守っててください!」

「ちぇ…ライズも言うようになったじゃないか…」

トボトボとトラジが歩いていく間に僕とエレナは準備を終える。

「それでは打ち合い…スタート!」

シャールさんの掛け声で打ち合いが始まる。

「ふっっ!!」

全力で剣を横から振るとライズは少しきつそうな顔をしつつ剣で受け止める。

「力は強いが大振──」

「【ルシェンド】!」

がら空きになったライズの右半身に向けエレナが魔法を放つ。ライズは後ろに下がり体制を立て直そうとする。

「【テプロ】!」

それを壁によって阻止し魔法を当てる。今日初めてのライズへのクリーンヒット。周りからは驚きのどよめきが聞こえる。しかし、レベルアップしているからか案外怪我はしていないようだ。

「なるほど…最初の大振りは囮か…そこにルシェンドを打つのも素晴らしいセンス…さらに壁のタイミングも天才的だ…シャール、流石に荷が重い。彼らだけ二対二でやらせてもらおう。」

シャールも舞台に上がり条件はイーブン…と言いたいところだが…

「トラジさん!シャールさんもレベルアップしてます?」

「ああ!二人ともレベル2だよ!」

いくら何でも不利すぎるだろうと思っているとライズが口を開く。

「大丈夫。一撃入れた時点で君たちの100点はすでに確定している。それとも…やめたいかい?」

既に100点なら合格は確定だ。しかし…

「いえ!どこまで通用するか試させてください!」

格上相手でも策に嵌めれば勝てるのか…それを知りたかった。

「じゃあお互い見合ってー…始め!」

トラジが仕切り直し勝負が再び始まる。

「【ルシェレンド】!」

シャールは僕を牽制する思いもあるだろう。まるで太陽の様な火球を撃つ。

「【アイナト】!【ルシェンド】!【ザラビィ】!」

でも何も言わずともエレナが魔法に魔法をぶつけて穴を開ける。そこを通り抜けてシャールに剣を振り下ろす。

「【シールド】!」

シャールはシールドで剣を止める。剣を防げるほど頑丈だとは思っておらず意表を突かれたが…

「【テプロ】!」

シャールの真下から勢いよく壁を生やしシャールを上空へと弾き飛ばす。

「【トライン】!」

驚きで無防備になった彼女に魔法を放ち、ライズの方を向く。あまりに一瞬の出来事に驚いていたが彼は先ほどの様にはならないために大振りに備える。

「【ザラバルン】!」

しかしこちらも意表を突くために魔法を放つ。シールドで上手く防いだようだが綺麗に隙が出来ている。

これなら…入る!

剣を振りかぶり大きな一撃を入れようとする。

「【メイロンド】!」

その瞬間、シャールの放ったその魔法はすごい物だった。僕とエレナは水球に閉じ込められる。

「とどめだ!【テウロ――」

「【トライト】!」

トラジが魔法をライズの眼前に放つ。

「ライズ…今テウロンド使おうとしたでしょ。」

「…すみません。」

「なーにしてるのさ!弟子を殺す気かい!?とりあえずシャール、魔法解いて。」

水球が崩壊し、解放される。

「まあ…なんだ…素晴らしい勝負だった。久しぶりに燃える勝負だったしな。よって百点を…」

ライズはそこまで言うが…周りの観客の文句が止まらない。

「し、しかし…100点以上には…少し足りないというか…」

「これでもですか?【シュリント・メイロンド】」

エレナの魔法によってライズ、シャール、ついでにトラジが水球に捕まる。やっぱりエレナはとても強い…

「ほっ!」

トラジが素早く剣を振り、自らを閉じ込める水球を切り刻んで脱出する。

「君らのオリジナル魔法を使わなきゃ勝てなかったんだしその再現まで出来てるんだ、実質彼らの勝ちだろ?僕としては200点はあげたいかな。良いだろう?ライズ。」

ライズは水球の中で頷き、僕らの200点が、合格が確定する。しかし誰も反応しない。

当然だろう。未だにシャールもライズも閉じ込められているのに…余裕を持って脱出できた彼は一体…?そんな声が聞こえてくるようだった。

「えーと…僕はこの二人の師匠で…いたずらで閉じ込められることもあって…だから出られたと言いますか…」

そんな視線を感じたのだろう、トラジは弁明をしてその場を何とか治めようとしていたが…この後もトラジへの視線が消えることは無かった。


「じゃあ、合格発表はまだだけど…どうせ合格なわけだし、かんぱーい!」

その後、僕らは居酒屋?で打ち上げをしていた。

「まあ僕のおごりだからタイシもエレナちゃんも好きに飲んでよ!」

そんな言葉から始まった打ち上げ飲み会。目の前には焼き鳥やソーセージなどのつまみが並んでいる。

「タイシ?飲まないのかい?」

「僕…17歳なんですけど…お酒って20歳からじゃないんですか?」

「…君の世界ではそうだったのかい?」

「タイシ…ステータスの開放をして冒険者登録をしてれば15歳から飲める…」

「ステータスの解放をすれば毒物への耐性が上がるからね、君でももう飲めるよ。」

…衝撃の事実だ、でもせっかくだから飲んでみようと思い机に置かれたビールに手を伸ばす。

「…結構苦いですね。」

昔、親から味を聞いた時と同じ感想が浮かぶ。

「ん、私のと交換する?このお酒、柑橘系で飲みやすいよ?」

たしか「カシスオレンジ」だっただろうか。ありがたく交換して飲んでみる。

「おいしい…!」

「ふふ…また間接キスだね?」

彼女エレナは笑う。ずっと守りたい笑顔で。


飲み会から少し抜け出して僕はお墓に来ていた。

「スカイ…君も好きだっただろう?」

持ってきたシードルをメイズドで作ったコップに入れて彼女の墓に置く。

「…すごい弟子が出来たんだよ。一人は魔法が苦手で力がある。もう一人は力は無いけど魔法が得意。まるで僕たちみたいだろ?」

ここにあの子は居ない。それでも僕は青空スカイに話しかける。

「それに…僕たちみたいに二人とも両想いみたい…不思議な巡り合わせだよね…」

「ふふ、確かに私たちみたいですね?」

声の方向を向く、でも誰もいない。幻聴かもしれない。

「ああ、君のように強くしてみせるよ。」

それでも虚空に僕は話し続ける。話している間はあの子と繋がっているような気がするから。

4000文字です。

お読みいただきありがとうございます。

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