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その聖女、ゴリラにつき  作者: 時任雪緒
第4章 学園生時代

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4-14 論功行賞と契約結婚

論功行賞が執り行われるのは、皇城の謁見の間だ。ウチの帝国凄いでしょ?と言わんばかりの広間である。

ウチの地元特産の最高級アラクネシルクを、絨毯にするなんて贅沢すぎない?

皇帝陛下の座ってる椅子を鑑定したら、最古魔樹って出てくるし、どーなってんの。

この広間だけで、その辺の国の国家予算くらいあるんじゃなかろうか。


そんな部屋に私達も招かれている。皇帝陛下が中央にいらして、雛壇には宰相はじめ大臣。並べられた数百の椅子には、スタンピードに協力した貴族、その家族、騎士、学園生達が座っている。


呼ばれるのは功績の上から順だ。これは純粋な功績だけじゃなくて、政治的なアレコレも絡むだろうと予測している。困った事に、私にはそのアレコレに予測がつかないけど、それでも私の扱いが悪いなんてことは無いだろうと思っている。

少なくとも皇帝陛下は、私にご褒美をくれると言ったのだし。

最悪私に雑な扱いをしてもいいけど、義父や、義父の補佐をしていたトーマス、ニコール様の補佐をしていたお姉様達に報いてくれたら、私としては文句は無い。

本当に本当に、みんな頑張ったんだもん。


皇帝陛下が、儀仗を床に打ち鳴らした。それを合図に宰相閣下が目録を読み上げる。


「これより論功行賞を行う。まずは第1の功。初戦から単独で参戦し、2500を超える圧倒的な魔物に対し、過半数を打ち倒した英傑。アズメラ帝国皇都第1騎士団皇帝直轄近衛騎士団所属、騎士シヴィル・ホワイト」


うっほ、私がトップバッター?それはちょっと予想外だったけど、動揺を隠して立ち上がり、レッドカーペットを渡って謁見の間の中腹まで進み、跪いた。


「騎士シヴィル・ホワイト。以上の功績をもって、以下の報奨を授与する。金貨2万枚、称号「桃髪の剣聖」、及びシャモア男爵に叙するものとする」


ざわめきたいけど、公式な式典でざわめけない雰囲気。私も焦った。これは貰いすぎでは。

金貨2万てのは、日本で言ったら2億位に相当する。それに称号はともかく、男爵とはいえ爵位までは貰いすぎでは無いかな。私はただでさえ近衛騎士になった時点で、年収1000万位はあるので十分なんだけど……。

いやこの称号もバカにできない。騎士にとって称号の有無は、下手な地位よりよほど価値がある。

貰いすぎなのでこんなに要らないですって、言ってもいいんだろうか。

恐る恐る皇帝陛下を見上げると、皇帝陛下は満面スマイルだ。シーちゃん喜んでくれたよね?って顔だ。あかん……。でもちょっと足掻いてみる。


「身に余る光栄に存じます……」

「ちっとも余らん!」


そうですか……。そう言われては私にはどうしようもなかった。


「有り難き幸せにございます」

「うむ。まっこと獅子奮迅の戦いぶりであった。流石は余が見出した騎士よ」

「恐れ入ります」


皇帝陛下、最終的には自画自賛したな。うん、もういいや。もうどうにでもなれ。





──────────



父と母が貴族の血筋だろうが、それは最早過去の事であり、本来シヴィルの母であるステラ・ゴリンデルには、関係ないはずだった。

それなのに、血筋が皇室にバレたことから、一気に変わってしまった。


辺境伯ギデオン・ホワイトより、求婚された。と言ってもこれは諸々の対策の為である。それはシヴィルやステラの為でもあるし、亡き妻を想っているギデオンの、後妻避けの為でもある。ステラはギデオンとは幼少から関わりがある為、それなりに気心が知れている。それも都合が良かったのだろう。


父であるドゥシャン・ゴリンデルは、過去に勝ち取った「俺に構うな権」を発動する気満々であったが、そうなると娘と孫を守りきれないと考えて、渋々伯爵位を賜ることにした。お陰様で今やステラも伯爵令嬢だ。

こんな事になるなら、さっさと他国に逃げたかったと言うのが本音だが、シヴィルが有名になりすぎた。もう手遅れだ。


初めは中央貴族には容姿を誤魔化すつもりだったのに、それもスタンピードで台無し。状況が落ち着けば、そろそろ気付く者もいるだろう。それなら早目に手を打つしかないのだ。


「かしこまりました」

「では婚姻の契約を詰めよう」


これは紛うことなき契約結婚だ。ステラには白い結婚も、自由恋愛も、その相手と子を作ることすらも許された。

だが、後妻とはいえ夫人としての責務は負わなければならない。執務に関しては先代夫人の補佐をしていたので、そこまで不安はないが、問題は社交だ。気が重い。


だが、ステラ以上に気が重く不服なのは、誰を置いてもギデオンのはずである。

最愛の妻を亡くし、喪が明けたら後妻を娶らなければならない。妻が亡くなったのをこれ幸いと、後妻を娶ったのだとか、そんな噂も覚悟の上で。


本当ならいつまでも好きなだけ、悲しみと思い出に浸っていて良かったはずなのに。

彼の立場が、それを許さない。立場や政治が、この家の者達の思いを踏みにじるのは、実にやるせないものだった。


だからステラは決めたのだ。シヴィルの為に、父のために、ギデオンのために、この家の家族のために。出来ることを出来る限りしていこう。今度こそこの家から逃げずに、共に戦うことを。


「旦那様、私には到底サフィナ様の代わりは務まりません。ですが今後は、旦那様の友人として、お傍で支えていくつもりですわ」

「友人……はは、そうか、そうだな。お前と私は、昔馴染みの友人だ」

「これからは、戦友として」

「ふむ、悪くない」


久しぶりに笑った友人の顔を見て、ステラも小さく笑った。


さて、まずは家族にしっかり丁寧に事情を説明した後、大奥様とセバスチャンに指導を受けなければならない。

侍女長のロベルタにステラの侍女の相談をして、ドレスや小物の手配をして、シヴィルの新たな侍女も選ばなければ。

これから大忙しだ。


(はぁ……。貴族は本当に面倒だわ。お母様が逃げ出すのも、無理はないわね)


溜息を吐きながら、ステラはぼんやりと、破天荒な母の事を思い出したのだった。

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