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その聖女、ゴリラにつき  作者: 時任雪緒
第2章 少女期-未成年―

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2-26 相談


 案の定、ザック様にすごく怒られて、治癒なしで私が1,000回、ティモシーとデリックは500回の腕立て伏せをさせられた。久しぶりに腕がプルプルしてる。明日は筋肉痛だろう。

 

 夕方になって、誰かからか話がいったらしく、ルパートの担当のライアン様から、すっごく謝られた。それはもう泣きそうな顔で謝られた。私が殴られた事も聞いたらしく、監督責任を遵守できなかった慰謝料まで支払われそうになったけれど、この点はどうするのが正解かわからなかったので保留にしてもらった。気持ちの上では、大したことなかったしすぐに治したし、やったのはルパートでライアン様じゃないから、ライアン様から慰謝料なんてもらう理由がない。

 けれど、団内の規律だとか、貴族的な対応として、受け取るのが正しいのかがわからなかったので、後日お返事しますということにした。



 帰ってから勉強会を返上して奥様にも相談してみた。奥様は慰謝料については、貰っていた方がライアン様も気が楽だろうとのこと。ただ、あまりにも大金を渡されても困るので、奥様がライアン様宛に一筆したためてくれるそうだ。ありがたい。



(でね、肝心のルパート対策なんだけど、奥様はそのまま敵でいなさいって。どうしてだと思う?)

(つーか、相変わらず奥様ってすごいわね。私がアンタの保護者だったら、正座させて怒鳴りつけてたわ。そんなすんなり相談聞けんわ)

(……だよね)


 ついでとばかりに樹里にも相談している。樹里の言ったとおり、奥様は私の話を聞きながら、ちょっと眉がピクピク動いたくらいで、怒鳴られるようなこともなく、淡々と相談に対する提案をしてくれていた。

 でも、普段無表情を貫き通している奥様の表情が引き攣っていたから、あれはかなりお怒りだったんじゃないかと思う。本当に申し訳ございません。


(で、奥様は敵でいろって? ま、そりゃそうだろうね)

(どうして?)

(普通にさ、今からそのクソガキと友達になれんの?)

(……難しいと思う)

(でしょ? だったら逆に完全にライバルになって、クソガキが「ゴリ子にだけは負けたくない!」って奮起する可能性に賭けた方が、まだイケるんじゃない?)

(なるほどねー!)


 奥様の提案にはそういう意図があったのか。なるほどなるほど。更に樹里が言うには、今更私がご機嫌取りをしても警戒されるだけだし、よりルパートのプライドを傷つけて意固地になるだけだからやめとけとのこと。加えて、足を引っ張る人間を味方に引き込むくらいなら、敵にしておいた方が面倒がないというドライな意見を貰った。


(あと気になんのがさぁ、そのクソガキ、多分放置子よね)

(どうして?)

(どう考えても、家に居場所がなくて騎士団に入った感じじゃん)


 ルパートはホッジ伯爵家の5男だ。5男1女の末っ子で、第2夫人の3人目の子ども。唯一の女児はルパートの双子の姉。

 ホッジ伯爵家は南東の港町を有する大きな町を有していて、そこで運営しているホッジ海運は国内南部では最大級と言われている海運業者。ホッジ伯爵家は海運で大きな利益を生んでいる家だ。


(まず、立て続けに男ばっか生まれたところに、女の子が生まれた。親は姉ばっか構って、既に5人になった息子には構えなかったんじゃない? 領地だけじゃなくて、そんだけ大きな商会を運営しているなら、ただでさえ7人もいる子どもの面倒は見きれないでしょ)

(そうかもね……実際私もお父様からはほとんど放置されてるし)

(でしょ? それに、そんな大きな商売やってるなら、将来その商会で働けばいいのに、わざわざ騎士団に来る必要ある? もし騎士になりたかったなら、アホみたいな反抗なんてしないだろうし。もしかしたら家でも問題起こして、厄介払いされたのかもしれないし)

(言われてみれば)

(それに家が金持ちだったなら、使用人もいっぱいいたはずだし、馬鹿みたいに貴族だ権威だって威張り散らさなくても、周りは勝手に跪いてたはずでしょ? 誰かに構ってもらいたくて、でも自分に誇れるものが何もないから、権威を振りかざして注目を集めてるんじゃない。クソガキあるあるね)

(クソガキあるある……)

(要は寂しいって素直に言えないのよ。構ってもらえなかったから、甘え方を知らない)

(それはちょっと、可哀想かもね)


 樹里の話は全部樹里の想像なんだけど、私の場合は母と祖父がいるから寂しくないけれど、母も祖父も忙しくて相手をしてくれなかったら、鬱陶しく構ってもらおうとしたかもしれない。

 もしかしたら奥様もそういう想像に行きついて、私に敵でいろと言ったのかな。私がルパートのすることを注意して、ライアン様がずっと目を光らせていたら、ネガティブな形ではあるけれど、ルパートの事を見ている人がいることにはなる。まだ10歳だから、更生のチャンスは十分にあるし。


(まーでも、暴力はイカンわ。クソガキもアンタも)

(うっ……)

(今回クソガキは謹慎くらいは食らうだろうけど、あんまり罰せられるとクビになりそうだし、今度からちゃんと避けてあげな)

(うん、わかった!)


 元気よく返事をすると、樹里が少しだけ苦笑した感じがした。


(なに?)

(いや、アンタ本当にお人好しだと思って。あたしだったらクソガキの性格を利用して、退団に追い込む策略を張り巡らすけど)

(今までのアドバイスが台無しだよ!)


 本当にこの人は! 性格悪い!

 もう、またキレた時に退団させたくなりそうだから、余計な事言わないでよ。ライアン様にあんなに謝罪された手前、クビになればいいのになんて言えないんだから。


 私が憤慨している間も、樹里は愉快そうに笑っていたけれど、まぁ話を聞けたのは良かった。

 いつかルパートも改心してくれるかな。出来れば従騎士になる前に。あんなに協調性のない人と一緒に、集団戦が出来る気がしないから、これって結構重大なんだよね。

 ルパートの班の2人とも話してみた方がいいかな? まずはライアン様にもお話を聞いてみた方が良いかも。私が絡むにしても程度はあると思うし、その辺の打ち合わせは必要かもしれない。


 

 はぁ、家の次は騎士団か。揉め事はどこでも起きるんだな。あと以前奥様の言ったとおり、怒りに任せて行動するのダメ、絶対。みんなに怒られて、いい加減学んだ。



現在20:40。PCがフリーズしましたorz

回復したら次話投稿致します。申し訳ありません、、、。

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