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検査結果は能力なし 〜能力なしで死んだ俺は、なぜか今日も死なせてもらえない〜  作者: 鬼喜怪快
オマケ2

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48/48

48話 それじゃ、また来週!




 国立病院――


 鳴蔵の病室前で、響と笛は待機中だった。

 そこに護衛の防星官がやってきた。


「副隊長、そろそろお時間です」


「……」


「副隊長?」


「すまない……

 開始時間を登録していなかったようだ。

 まだ面会時間は……残っているだろう」


「えっ……はっ、はい」


 防星官が廊下を戻っていく。


「君のお父さんにも謝罪しなければな」


「……」


「もう少しだけ……

 父に時間を……」


 笛は何も言わず、響を見つめた。


 ――――――


「紡時風、彼を……

 日本最強の男に育ててくれないか?」


「……あん?」


「俺のあとは、響に継がせたかったが……

 上手くいかなかった」


「強いって聞くぜ……せがれのこと」


「強いが……世界が警戒するほどではない。

 日本を……この国を守る為には、絶対的な力が必要だ。

 世界が――いや、宇宙が警戒する力」


「それが風ってか?」


「力は本物だ……

 それに加えて能力が謎に包まれている。

 世界中が――間違いなく警戒する」


「……」


 鳴蔵が入院していることは、国民にはもちろん、

 世界中にも伏せられている。


 鳴蔵がいる――


 それだけで、世界への抑止力になる。


 敵は外部の侵略者だけではなく、

 同じ星の中にもいるというわけだ。


「俺がいなくなっても、

 彼がいれば日本は救われる」


「……」


「彼を……誰よりも強い男に……」


「そりゃ無理な話だぜ」


「!」


 狩は鳴蔵の頼みを一蹴した。


「……きっとお前なら彼を」


「全盛期のお前を超えちまってるもん」


「?」


「風の力は、ある程度把握している。

 それで言えることは、お前が10人いても、

 最終的には風が勝っちまうだろうな……

 まぁ、それくらいあいつは強い」


「……」


「俺が教えられるレベルじゃねぇよ」


 狩が鳴蔵に微笑んだ。


「そうか……

 ガッちゃんが、そう言うくらいだから、

 よっぽどなんだな?」


「うちの娘が2人とも惚れちまって大変なんだ……

 どっちかに決めてもらわんと」


「ふふ……それは心配だな。

 父親としては……」


「そんなこんなで、風は心配ねぇよ」


「それじゃ、

 彼が迷わないようにそばにいて導いてやってほしい」


「?」


「力を持つものは……

 孤独と向き合う時がある。

 その時に道標が必要なんだ……

 そこに1人でいると……」


 己の経験談と、風のこれからを重ねているようだった。


「でもガッちゃんがいてくれたら……」


「言ったろ……

 例え俺がいなくても、

 2人の娘が常に取り巻いてやがる。

 風は1人にはならん」


「……そうか」


「それに、俺もあいつを1人にする気はない。

 強いが経験値がないからよ」


 鳴蔵は安心したように目を閉じた。


「……安心したよ」


「そうかよ」


「今日はありがとう」


「おうよ」


 鳴蔵がベルを押した。


 すると響が部屋に入ってきた。


「おかえりだ……」


「かしこまりました」


 狩が響に誘導されるように部屋から出ていく。


「葬式……来てくれるよな?」


 狩は立ち止まった。


「ふふ……俺、こんなだから友達いないんだ。

 友人代表で来てほしい」


 

 狩は振り返って鳴蔵を見た。


「葬式なんて、そんな先の約束すんじゃねーよ。鳴ちゃん」


「!」


「来週の定休日……また来る」


「……」


 鳴蔵が笑った――狩も。


「それじゃ、また来週……」


「おう。

 絶対に来るからケーキくらい用意しといてくれよ」


 そして扉は閉じられた。


 響が駆け寄ってくる。


「10分以上いたよな?

 結構話したぞ……」


「申し訳ありません。

 父が話したいだけ、時間を取らせていただきました」


「そうかよ」


 笛が狩を見ながら心配そうに訊ねる。


「失礼なこと言ってないよね?

 パパ!」


「また来週会う約束してきた。

 時間空けておいてくれよ、兄ちゃん」


 響は深々と狩に頭を下げた。


「あんな楽しそうな父を見るのは初めてかもしれません。

 今日は、本当にありがとうございました」


 狩は背中越しに手を振って去っていく。


「ちょっと!

 わたしの上司がお礼を言ってくれてるのよ……

 ちゃんと挨拶しなさい」


 すると狩は、

 何かを思い出したかのように足を止めた。


 そして――


「兄ちゃん!」


「?」


「鳴ちゃんがよ、

 せがれは世界が警戒するほどの力を持てなかったって

 気にしてたぜ」


「!」


 笛が狩の横腹を殴る。


「なんて失礼なこと言うの!」


 狩はお構いなしに響へ歩み寄った。


「お前、なんか考えが硬ぇんだよ……

 鳴ちゃんに似てな」


「えっ?」


「鳴ちゃんになろうとすんじゃねーよ。

 あいつの能力とお前の能力は別もんだろ?

 なのに雷神になろうとしてっから伸び悩むんだ」


「!」


「いいんじゃねーか?

 親父さんに似せなくて……

 兄ちゃんのスタイルにまとめていったらよ」


「……」


「……って、

 兄ちゃんをテレビで見るたびに思ってたことを

 伝えておくぜ。

 あばよ……」


 狩が去っていく。


 笛は響に頭を下げて、

 追うように走っていった。


 ――確信を突かれた。


 そんな表情を見せながら、

 響は2人を見送った。


 ――――――


 響は部屋に入った。


 目を閉じる鳴蔵に声をかける。


「すごい……方だね。

 虎落のお父さんは」


「だろ!」


「!」


 病に伏せてから、

 こんなにイキイキとした鳴蔵を見たことがなかった。


 狩の話をすると、

 鳴蔵は嬉しそうに昔話を始める。


 それだけで、響は十分だった。


「さっき狩さんから、

 俺へのダメ出しとアドバイスをもらったよ」


「そうか……

 その言葉をよく頭に入れておけ。

 ガッちゃんの目は確かだ。

 きっと、お前の今後の成長に関わる重要なことを言っている」


「……。

 そういえば、娘の笛は目にすごい能力を持っているんだ。

 遺伝かな?」


「違うな。

 ガッちゃんのは、ただの目力だ。

 すごいだろ!」


 この時響は、

 初めてのことを経験する。


 今――


 生まれて初めて親子揃って、

 大きな声を出しながら笑い合ったのだから。


 鳴蔵は、来週の面会を楽しみにして生きる。


 父親に生きがいができたことが、

 響にとっても嬉しかったのだ。


 さっき、響のかけた狩の言葉は、

 やがて雷鳥響の未来を大きく変えることになる。


 しかし――




 それはまた別の話。


  

 完

本編33話、オマケ15話。


最後までお付き合いいただき、本当にありがとうございました。


これにて、


『検査結果は能力なし

〜能力なしで死んだ俺は、なぜか今日も死なせてもらえない〜』


完全完結となります。


少しでもお楽しみいただけたのなら、作者として嬉しい限りです。


次回からは、


『処刑された最強呪術師、魔法世界で唯一の禁忌となる

〜鬼を従えし異端の転生者〜』


第二部の投稿を再開いたします。


こちらも約2ヶ月間かけて、完結まで投稿予定です。


明日からは、そちらの物語でお会いできることを楽しみにしております。


今後ともよろしくお願いいたします!

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