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秘密だらけの僕のお嫁さんは、大陸屈指の実力を誇るドラゴンスレイヤーです  作者: 甲斐 八雲
Main Story 16

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怖いならここに居れば良いのよ

 再確認した。やはりノイエは家族に対して甘すぎる。


 数年ぶりに再会した家族に甘くするのは悪くない。だが甘すぎるのは良くない。

 レニーラや最近は宝玉を使って外に出るようになったシュシュなどはまだ良い。

 ホリーの時は、出てきた瞬間からベッドに吸い込まれ2人掛かりで襲って来るのだ。


 何かが色々と枯渇してしまう。


 一番の問題は家族が出て無くてもノイエが僕に襲いかかって来ることだ。


「と言う訳でノイエ君」

「はい」


 ベッドの上で正座をし、ノイエの目を見て口を開く。


「もう毎晩は本当に勘弁して下さいっ!」

「……」


 土下座して許しを請う。

 けれどノイエさんの反応はとても冷ややかだ。アホ毛がピクリとも反応していない。


「せめて5日に1回は休ませてっ! ほら! ポーラと一緒に寝る日を復活しようよ。ね?」

「……」


 最近色々とあって1人で寝ることが増えたポーラには我慢を強いているしね。

 ここは家族……兄妹3人で川の字になって眠る時間も必要なのだ。


「ポーラにお姉ちゃん力を見せないと。ね? ノイエ?」

「……」


 ベッドの上でペタンと女の子座りしているノイエがゆっくりと口を開いた。


「アルグ様」

「なに?」

「……お姉ちゃん」

「はい」

「大変」

「……」


 今何と言いましたか? この娘さんは?


「お姉ちゃん大変」

「ノイエさん?」

「大変」

「……」

「妹が良い」


 つまりノイエは姉より妹の方が良いとそう言うのね。


「ダメです」

「むっ」


 しかしそんな安易な逃げは、保護者を兼任している僕としては許せませんな。


「ノイエはもうお母さんになれる齢なのです。だからもう妹の地位で甘えることはするなと言いませんが、安易に逃れることは許しません」

「……むぅ」

「ノイエはやれば出来る子なのです。だから頑張らないとダメなのです」

「……頑張れば良い子?」

「良い子です」

「なら頑張る」

「そうです。ノイエは……ノイエさん?」


 気づけば彼女の手が僕の肩を押して、自然な動作で馬乗りして来た。


「明日から」

「ちょっと?」

「大丈夫」

「何が!」

「今日はまだ妹」

「誰の!」


 で、結局今夜もノイエに襲われるのでした。




「ん~ん……ん? はっ!」


 だからノイエさん。そんなに頑張られても……夢か。

 本当に夢か? 最近夢だか現実だかよく分からない物ばかり見る気がする。


 ただ全裸な自分の状況を見るにやったのは間違いない。

 何をどこまでしたのかは……うん。あれは夢であって欲しい。現実だとしたら僕の何かが吸い尽される。


 ゆっくりと体を起こして横を見ればノイエの姿が無かった。

 辺りを見渡せば……シーツを身に纏ったノイエが窓を開けてベランダに出ていた。


「ノイエ?」

「……はい」

「何か見えるの?」


 視線を固定したままでノイエはしばらくある一方を見つめていた。

 方角的に北西かな? 僕の脳内地図が狂って無ければ、確か前に行ったブシャール砦がある方角だと思う。


「ノイエ?」

「……」


 クルッと振り返った彼女は軽い足取りで部屋に戻ると開いていた窓を閉じる。

 ポツンと窓ガラスに雨の滴がぶつかり……ポツポツと雫を増やしていった。


「アルグ様」

「なに?」


 と、ノイエは両手を自分の胸にあてる。


「ここがざわざわする」


 まだ胸が発育しているとかでは無ければ胸騒ぎと呼ばれる現象かな?

 ただノイエが胸騒ぎとかって……前にもあったか? あの時はドラゴンが沢山来たな。


「帝国からまたドラゴンでも来るのかな?」

「分からない」


 トコトコと歩いて来たノイエが、ベッドの上に昇ると僕の横に来た。


「アルグ様」

「ん?」

「胸が痛い」

「そっか~」


 揉んだら治るのかな?


 とりあえず揉んでみたら何故かノイエが発情してまた襲われた。


 あっ……やっぱりあの夢は正夢だったんだな。

 ノイエの胸騒ぎよりも僕の夢見の方が凄い気がして来たよ。




「あら?」

「……」


 控え目に顔を覗かせた存在にセシリーンは柔らかく笑いかける。


 最近は色々と慌ただしいけれど落ち着いて来たと言うことで、この場所の主であった魔女は奥に引っ込み何だか可愛らしい動きをしている。

 音を聞いている限りでは本当に愛らしい。

 ついそっちに意識を向けていて少女のような彼女の接近を逃してしまっていた。


「今なら私だけよ」

「は、い」


 トコトコと歩いて来たファシーは、そのままセシリーンの横に来るとちょこんと座る。

 感じで言えば外に出たい様子だ。


「外に出るの?」

「……」


 ゆっくりと顔を向けて来る様子が伝わって来る。

 本当に憶病で何より周りの様子を気にしてばかりいる。


「大丈夫よ。ノイエと彼なら今は寝ているから」

「……」


 そっと小さな手が伸びて来てセシリーンの太ももに触れる。

 普段なら振れたことに驚いて逃げ出しかねないファシーだが、少なからず心を許している歌姫だからこそ逃げ出すことはしない。


「分から、ない」

「何が?」

「……凄く、怖い」

「そう」


 声の様子からセシリーンは、そっと手を伸ばして相手を抱きしめて引き寄せる。

 抵抗することなくファシーは彼女の胸に頬を押し付けた。


「良く、分から、ない」

「ええ」

「ノイエが、怖い」

「そうなの」


 柔らかくファシーの頭を撫でてやり、セシリーンは心の奥底に封じて来た記憶を呼び覚ます。

 あの日あの時……ファシーがノイエに向けて放った言葉を聞いていたのは、自分だけだとセシリーンは知っていた。


 レニーラの耳に届いていたはずだが、集中に欠けていた彼女は完全に聞き流していた。

 アイルローゼやシュシュも似たような状況で聞こえて無かった。


 そして一番の問題は……あの言葉を放ったファシー本人に記憶が残っていないことだ。

 だからこそファシーがまだ精神を保っているのだとセシリーンは分かっている。


「怖いならここに居れば良いのよ」


 壊れてしまうくらいならそっちの方が良いはずだ。

 けれどファシーは小さく頭を振る。


「アルグ、スタ、様が……見たい、って」

「なら出るの? 出れるの?」


 無理する必要なんて無いはずなのに、ファシーは自分を追い込んでいる。

 臆病で気弱なのに根が真面目過ぎるくらいに真面目なのだ。


「もう少し、したら……」

「そう」


 ならその時が来るまではと、セシリーンは少女を抱きしめる。


「なら動き出せるまでこのままで良いから」

「は、い」


 頷きファシーは相手の胸に顔を押し付け、小さく震え続けた。




(c) 2020 甲斐八雲

 ざわざわと胸騒ぎを感じたノイエはアルグスタに甘えます。


 で、その中ではファシーとセシリーンが。

 実はファシーがノイエに放った言葉を覚えているのはセシリーンだけなのです。

 けれどファシー自身、無意識に言いようのない恐怖をずっと抱いてました。


 だから宝玉を使うのを無意識に恐れて避けているのです



~お知らせ~


 本年の投稿は本日までとなります。

 末広がりな888話で終えるために色々と頑張ってみました。

 

 来年は…はい。もちろん明日からですが何か?

 ただ来年からは投稿パターンが少し変わります。どう変わるのかは…お楽しみに。


 それでは皆様、良いお年を!

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― 新着の感想 ―
[良い点] 面白い [一言] がんばって
[良い点] 今年一年楽しませていただきありがとうございました。 それにしても、本編はのほほんとして、追憶とはえらい違いですね。 心が休まります。 来年も楽しみにしています。
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