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閑話休題二 河を渡る

このお話は本編をはずれて説明(?)回です。

中国を代表する大河である黄河と長江。


連綿と流れ続ける大河は現在の場所と位置が移動していることが分かっている。


黄河や長江に限らず河川というのは本来そういうものなのだ。


時間の経過と共に流れる場所が変化していく。


ちなみに湖も位置やサイズが変わる。


日本最大の湖である琵琶湖は現在滋賀県に位置するが、その昔は三重県の位置にあったことが調査で分かっている。


現代のようにコンクリート護岸されているわけではないので気象状況や環境の変化、氾濫など水量によって時代と共に移り変わっていく。


そして黄河の様な大河にはこの時代橋など架かっていない。


では渡る場合はどうするのか?


大河は渡し守や漁師などに渡してもらうのだ。


軍隊の場合は自分らで船を造って渡す場合も多い。


いかだを組んだり、木を削り船に仕立てる。




本編で、項羽率いる楚軍は趙王と張耳が籠城する鋸鹿きょろくへ援軍に向かう。


その道中、どうしても黄河を渡らねば鋸鹿きょろくへたどり着けない。


しかし様々な書物や記録を漁ってみても渡河そのものの記述や描写はない。


あるのは


『先鋒、黥布げいふが二万で黄河を渡り、秦の司馬欣しばきん董翳とうえいと戦う。』


これだけである。




メタ的な話になり申し訳ないが、作者はこの小説が初めての作品である。


歴史小説を書くに辺り、フィクションと史実のバランスをどう取ろうか?と手探り状態で書き始めた。


資料を片手に話を膨らませて遅筆ではあるが、今日まで書いてこれた。


今回はまぁ、普段こんな事を考えながら作品を書いている、という紹介のような話をしたい。




それで『渡河』である。



例えば、二万の兵が川を渡るのにどれくらいの時間と何隻の船が必要だろうか?


それも黄河のような大河を、である。


まずは手段について考えよう。


方法はいくつか考えられるが、「泳ぐ」「橋」「船」「馬」であろうか?




泳ぐ、に関して言えば実はこの方法はない。


何故ならば基本的に皆「泳げない」からである。


正確な話をすれば「泳ぐ技術を持っている人数が少ない」と言い換えたほうがいいか。


理由は簡単に言えば文化の違いであろう。


ここで長々と泳ぎについて説明するのは本筋ではないので説明はこの位で。




次は橋。


黄河や長江のような幅数キロに及ぶ大河にこの時代橋をかける技術はないので橋もない。




馬。


馬は泳ぐことが出来る動物である。


が、馬もない。


何故なら馬に騎乗できるのは将だけでほとんどの兵卒は徒歩である(主役の韓信も徒歩)


将だけ馬の背で後は船、これもありえない。


となると残るは船だけである。


さて、船と一口に言ってもどうやって数を揃えるのか?


今回の兵は二万。


ある程度船を近隣より徴収、もしくは金銭を払い渡してもらう。

これで全てを賄えるのであれば一番早い。


足らない場合兵が現地で製作するか、本拠地からはるばる運ぶという方法もあるが軍隊が何百キロもの距離、船を運ぶのも負担が大きすぎ現実的ではない。




渡す中身も人ばかりとは限らない。


軍馬や兵糧、武具や雑具(例えば野営するのに必要なテント類、荷馬車やその他)など戦に必要なものは運ばねばならない。




さて、本編では黥布げいふが渡河するシーンが出てくる(予定)。


記録を探しても渡河そのものの描写はない。


戦において渡河は非常にリスキーな行為である。


身動きが取りづらく、渡る事に意識が集中し、狙われやすい上に逃げにくい。


仮にだが、黥布げいふが黄河を船で渡ったとして(船のサイズはバラバラであったと考えているが)


平均で一隻五人前後乗れるとした場合、物資の事を無視して計算すると一回の渡河で全員渡すには四千隻必要である。


黥布は先鋒であるから、兵站などは後方に控える項羽本隊に任せるとすれば黥布軍二万人も純粋に戦闘員だけとなる。


二回渡しで二千隻、四回渡しでも一千隻必要となる。


千隻ぐらいの船ならば周辺の漁師や渡しをかき集めれば可能な数だろうか。




次に掛かった時間である。


想像でしかないが、かき集めるのに半日~一日ほどか。


集まって来次第順々に渡していったとしても丸一日~二日はどうしても掛かるのではないか?


それだけの動きがあれば敵陣にも察知されてしまう可能性は高い。


が、前に述べたように特に渡河途中に戦闘があった記述はない。


大きな被害もなく小競り合い程度だったのか?


全く何事もなく全軍渡り終えたのか?


もしくは夜間に闇に紛れて渡った、など。


想像を膨らませると沢山の疑問が尽きないが、フィクションとして話を膨らませるならばこういう所だったりする。


これもまた歴史の楽しみ方の一つではないだろうか?



理屈をこねくり回すような話で恐縮だが、こんな事を考えながら作者は話を考えている、みたいな風に捉えてもらえるとありがたいです。


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