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現実主義者が住み着く先は

そこには、セットを乱され不貞腐れている少年が一人。

すまん、つい思わず衝動的にやってしまいました。

反省。

「お前、絶対俺の事、そこらへんのガキだと思ってるだろう」

「ぜんっぜん、思ってません」

私は、首を左右に振りまくる。

ガキだとは思っていませんよ?

ガキだとはね?

それをじと目で見るジョアーグ。

「本当かよ。見てろよ、俺はいずれ団長のように、できる大人になってみせるからな」

ジョアーグは何かを決意して、宣言した。

目に力が宿っている。

おお、若人が大志を抱いた瞬間ここに見たり。

あれ?

「団長?なぜそこで団長?」

「お前なぁ、騎士団団長っていや、この国にいる奴だったら普通に憧れるだろうがよ。団長みたいになりたいとか、一度でも思った事ないのか?」

「いやぁ、この国出身じゃないからねぇ。そこら辺解んないんだわ。ジョアーグィは」

っ痛、舌噛んだ。

あーもう、名前長いなぁ。

「ジョアーグ、名前長いから、呼び方変更。今から言う中から、好きな呼び方選んでくれ」

「え?変更って。そんなに長いか?まぁ、何でもいいけどよ…」

「ジョー・ジェイ・ジョン・アーグ・ヨルクの中でどれがいい?」

取り敢えず、思いつくのをあげてみた。

「ジェイでいい」

即答だった。

ジョンじゃないのか…

ピッタリだったのに、残念。

「でも、なんでそんなにあるんだ。ヨルクなんてかぶりもしてない…」

「ああ、まぁ気にするな。んじゃ、ジェイで決定な。それにしても、ジェイは団長みたいになりたいのか?」

私がジェイと言ったら、なんか照れてる。

こういうところが、犬っぽいんだよなぁ。

「当たり前だろう?小さい時からの目標だったんだから」

拳を握りしめて力説している。

こいつは、本気だ。

なんだか圧倒されてしまった。

「そ、そうか」

これ以上の団長の話題はタブーだと直感した。

ジェイは、なぜかは知らないが、団長の事を妄信している。

下手な事を言ったら、倍になって返ってくるような気がする。

ここは黙っておくべし。

それにしても、恐るべし団長。

老若男女問わないそのカリスマ性は、ここまで来たらもはや宗教レベルかもしれない。

「お待たせしてすみません」

そこへヴォイドが慌てて戻ってきた。

「話は済んだみたいだな、じゃあそろそろ行かないか?」

ジェイが気にするなというという風に言う。

「そうだな、揃ったことだし寄宿舎へ行こう」

続けて私がそう言うと、ヴォイドが怪訝な顔をしている。

あれ?

どうかしたんだろうか?

「レイ、寄宿舎で生活するつもりですか?」

ん?

何か問題でもある?

「え?そのつもりだけど?どうせ1ヶ月で移らなきゃならないんだったら、今移っても一緒じゃないか?ダメ?」

小声でヴォイドに問う。

するとヴォイドが一瞬動揺したように見えた。

「ダメではありません。むしろねが…あ!いえ、その、やはりダメです!ええ、ダメです」

どっちだよ。

「えーと…」

私が困惑していると、ヴォイドが慌てた。

「あ、だからそれは」

ヴォイドがちらっとジェイや他の合格者たちの方を見た後、言葉を続ける。

「色々と問題が発生しそうで…その」

ここでは言いにくいことなのだろうか?

最後がしりすぼみになっていた。

「まぁ、今移らなくても、結局1ヶ月後には移動しなきゃでしょ?」

「それは、そうですが…」

まだごヴォイドがにょごにょ言っている。

「なぁ、そろそろ行こうぜ」

ジェイがいいタイミングで歩を促す。

「そうだな。行こう」

私が同意すると、しぶしぶといった体でヴォイドがついてきた。

こんなにはっきりしないヴォイドは珍しい。

何が問題なんだろうか?

今の時点では何も判らない。

後でもう一度聞くか。

取り敢えず、この問題を保留にした。

しばらく歩くと、寄宿舎が見えてきた。

他の建物よりはこじんまりとしている。

収容人数が少ないからだろう。

その寄宿舎周辺には、すでに結構人が集まっていた。

「うわー、見事に貴族ばっかだな」

ジェイが言う。

よく見るとジェイの言う通り、沢山の荷物を囲んでいる貴族とその従者が、宿舎の周りにたむろしていた。

この集まり具合をみると、どうやらこちらが面談をしている時から、寄宿舎に移動を開始していたみたいだ。

貴族は皆通ってくると思っていたので、これには驚いた。

わりと寄宿舎で過ごす方を選択する貴族もいるらしい。

かのヴォイドもそうだったようだ。

「説明会の時にいた人たちが少ないな。一旦帰って荷物でも取りに行ったのだろうか?ジェイは取りに帰らなくていいのか?」

「部屋割と同室者が気になったから、先に手続き済ませておこうと思って。後で取りに帰ればいいし」

「それもそうだな。じゃあ、入舎手続き済ませてしまおうか」

私が言うと2人が同意した。

受付は外に設置されていた。

私たちの名前を確認した後、受付係の騎士が鍵をそれぞれに渡してきた。

部屋の鍵だ。

その後、案内係の騎士が宿舎をざっと案内してくれた。

風呂だけが共同らしく、トイレなんかは部屋に設置されているらしい。

あっ。

そうか、ヴォイドの心配ってこれのことか。

あらら。

まぁ、うーん、風呂対策は後で練るか。

どうやら先着順で部屋を割るらしく、1階の一番奥の部屋がどうやら自分の部屋らしい。

早めに寄宿舎に来て正解だな。

1階だと集合とか楽だし。

部屋の中に入ると、10畳ぐらいの空間に2段ベッドが2つと机が並んでいた。

小さな机を適当に配置して置かれている所が印象的だ。

どうやらこの部屋は4人部屋で、全員同じ部屋になれたみたいだ。

ジェイが喜んでいる。

「後一人ってどんな奴だろうな?」

「確かに気なるな。先着順なのでもうすぐ来るんじゃないか?」

噂をすればというやつで、この部屋にノックがなる。

「どうぞ」

ヴォイドが返事をする。

いやいや、敵じゃないからね?

ヴォイド。

無駄に臨戦態勢とるんじゃない。

扉が開く。

20歳前後の男が入ってきて、恭しく口を開く。

「失礼いたします」

入ってきて一礼する。

「本日より、こちらで過されます、ウィロアイド=リジェン=ケウェオ=ケナンヴェマ様でございます。どうぞウィロアイド様」

後から来た人物に入室を促す。

どうやら同室者は貴族らしい。

入って来た貴族が、こちらを見回す。

うーん、あまりいい目ではないな。

「ご苦労。アレン、ここまででよい」

「かしこまりました。お荷物は後ほど運ばせますゆえ」

「任せる」

「では、私はこれにて」

アレンと呼ばれた20前後の男が静かに去って行った。

この一連のやり取りをジェイがぼけーっと見、ヴォイドはやや眉を寄せて眺めていた。

「ふん、お前ら庶民が同室か。これは先が思いやられるな」

「なっ!」


これはこれは、面白いやつが同室になったものだ。

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