現実主義者の入団テスト(2日目対戦)
不思議だ。
極限まで集中すると周りのスピードがぐんと遅く感じるのだ。
と言っても若干程度だが。
だけどそれで命が救われた事もあるので、侮れない。
今がそうだ。
剣を構えた団長をじっと見ていると、一見微動だにしていないように見えるが、かすかに心拍に沿って動いているのが判る。
その動きや速さから、相手がリラックス状態なのがよく解った。
それにしても、リラックスしている癖に団長には隙がない。
おかげで動けない。
団長もまた動かない。
お互いそのままの状態で出方を見るというか、力量を図っていた。
といっても、私には相手が強いという事しか判らなかったが。
「どうした。来ないならこちらから行くぞ」
び、びっくりした。
声良すぎだ。
何、この騎士団、声がよくないと上に行けないとか決まりでもあるのだろうか?
代々、団長決めの時にボイスオーディションやるとか?
うわ、団長と副団長とカラオケ行ったら楽しいだろうな。
ああ、いかんいかん。
集中集中。
無だ無。
とか考えてたら、団長が動いた。
あ、しまった、先手取られた。
ま、いっか。
踏み込みが早い。
脚長いから、この距離一歩だよ、けっ。
体を後ろに引きつつ、剣を流す。
ついでに、横に体を引きながら体を斜め前に。
団長がわざと脇開けてあるのが判るから、誘いに乗らず剣を少し引き気味にして、一気に下段から胸をめがけて突く。
団長が下から、はじくように剣を合わせてきたので、そのままその力を利用して一気に団長の背後にまわり、切りつけようとしたが、かわされる。
あ、又あの踏み込み。
そんなに足が長いのを自慢したいのかよっと、今度は剣を合わせずかわす。
相手が一瞬動きが止ったのを見逃さず、上段から剣を下ろすとバランス崩した体制から横なぎに一閃してくる。
その一閃された剣のスピードとタイミングを合わせて体の位置をずらし、剣を受け止める。
うーんこの剣やっぱり合ってないなぁ。
自分用のがないから無理やり借りた奴だけど、グリップ部分がなじまないのと、ちょっと重い。
この何日間馴らしてきたけど、団長とやるにはちょっと不向きだ。
恐らくあと何回か交わしたら、剣がどこかに飛んでいきそうな気がする。
何しろ、握力と重量がうまくかみ合ってない感バリバリ。
相手の力を利用しないと、うまく剣を運べないと言うのはちょっと危険かも。
ん?なんで動かないんだろう?
ちょっと首をかしげる。
「くくっ」
何あの人、なんか笑ってるんだけど。
ちょっと後ずさる。
「おもしろい、本気で来い」
うん、ヴォイド。
今なら、君の言った事が解るよ。
今すごく怖いと思ったよ。
剣持って、うすら笑い浮かべてる、目がイッテル。
うん、あの目は見た事がある。
宗教画で。
なんかヤヴァイスイッチ押したみたいです。
逃げていいですか?
「お断り!死にたくありません!降参します」
「却下だ」
ひぃっ、怖いよう。
うわ、きた。
さっきよりも早い。
とっさによけた私は偉い!
ていうか殺気が半端ない。
剣をまともに受け止めた。
おもっ。
耐えられないので、すぐに引く。
次の攻撃のタイムラグがほとんどない。
あと3歩程で壁際だ。
続けて振りかざされる剣をうまくかわし引きつけつつ、そのまま横に移動し角になるとこまで気付かれない様に移動。
時々剣を交え、時々かわす。
体を動かしながら、こちらのリズムに乗せていく。
6分の2拍子位のリズムに合ったところで、横一文字に一閃。
団長が袈裟がけに切りつけようとするところを狙って、体ごと捻りうまくかわす。
剣が木の壁に食い込む。
その隙に団長のわき腹に思いっきり蹴りを入れてやった。
崩れた所で首筋に剣をつける。
チェックメイト。
雰囲気だけ殺気だてて、おもいっきり手加減とか器用なことするよな、この団長。
でも、あの宗教画のような目をした殺気の立て方はよろしくない。
一瞬ゴキに遭遇した時のような恐怖を味わった。
手加減されてるのがよく解ったので、途中から一度やってみたかった太極拳(この場合太極剣)の型をさせていただきました。
中々実戦で剣を持つ機会がないので、こういう時でないと。
私がやってみたかった型が実戦でも通用すると知って大満足。
ってあれ?
なんだろう。
なんだかこの視線、ここに来た当初よく見てたなぁ。
気のせいかなぁ。
何だか
い た た ま れ な い




