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プロローグ

頑張ります!

  僕に力があったならば。


  君を守れたはずなのに。


  君は今、


  無数のポリゴンとなって、


  僕の手から消えていった。


  あぁ、どうして。


  どうして君の涙は冷たいんだろう。


  君の涙は綺麗なのに、


  氷のように冷たい。


  しょせん、君はただの人形(プログラム)でしかない。


  この世界も、何もかも、


  偽り(プログラム)でしかない。


  そして僕も―――







  作り物(プログラム)でしかない。







 ―――――――







  彼は戦場にいた。

  ここは『ゲーム』行なわれる場所。

  『ゲーム』はこの世界の全てだ。

  人々(プレイヤー)は、必死になって()()を行う。

  彼も例外では無い。

  彼――三戸功大も、この世界に存る限り、『ゲーム』からは逃げられない。


「……ハチ、聞こえるか。『ゲーム』開始まで、後30秒。準備は?」


  功大が、トランシーバーに向かって言うと、ジジッという音の後に、無機質な少女の声がした。


「はい、完了しています、マスター」


「りょーかい。サイヨウコンビは?」


  「準備」「完了!」


  サイ、ヨウと呼ばれた2つの子供っぽい声がする。

  声はとても似ていて、無邪気な笑い声も、不気味なほどシンクロしていた。


「マスター」


「何、ハチ?」


「危なくなったら、ハチを捨て、お逃げください」


  ハチがそう言うと、功大は思わず吹き出してしまった。


「ははっ!……ハチ、僕のゲームの腕、疑ってるの?危なくなるなんか、百パー無い」


「いえ、もしもの話です」


「そう」


  そこで、功大の頭の中に、大音量のブザーが鳴り響いた。


「―――ッッ!!」


  当然、頭はクラクラし、痛くなり、功大はその場に座り込んだ。

 

「あぁ、クソッ。毎回こんな『ゲーム』開始の合図されたら、たまったもんじゃない……」


  あまりの痛さに、独りごちる。

  しかし、『システム』は功大の頭の痛さなど知るよしもなく、機械的な声を、功大の頭の中に響かせる。


『プレイヤーナンバー149。ゲームステージ02へ転送』


「武器はL-05より、回転式超電磁砲(レールガン)を1丁。それと、A-02より、自動小銃(アサルトライフル)。」


『了解致しました。トライアルナンバー08より、死神の鎌の使用申請があります。許可しますか?』


「許可」


『了解致しました。転送完了です。プレイヤーナンバー149より、バグ、その他の有害物質は見つかりませんでした』


  自分がポリゴン体になり、また戻る感覚が過ぎた後、功大の手には、回転式超電磁砲(レールガン)と、自動小銃(アサルトライフル)が握られていた。

  風景もガラッと変わった。

  裏路地のような薄暗い風景へと。


  そして、功大の向かいには、もう一人のプレイヤーがいる。

  彼は杖を持っていて、功大のような強襲(アサルト)タイプではなく、援護攻撃(マジシャン)タイプだと考えるのが普通だろう。

  そうだとすると、彼の後ろには仲間がいる。

  そいつが、多分、強襲(アサルト)だろう。


「……三戸功大だな」


  向かい側のプレイヤーが野太い声で聞く。


「何でしょう?僕、悪い事しました?」


「いや、そうじゃない。ただ、お前が三戸功大という事を確認したかった」


「何の為に?」


「……」


  それ以上、相手は語らなかった。

  功大の方も、これ以上聞いても無駄だと判断し、攻撃態勢に入る。

  クイックイッと手招くと、彼は杖を向けた。

 

  しかし、次の瞬間。


「こーちゃんには!」「指半分も触らせない!」


  どこからか、サイとヨウの声がした。

  すると、相手のプレイヤーの杖が崩壊し始めた。


「なっ……何だ、コレッ!もしや……」


「おじさん当たり。僕の仲間(トライアルナンバーズ)だよ?可愛いでしょ。」


「貴様ァ、姑息な!」


「姑息ぅ?いやさー、ホントは僕1人でアンタを楽しませてやろうと思ってたんだけどねー。おじさんがズルして仲間の人呼ぶかも知れないから、待機させといたんだよ」


  ニヤリと笑った功大は、あ、と思い出したように言った。


「多分今頃おじさんの仲間は僕の従者に斬られてると思うな。いるなら、の話だけど」


「き、貴様……ッ。『ウォータースラッシュ』!!」


  相手は怒りに任せて攻撃を仕掛けた。

  しかし、その攻撃は功大には当たらず、霧散した。


「何っ!魔力の無効化!?」


「正確には違うけどね」


  パパ――――ンッ!


  功大の撃った弾は見事、相手の鳩尾にヒットした。

  相手は倒れ、撃たれたところからは、どくどくと血が流れている。


「ま、こんなもん?」


  功大がパンパンと手を払うと、『システム』がゲームクリアを告げた。

  それと同時にハチが帰ってくる。


「お待たせ致しました。マスター」


「アレ、珍しく手こずった?」


「いえ、少し」


「すぐに斬らせてくれないとは、なかなか腕が立つね」


「そうではございません」


  ハチは冷静に否定する。


  功大がこの世界に来て、ハチと出会ったのは、随分昔の事に思えるが、結構最近で。

  そう、それは1週間前―――

読者の皆様、ありがとうございます(´・ω・`)(´-ω-`)) ペコリ

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