《さあ……ゲームをはじめよう……》
1時になった。
そろそろゲームマスターが現れる頃だ……
黒雲が一点にどんどん集まっていく、それが徐々に人の形になっていく。
現れたのはこのゲームの製作者、水無月一斗だった……
「私はゲームマスター水無月一斗…この世界の創造主であり、支配者だ……とりあえず君たちにはメニューを開いてもらおうか……」
俺はメニューと念じてメニューを表示させる。
「なっ……」
俺は気づいた…絶対に必要な物が欠けている事に…
ログアウトの項目がない…
説明書にはしっかりとメニューの一番下にあると書いてあった…
「…気づいたかな……?言っておくがそれは誤作動ではない、このゲームは本来そういう仕様なのだ。それとこのゲームはゲームなどではない、私が創り出したもう一つの世界だ……。HPは命。0になれば《ヘッドスキャナー》から特別な電波が送られ、脳の機能が停止する……つまり『死』を意味する。現実と同じだ……言っておくが外部の人間からの助けは来ない……すでにほとんどのプレイヤーを私達の施設に移動させた、そしてその施設で私達が独自に開発した技術を使い、君達を生きながらえさせている。それによって必然的に外部の人間の助けはこないということだ。現在このゲームの総プレイヤー数は約15000人、そして現在の犠牲者の数は1024人だ。君達も死なないように頑張ってくれたまえよ。さて次にアイテムBOXを確認してもらおうか……」
まだゲームが開始してから1時間だぞ……
そんなに犠牲者が出たなんて……
俺は言われるままにアイテムBOXを開く
その瞬間アイテムBOXのアイテム欄の一つから光が放たれた。
あまりの明るさに一瞬目をつぶった……
……!
目を開けた時、世界が変わったかと本気で思った……。それほど人々の顔が変わっていたのだ。
「な、なんだこれ⁉こんなの嫌だぁ‼」
「いやー」
「ふざけるなぁ‼」
「ログアウトさせてくれぇ‼」
「死にたくねーよぉ…」
そういう言葉が飛び交う。
俺の顔は変わっていない……おそらくみんなもとの顔に戻されたのだろう……
「何を驚いている?自分の顔じゃないか?私のプレゼントは気に入ってくれたかな?はっはっはっ!ログアウトしたいか?なら私を殺してみろ……私は100階層で待っている……さあゲームをはじめよう……」
そう言って宙に浮かんでいたゲームマスターはニヤリと胸糞悪い笑みを浮かべながら消えた。
HPが0になれば死ぬ……?ログアウトできない……?
は?は……?はぁ……?なんだ?理解ができない……なんなんだよ……
…7月23日、デスゲームが始まった───