黒髪の少年
夢を見た。暗闇を一人歩いていた。
強くなれ...。
誰かが話した。
「え?だれ?」
振り向くが誰もいない。
強くなれ...。
「え?」
また振り向くと、暗闇を歩いていたはずなのに、満天の星が広がる夜空が目に入った。
「...っ!」
目を奪われていると、何かの鳴き声が夜空に響いた。その鳴き声は恐怖を与える鳴き声ではなく、心が癒される鳴き声だった。
「なに...これ...」
するとまた声が聞こえた。
守れ...愛する人を...!
すると強風が吹いた。目を覆うと、また鳴き声が響いた。そのまま暗闇に引きずり込まれた。
フランスのとある地域にある小さな一軒家。
「ライト!学校に行きなさい!」
朝から怒鳴り声が響く。
「…!」
母親は無理やりライトの腕を引っ張り、家から閉め出した。
「嫌だ…」
渋々学校へ歩いた。彼の名はライト・ルーマス。父親がフランス人で母親が日本人の間に生まれた。幼い頃から両親からの虐待。住んでいる所では至る所に薬物の売買や接種してる人が大勢いた。
注射を打つと、ああなるのか。
彼は劣悪な環境に住んでいた。学校に着くと、同級生からの暴力暴言。黒髪の日本人顔なので差別を受けていた。
「やーい!日本人!」
「さっさと国に帰れ!」
玄関で殴られた。
「うぅ…」
涙を流した。教室に行くと、机に暴言の落書き。
「…」
先生が来る前に机をきれいにした。チャイムが鳴ると、先生が来た。
「皆さん。おはようございます」
おはようございます!
ライト以外元気に挨拶した。
「では、授業を始めます」
授業がスタートした。しかし、ライトは教科書を見てもわからない。
「…」
文字が全てぼやけて読めない。
「はい。ライト。答えて」
先生に当てられた。ライトは渋々席を立った。
「えっと…わかりません…」
皆が笑った。
「全く!ちゃんと聞いてなさい!」
先生に怒られた。渋々座り、静かに涙をこぼした。
私…何にもできない。
そのまま俯いてると、授業が終わった。授業道具を片付けようとすると、男子達が教科書を奪った。
「やーい日本人!取れるもんなら取ってみろよ!」
「やめてよ…」
取り返そうにも、男子達は教科書を投げ合っていた。
「こっちにこいよ!」
教科書を持った男子は廊下を走った。
「あっ…」
ライトも走ろうとするが、足を引っ掛けられ転んだ。
「雑魚だな」
皆が笑ったが、教科書を取り返すために廊下を走った。
「お前の教科書はここがお似合いだ」
男子はトイレの便器に教科書を投げ、何処かへ走った。
「あぁ…」
濡れた教科書をライトは手に取った。
どうして?私は、何かした?
ライトは静かにトイレで泣いた。すると、誰かが来た。
「おい!何してるんだ!サボってないで授業するぞ!」
扉を無理やり開けられ、ライトの腕を強く引っ張った。
「痛い…」
「サボった罰だ」
そのまま教室へ連行された。お昼ご飯の時間も地獄だった。
「今日、サンドイッチ持ってきた!」
皆がお昼を持参しているが、ライトは何もない。
いいな…。
静かに教室を出て、トイレの蛇口をひねって水を飲んだ。
ご飯…食べたい…。
悔しくてまた涙が溢れた。午後の授業も終わり、下校となった。トボトボと歩いていると、声をかけられた。
「日本人の坊や。一緒に遊ぼうよ…」
不敵な笑みでライトを見た。
「ひぃっ!」
ライトは必死に走った。男はライトの跡を追った。
捕まったら殺される!
やっと家に着いた。玄関の扉を開け中に入った。
「こないで!」
ライトは思いっきり玄関の扉を閉めた。
「遊ぼうよ〜」
男はまだ玄関にいる。
怖いよ。
ライトは怯えた。そのままライトは疲れて眠ってしまった。すると、背中に激痛が走り、目が覚めた。
「おい!なぜそこで寝ている!」
父親に背中を蹴られた。
「うぅ…」
そのまま髪を持ち上げられた。
「痛い!」
「うるせぇ!」
顔を思いっきり殴られた。
「汚いから、洗ってあげるよ」
無理やりシャワー室に連れて行き、冷水をかけられた。
「痛いよ!」
泣き叫ぶと、また殴られた。ずぶ濡れのまま部屋に連れてこられた。
「ライト。これあげておく」
タオルと服を置かれると、部屋の鍵を閉められた。
どうして…。
ライトはうずくまりながら泣いた。すると、また怒鳴り声が聞こえた。
「なんで私もなの!」
「お前も同罪だ!」
隣の部屋が閉まる音がした。すると、隣の部屋から壁を蹴る音が響いた。
「あんたのせいで、閉じ込められたじゃない!」
姉の怒鳴り声が響いた。ライトは耳を塞いでずっと泣いていた。これが、いつもの日常だった。
そんなある日。ライトは父親の暴力にあい、部屋で気絶していた。
「…」
目が覚めると、いつもの部屋。すると、扉の向こうから音が漏れた。扉に耳を当てると、アコースティックギターが優しく奏で、優しい歌声も聞こえてきた。
「…!」
言語が違うため、何を歌っているのか分からない。でも、ライトはどこか好きになった。
誰の曲なんだろう。
ずっと耳を当てながら曲を聴いていた。そのうちに床に眠ってしまった。
翌朝。
「ライト!あんたはもういらない!」
母親に頬を叩かれ、家を閉め出された。
「なんで…」
ライトは泣きながら、学校へ向かった。
「やーい!泣き虫!」
思いっきり頭を叩かれた。
「うっ…」
ライトは学校の入り口で足がとまった。
行きたくない…!
初めての反抗。学校を背にライトは街を彷徨った。気がつくと、山道を歩いていた。
「あれ…」
しかし、体力の限界だろう。その場で倒れた。
「もう…死にたい。いなくなりたい…」
その場で静かに泣いていた。そのまま夜になった。街頭もない暗い山。動物たちの鳴き声や風の音が響き渡る。
「私は…」
すると、何かの鳴き声が辺り一面に広がった。
「え…」
限界で動けない体が少し軽くなった。また鳴き声が聞こえると、心が癒された。
「…!何…この…」
ライトは立ち上がり、辺りを見渡した。すると、大きな白銀色の龍が上空にいた。
龍の額には青い三日月があった。
「ひっ!」
ライトは立ちすくんだ。
「あぁぁ…」
「ここに居たのか。ライト」
三日月龍はライトの前に着地した。すると、龍から男が降りた。
「探したよ。一緒に帰ろう」
優しく声をかけ、ライトを抱き上げた。
「この子はビクターだ。さっきは驚かせてごめんね」
ビクターはライトに鼻を近づけ、優しく鳴いた。
「…!」
心が癒されていく事にライトは驚いた。男はビクターの背中にライトを乗せ、男も跨がった。
「お母さんたちの事は叔父さんに任せて」
ビクターは優しく飛び立った。
「…!」
初めての感覚にライトは興味を持った。ビクターは美しい鳴き声を夜空に響かせた。
「すごい…」
「この子は三日月龍なんだ」
ビクターは嬉しそうに鳴いた。そして、ライトの家についた。
「ビクター。ライトを見てて」
男は玄関の扉をノックした。その間、ビクターはライトを見ていた。すると、玄関の扉が開いた。男はライトの親と何か言い合っていた。しばらくすると、男はライトの元にきた。
「ライト。お父さんとお母さんの元に帰ろう」
ライトは立ちすくんだ。すると、男は優しくライトを抱きしめた。ビクターは心配そうに見つめた。
「ごめんね。守ってやれなくて」
男はライトに向き合った。
「ライト。辛い思いをしたら、夜空を見て。野生の三日月龍。月光のカナリアが君を癒してくれる」
ライトは頷いた。
「また会おう」
男はビクターに跨った。ビクターはひと吠えし、飛び立った。
「…」
ライトは男とビクターを見送った。しかし、これが最初で最後の出会いだった。
作者「いよいよ始まりました。ライトさんの過去のお話。しばらくは毎週火曜日に投稿しようと思います」
ライト「よくかけたね」
作者「いや。あんたが書けって言ったでしょw」
ライト「てへw」
作者「最初っから虐待場面なのが書いててきつかったです」
ライト「ごめんね〜」
作者「ちなみに物語に出て来たアコースティックギターの音楽ですが、THE ALFEEさんの『水曜の朝午前3時』をイメージしています。なんとなくで…w」
ライト「w」
作者「完結目指してライトさんを書いていきますので、よろしくお願いします」
ライト「お願いします」




