第15癒 必要なのはセンスか、直感か
話は戻り、予言から5日後。ひどく蒸し暑い日。
銃蓮転移まで14日。
「あ〜暑い。最近はそんなに暑くなかったのに〜」
エアコンがついているはずなのに蒸し暑い。
流石にこのままだと死ぬ気がする。
せめて死ぬなら強敵との死闘とかやってからがいいんだけど。
「ニンゲンハアツイコトハニガテナノカ。ヒンジャクダナ」
「うるさいなぁ。人間はこんなもんだよ」
ガントレットが煽ってくる。が、いつものことなので気にしない。
そういえばなにか忘れているような……
「名前!」
大きな声で叫んだせいでガントレットがちょっと浮いた。
「ガントレットの名前つけてないじゃん!」
「ナンダ、ソンナコトカ。ベツニイラナイゾ」
そんなこと言っているが無視して考える。
どうしようかな。
ガントレット。喋る。魔法。
まったくいい名前が思いつかない。
「こんなときはっ」
そう一人でつぶやき、お気に入りの本を本棚から取り出す。
〘繕蓮戦争神話〙
結構年期の入った本だが、それだけ愛読してきたということだ。
この本は昔あったとされる戦争を描いた話。
よく……誰だっけ?が読んでいたことを覚えている。いや、誰だか覚えてないし覚えていないと一緒か。
どんな内容だったけかな〜?
私ももう年かな〜
内容も思い出せないので少し読もうと思い、ぴページを捲る。
12000年前、この地には深く根付いた上下関係があった。
神にも序列があり、それを破ることは地獄の門に唾を吐くことと同義とされていた。
序列は上から順に、
時を操る神、物質を司る神、魔を統べる神、自然を猛る神、音を奏でる神。そして、その他名前すらつかない木っ端と同じ価値の神だ。
だが、その木っ端も現代では最強格であると推測されているらしい。
それでも木っ端の神たちは上の神に逆らえず、今で言う奴隷のような行いをさせられていた。
その中でも時を操る神、パナフェロは皆平等を掲げていて、そんな扱いはしなかった。
当時、木っ端の神たちは皆、パナフェロの事をイロアスと呼んで崇めていた。
だが、他の神の仕打ちはひどいものだった。
殴る蹴るは当たり前。たまにもらえる休暇は睡眠を取るだけの時間。
流石にそんな扱いを受けていて黙っていられるほど神のプライドは捨てていなかったようだ。
幾ばくの時が過ぎたある時、繕蓮戦争の狼煙は上げられた。
自然を猛る神の一柱、蘭が木っ端によって消されることによって。
そこからの木っ端の行動は早かった。
蘭を消すとともに、次の標的である、
パナフェロを消しに向かった。
パナフェロは驚いていた。あれだけ良く、あれだけ平等に接してきて、慕ってくれていたはずの神たちに反乱を起こされたと聞いたからだ。
蘭が死んだと聞いた時、耳を疑った。
たとえ束になろうとも蘭に勝てる力を持っているとは思えないからだ。
そこからこちらに向かっていると聞いた時、自分の正気を疑った。
話を聞きたい。ただその一心で一人で神たちがくるのを待っていた。
バァンとドアが蹴破られ、神々が入ってくる。
その中には、見慣れた奴が一柱いた。
蹴破られたと思ったはずのドアは蹴られたあとはついていない。まるで触れられた形跡がない。
それもそうだ。物質を操れる者が触れる必要はない。
そこにいた神が、物質を司る神、ディミオがこちらを向いて立っていた。
「じゃあね、パナ」
「ふぅうううう。疲れた〜」
「ココカラガイイトコロジャナイノカ」
「そうだけど〜、ちょっとつかれたから休憩だよ。名前はもう決まったから」
この話を読み始めて、ガントレットにぴったりな名前が浮かんできた。
「ねぇガントレット。いや、君は今から」
「マーゴ」
「マーゴナンテデテキテナイゾ」
「まあ良いじゃん。私の心に従った結果だよ」
「………」
私はバッと立ち上がると部屋を出て下へ降りて行く。
降りて来たら、2人はすでに席についていた。
「おお、アサ。遅かったな」
「まったく、結構待ちましたよ」
「ごめんごめん。ちょっと色々ね」
「スマナイナ」
私、いや、私達は席につき、左腕を机の上に乗せる。
「じゃあ、やろうかな。尋問」
そう言うとヒーロが右手で何かを掴み、空いていた間の椅子に置く。
「けどさ〜、私だけ見えないのってちょっとな〜」
「それぐらい我慢してくれ、この婆さんが逃げたんだから仕方ないだろ。むしろ要陀を止めたことを称えてほしい」
「いやいや、わたしだって自重くらいしますよ」
「「…………」」
「まあそれはおいておいて、この婆さん。起こす方法とか無いかな?」
そう真面目に言うヒーロ。これで要陀のことを言えるのか。
「ん〜〜、殴る?」
そう言ってマーゴを上げると慌てて静止してくる。
「それで殴ったら死ぬよ!婆さん八十は超えてたよ」
「じゃあどーしたものか」
視界の端でなにかが動いた。動いた物を特定しようとそちらを向くと、要陀が手を上げていた。
「えっ!なんかいい提案が!?要陀が!?」
「わたしの剣のサビにしますよ」
「ごめんなさい。……で、なんなの?」
「目をつぶっているだけで起きています」
「「えっ!?」」
ヒーロが空いている椅子の方を向くと、目があるであろう位置に手を置き、まぶたを開ける。
「どう?」
「……まぶた開けてもわからない」
「なにやってんの!」
また考え直しか。そう考えていると声が聞こえて来た。
「よくわかったな。小娘が」
「ワシがお前のたちの探していた人物じゃ。何を聞きたい」
「教えろ。最近出たんだろ?戦いが起きるとかなんとかって」
名付けのセンスが欲しい




