表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
鉄腕ラリアット 第二部・咆哮篇  作者: 鳩野高嗣
第三十一章 ミニ合宿・最終日
PR
67/264

ミニ合宿・最終日【Dパート】

 続いて男子の入浴時間となった。


「あれ、親分。

 今日は縮れっ毛、探さねぇんか?」


 竹之内(たけのうち)煩悩(ぼんのう)魔王の金森に(たず)ねた。


「何をくだらない事を言っているのだね、キミは。

 さあ、浴室に入ろうじゃないか。」


「親分‥‥さてはトイレかどっかで抜いたんべ?」


 竹之内が追求する。


「え‥‥何を‥‥?」


 金森は目を泳がせた。


「抜いたんべ?」


「すいません、俺はやりました。」


 金森はガクッと両膝を着き自白した。


「お前ら、よく我慢出来んなぁ!?

 三日だぞ、三日!

 爆発寸前だったんだよ!

 先生に土下座して一冊だけエロ本返してもらって、こっそりトイレで‥‥。」


 金森は情状酌量じょうじょうしゃくりょうの余地を求めるかのように全てを語った。


「さっきから何を言ってるんスか?

 抜いたって、何を抜いたんスか?」


「えっ‥‥?」


 真顔で(たず)ねた星野に一同は視線を向けた。


「またまたぁ、トーボケちゃってぇ。

 星野だってやってるんだろ?

 マスをかいたりとか、オナニーしたりとか?」


 煩悩魔王は星野を追求する。


「何スか、それ?」


「何をやってる、日本の性教育!?

 だから、こんな無知な青少年を(はぐく)んでしまうんだっ!」


 煩悩魔王が絶叫する。

 すると、脱衣所の扉が開き、


「脱衣所で何を騒いでいる!

 とっとと風呂に入れ!」


 三浦のお叱りヴォイスが響き渡った。


 ● ● ●


 この日の入浴後のミーティングの議題は、(ツー)ストライク後のバッティングの心構え講座と、決勝戦の大本命である県東地区一位通過の春日部(かすかべ)輝松(きしょう)中学高等学校と、県北地区二位通過の彩央大(さいおうだい)附属(ふぞく)中等部のデータから読み解く対応策だった。


「ここまでで何か質問がある者はいるか?」


 三浦の問い掛けに、松浦が正座したまま手を挙げた。

 脱衣所でのバカ騒ぎの罰として、男子は全員正座でミーティングを受けていた。


「先生は決勝の相手はどちらが来ると見ていますか?」


「俺個人の考えでは春日部輝松だと思う。

 彩央大附属のなりふり構わないやり方は不気味ではあるが、寄せ集めのオールスターチームはメリットとデメリットがそれぞれ大きい。

 また、硬式野球部からの助っ人は、センスはあっても別の球技に参加させられている感じだろう。

 だから、さほど脅威には感じない。」


「確かにリトルシニアから軟式に移った時にゃ、全く別の球技をしている感じだったぜ。」


 太刀川が自分の体験談を元に語った。


「それは俺もっス。」


 星野が同調する。


「他に質問はあるか?

 ――なければ本日のミーティングはこれで終了とする。」


 三浦の言葉に痺れた足で立ち上がる男子たち。


「したっ!」


 挨拶をし終えたタイミングで、足がもつれて倒れる者続出。

 羽野もその中の一人だった。


「うわ、鷹ノ目(たかのめ)さん、どいて!」


 羽野の大きな身体(からだ)直実(なをみ)に倒れ掛かってくる。


「ええっ!?」


 驚く直実。

 その次の瞬間、条件反射的に羽野をフロント・スープレックスで投げ飛ばしていた。

 結果的に直実と羽野の身体(からだ)は密着していた。

 咄嗟(とっさ)に離れる直実と羽野。


「ごめん、羽野くん!」


 直実はやっちまった感が強く蒼ざめていた。


「こっちこそゴメン、急に倒れちゃって。」


 危険な角度で落とされたものの羽野はけろりとしていた。

 しかし、直実と密着した事で羽野は赤面していた。


「おいおい、何を見せつけられてんだ、俺たちは。」


 太刀川が冷やかす。


「(どうだったよ、鷹ノ目と密着した感触は?

 興奮したんならトイレで抜いてこい。)」


 金森が羽野に耳打ちした。


「こ、興奮なんて!」


 羽野は立ち上がると、自分の布団を敷き始めた。


 ● ● ●


「ああ、ナココと粟田(あわた)さん。

 さっき野球部の部屋からすごい音が聞こえたんだけど、何かあったの?」


 女子卓球部の合宿部屋に戻った直実と希望(のぞみ)裕子(ゆうこ)(たず)ねた。


「まあ、ちょっとあってね、あはは‥‥。」


 苦笑いを浮かべて右手で後頭部を掻く直実。



 布団に入った直実に希望が切り出す。


「先輩は野球部の中で付き合うとしたら誰がいいですか?」


「えっ? う~ん‥‥考えた事ないや。

 希望ちゃんは?」


 鮮やかなカウンターだ。

 これには希望も動揺を隠せない。


「わ、私も考えた事ないです。」


「その反応はあるね?

 よし、当ててあげよう。

 ――松浦さんでしょう!」


「カッコいいですよね。

 先輩はどう思います?」


 今度は希望が切り返した。


「自分に厳しそうで、付き合ったら疲れちゃいそう。

 もし付き合うなら一緒にいて疲れない人がいいなぁ。」


「‥‥先輩、だいぶ枯れてません?」


 希望は直実が心配になってきた。


「んー、まあ、ちょっとあってね。

 しばらく恋愛とかはいいかなって思うよ、あはは。

 だから、今夜は希望ちゃんの付き合ってもいいと思う相手を当ててあげるかんね。」


「え‥‥?」


 展開的にカウンターを封じられた希望は、一方的に攻められる側に立った事を悟った。


「じゃあ、岡田さん。」


「えーと、優しそうですね。」


 希望は適当にお茶を(にご)した。


「反応が今イチ薄いなぁ‥‥。

 脈ナシと‥‥。」


「ウソ発見器ですか!?」


「星野‥‥はチビだからパスして、太刀川‥‥は論外、と。」


 この辺りは直実の主観が強く出ていた。


「もう付き合ってる子がいるけど、和田くんとか?」


「理知的でいいですけど、略奪愛はちょっと‥‥。」


「じゃあ、親分は?」


「う~ん‥‥頼りがいはありそうですけどね。」


「ふむふむ、脈ナシと‥‥。」


「ちょっと、これ、いつまで続くんですかーっ!?」


「もちろん希望ちゃんが自白するまでだよ♪」


 直実の探求心は尽きる事がなかった。


「勘弁してくださいよーっ!」


 この後、なかなかお喋りをやめない二人が、長谷川にお説教をくらった事は言うまでもない。

感想、評価、ブクマを付けてくださっている方々、本当にありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ