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鉄腕ラリアット 第二部・咆哮篇  作者: 鳩野高嗣
第十七章 中間テストに潜む魔物
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中間テストに潜む魔物【Aパート】

この作品は『エンターブレインえんため大賞(ファミ通文庫部門)』の最終選考まで残ったものを20余年の時を経てリライトしたものの続編となります。

「来週から中間テストだ。

 知っている者もいるかと思うが、明日からテストが終わるまでは部活は休みとなる。」


 その日の部活終了後、三浦は野球部員たちに説明をした。


「で、中間テストだが、くれぐれも赤点など取らないように。」


「先生、赤点って何ですか?」


 新入部員の一人、多田(ただ)が挙手して質問する。


「各科目、三十点以下の点数の事だ。

 これを取った者には追試‥‥要するに再テストが待っている。

 当然、その間も部活は参加できない。

 そして、地区大会にもその者は出場できない。

 特に、鷹ノ目(たかのめ)! 太刀川(たちかわ)! 金森(かなもり)

 ――いいな?」


「はぁーい‥‥。」


 名指しをされた三人は力なく返事をした。


 ● ● ●


「へえ~、そんな事があったんだ。」


 翌日、明美が沈み込んでいる直実から事情を聞いた。


「そりゃあ、私は赤点常習犯だけどさ、何も名指しで言わなくったっていいじゃない。」


「どーどーどー、落ち着いてナココ。

 要はぁ、全科目三十一点取ればステージクリア~な訳だし、この際、得意科目はほっといて、苦手科目に集中すればいいんじゃない?」


「英語はそこそこいい点取れるけど、他が壊滅的なんだよねー、私。」


「うん、知ってる。」


「アケ~、そこはフォロー入れるところでしょ!?」


 直実のサイドヘッドロックが明美に極まった。


「あはは、ごめんごめん。

 私、現国と古文なら教えられるからさ、一緒に勉強会するってのはどうよ?」


「勉強会、いいね!

 あと、理数系が得意な子がいるといいんだけど。」


 直実は技を解いた。


「理数系ねぇ‥‥。

 学年は違うけど、卓球部の長谷川部長は数学がトップクラスって聞いたけど。」


「どのツラ下げて頼めって言うのよ?」


「だよねぇ。」


 ● ● ●


「という訳で、皆さんのお力をお借りたく存じ上げ(たてまつ)る次第でございますー。」


 明美が掻き集めて来た戦力に直実は頭を下げた。


「何語よ、ナココ。」


 現国と古文担当の明美がツッコミを入れた。


「事情はわかったよ、理科系なら任せて。」


 女子テニス部の門倉(かどくら)奈留(なる)が明るく自己アピールする。

 明美と直実とは同じ小学校で旧知の仲。

 ショートカットがよく似合う、活発系女子を絵にしたような()だ。


「歴史なら教えられるかなぁ、と。」


 日本史担当は同じクラスの桐原(きりはら)史香(ふみか)だ。

 長い黒髪を三つ編みにした地味系の歴女で、おっとりふんわりした性格がオーラとして(にじ)み出ている。


「数学は私だよ。」


 女子卓球部で一緒だった神長(かみなが)裕子(ゆうこ)が名乗りをあげてくれた。

 明るめの髪をツインテールにしている、ちょっと天然が入った才女という感じだ。


「ありがとう、四人揃えば百人力だよ!」


「‥‥自分は勘定に入れてないんだ。」


 明美が直実にツッコミを入れた。

感想、評価、ブクマを付けてくださっている方々、誠にありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[良い点] いろんな女子の友達が出てきていいですね。
[良い点] 頼りになる明美が素敵ですね。 女友だちもたくさん出てきてうれしいです。 [一言] いい雰囲気の部分ですね。先が楽しみです。
[良い点] 今まで明美以外のクラスメイトと接点が書かれてこなかった直実ですが、孤立している訳ではないことがわかってよかったです。 [一言] 直美の英語の勉強方法についても知りたいかな。
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