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鉄腕ラリアット 第二部・咆哮篇  作者: 鳩野高嗣
第十七章 中間テストに潜む魔物
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中間テストに潜む魔物【Bパート】

「フユくん、久しぶり! 大きくなったね。」


 放課後、鷹ノ目(たかのめ)バーバーの店先で直実(なをみ)の弟・直冬(なをふゆ)に挨拶する奈留(なる)に、直冬は頬を染めた。


「こ、こんにちは、奈留ねえちゃん。」


「なぁに赤くなってんだか!」


 直実のサイドヘッドロックが直冬にガキッと()まる。


「あででで!

 なにすんだよ、ガサツ女!」


「誰がガサツ女だってぇ?

 ラリアットとジャーマン、どっちがいい?」


 姉弟のやり取りを見ながら笑う明美と奈留、呆気にとられる裕子、ほのぼのとする史香。


「まあまあナココ、勉強会の時間がなくなっちゃうから、今日はその辺でって事で。」


 明美が直実の肩を叩いてブレイクさせた。


「ええっ、姉ちゃんが勉強!?

 雪どころか(やり)が降って来るんじゃ‥‥。」


「フユ~、あとでシンプ・シエロン・ロス・アギレスの刑ね。」


「プロレス女が怒った! 逃げろ――っ!」


 そう言うと直冬は家の中へ駈け込んでいった。


「相変わらずだなぁ、二人は。」


 奈留がくすりと笑う。


「小学生の時はよくウチに来たよね。

 中学に入ってっからは初めてじゃない?」


「そうだね。」


「ナココったらもう、いつまで立ち話する気ぃ?」


 明美が両拳を腰に当ててプンスカポーズを取ると、


「ああ、ごめんごめん、今、案内するね!」


 直実は慌てて勉強会のメンバーを先導した。


 ● ● ●


「ここが鷹ノ目さんの部屋なんですかぁ。

 見た事ない物がたくさんありますねぇ。」


 史香が筋力トレ―ニング機器だらけの部屋を見回しながら感想を述べた。

 本棚には男女、団体問わずプロレスのビデオがずらりと並ぶ。

 中にはアメリカ直輸入と思われる物もあり、直実はこれで英語を自然と学んでいた事が理解出来た。


「鉄アレイに腹筋マシンはわかるけど、アレは何?」


 裕子がコンパスのような金属製の器具を指さした。


「アレは開脚ストレッチャーだよ。」


「かいきゃくストレッチャー?」


 馴染みのない単語に明美以外の三人が首を傾げる。


「股割りってわかる?

 ほら、お相撲さんとかが怪我をしない為によくする、あの痛そうな柔軟運動だよ。

 で、その補助をする道具がアレなんだけど‥‥もう出来るようになっちゃったから欲しかったらあげるよ?」


「あ‥‥必要ないかなぁ、今ンとこ。」


 奈留が頭に大きな汗を浮かべた感じでお断りした。

 その直後だった。


 コンコンコン。


 やたら丁寧なノック音がした。


「あ、お母さんかな?

 ――今、開けるね。」


 ドアを開けると、お盆を持って立っている直冬がいた。


「姉ちゃん、お茶だって。」


「フ、フユがノックするなんて‥‥!

 雪どころか(やり)が降って来るんじゃ‥‥。」


 直実がお返しした。


「いらないなら持って帰るけど。」


「ああ、いるいる!」


 直実は慌てて直冬からお盆を受け取る。

 直冬は奈留をチラ見してから、


「バカな姉ですが、よろしくお願いします。」


 と一礼した。


「どーせ、私は筋トレにステータスを全部割り振ってますよーだ!」


(バカを認めちゃってるけど、いいの!?)


 四人が心の中でツッコミを入れた。

感想、評価、ブクマを付けてくださっている方々、誠にありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[良い点] オチが利いてますね! 最高です!
[良い点] 直冬くんがかわいい。 こんな弟が私にもほしいです。 姉弟の会話も自然な感じでいいですね。 [一言] オチが何気にいい感じです。
[良い点] 姉弟シーン、いいなぁ。 きっと本当は仲がいいんでしょうね。
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