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チートな俺の異世界生活  作者: 響神奈
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26話 チートな俺の眷属の話し③

 椅子に座り部下の帰りを待っているラッセラトは自分がいるアジトを隠している魔法具が破壊されたのを確かに感じ取った。


「何? まさか、不可視の壁が破壊されるとはな…こりゃラーデンさん怒るだろうなぁ。おい! 野郎共。侵入者だ、構えろ。侵入者が入って来たら一斉に扉から出て襲いかかれ。狭い廊下だ、誰かしら当たるだろ」


 部下10人は黙って頷いた。覚悟は出来ているようだ。


 アジトは細長の建物である。入り口から入ると廊下が一本あり、その途中に部屋へ続く扉が一つある。廊下の奥までいくと階段へ続く為右に曲れるようになっている。


 ガチャリと入り口が開いた。豚男と高太臆する事なく入って来た。そして廊下を歩いていく。入り口の扉が閉まったとき、建物に結界が張られた。そして、次の瞬間部下10人が部屋から一斉に豚男と高太に襲いかかった。


「ここは僕が。【火炎速《かえんそく》】」


 【火炎速《かえんそく》】…自身の足に炎を纏い、速度を上げるエンチャント魔法。


 高太は木剣を引き抜くと、まるで一閃の如く太刀筋で一瞬で10人の気を失しなわせた。


「ひゅー早いな」


「ありがとうっす」


 2人は部屋の扉開け中に入った。その途端木の壁は岩壁へ変わった。


「何?」


「よく来たな、てめぇら。よくもまぁやってくれたもんだぜ。お前等の壊したあれ、結構高かったんだぜぇ〜?」


 部屋の奥に椅子に座る1人の人物が、油断ならぬ視線で豚男と視線を被せた。


「あっそ」


「…ノリの悪い奴だな。まぁいい。かかってきな。それが、目的だろ?」


「言われなくてもな! 【風切り《かざぎり》】!」


 先程と同じ速さで一気に距離を詰めようする豚男。しかし、地面が光ったと思ったら、気がつくと豚男は体が岩で覆われていた。


「は?」


「先輩!」


「手ー出すなよ! 高太!」


「ひひ、いいのか? あんちゃん。あんた死ぬぜ?」


 がこん。奇妙な音がなる。2人は困惑していたが、ラッセラトは勝利を確信した。コイツ等バカだと。


 高太は後悔した。目の前に天井が落ちて来たからだ。豚男の所だけに、岩で出来た天井が無慈悲に落下した。


「はーっはっはっは! いひひひ。バァーカだぜ! コイツ!」


「先輩!」


 高太が岩を切る為木剣を抜いたときだった。


「誰が…」


「あ?」


「誰がバカだってぇぇ!」


 小規模な竜巻が発生した。その発生原には豚男が居た。


「ふん」


「な…に! こんっの、化けもんがぁぁ!!!」


(クッソ! こいつBランク冒険者以上か! そりゃ、ナーチもやられるわけだ)


 この世界の強さは冒険者がよく基準にされている。


 Bランク…それは、常人が到達出来る限界であると言われている到達点。そこから先は強さの次元が一気に変わってしまう。因みにナーチとは、先程高太に不意打ちを仕掛け、豚男にぶっ飛ばされた水属性使いである。


「今度こそ! 【風切り《かざぎり》】!」


 今度は直接ではなく、風の斬撃波をラッセラトへ飛ばした。


 再び地面が光り、その瞬間岩の壁が5重生成された。1枚2枚3枚と軽々破壊された。


「汝は土の人形。眼前の敵を抹殺せし者」


 4枚目で少し威力が弱まった。


「我が名はラッセラト。剛力なる土よ。偉大なる土よ」


 5枚は破壊されたものの、強い風が吹く程度で済んだ。


「我が土の人形に一騎当千の力を与えたまへ。【キラーゴーレム】!」


 ラッセラトは岩の壁が破壊される間に詠唱魔法を唱えていた。詠唱魔法は岩の壁が破壊されると同時に終わった。


 詠唱魔法…より正確に魔法をイメージし、放出魔法よりも強力で細かい効果を持つ魔法を放つ事が出来る。


 生成された【キラーゴーレム】は岩で出来ていて、でこぼこした細身で、4本の腕が生えていた。


「やれ! 【キラーゴーレム】!」


 【キラーゴーレム】は豚男めがけて突っ込んだ。距離を詰めた【キラーゴーレム】は上の2本の腕でクロスに斬り込む、油断していた豚男は思わず木剣でガードした。その為、下の2本腕が放って来た突きをガードする事が出来なかった。


 突き攻撃が直撃した豚男は岩壁に衝突した。


 【キラーゴーレム】は同じようにクロス攻撃を仕掛けて来た。しかし、今度は油断せずキラーゴーレムより早く腹に【風切り】を放った。ゴーレムは少し飛ばされた。これによりゴーレムの硬さが明らかにわかった豚男。


「へぇ、おもしれぇ。早速試してみるか。【風槌《エアンマ》】…はカッコ悪いから【風槌《かざつち》】!」


 豚男は巨大な風の槌を作りだした。


「【重風撃《ヴェル・イン・シュール》】!」


 豚男は健太から予め新たな技の案を教えてもらっていた。その技こそ【重風撃《ヴェル・イン・シュール》】。【風切り《かざぎり》】と違い、斬撃ではなく打撃よりの技だ。


 豚男は、襲って来た【キラーゴーレム】を【風槌《かざつち》】からの【重風撃《ヴェル・イン・シュール》】で粉々に粉砕した。


「我が名はラッセラト。剛力なる土よ。偉大なる土よ。眼前の敵を縛り。我に裁く権利を!【岩縛り《ルム・バドック》】…チッ、予想よりも早く【キラーゴーレム】がやられちまったか」


 豚男の手足を拘束した土の枷。豚男は手足を広げられ、完全に無防備なら状態になってしまった。


「チッ」


「無慈悲なる忌槍をこの地に顕現させん。我が名はラッセラト。剛力なる土よ。偉大なる土よ。眼前の我が敵を貫け。【悪魔の角《デビルホーン》】」


 捻れあった3本の岩槍が豚男の腹に直撃した。しかし、貫通することはなかった。豚男はごり押しで【岩縛り《ルム・バドック》】を破壊し、両手で今にも腹に穴を開けそうな【悪魔の角《デビルホーン》】を持ち、先端を砕き割った豚男。続けて、【風突き《かざつち》】で殴り【悪魔の角《デビルホーン》】を粉々に砕き、そのまま風槌を生成し、ラッセラトに向かって突っ込んだ。


「く、来るなあぁぁぁ!!! ひひ…なんてね。死ね! 【百魔の角《ニービルレイン》】!」


 地面が光る。その瞬間、壁、床、天井至る所から【悪魔の角《デビルホーン》】が生成され、豚男を襲った。先程から罠のように豚男を襲ってるのは魔紋と呼ばれる魔法である。


 魔紋…予め魔法を発動させ、発動させた魔法を魔紋の中に宿し放出魔法の用に発動させることの出来る技術である。しかし、簡単なものでは勿論なく、高い魔力量と緻密な魔力操作が必要となるのだ。


 【百魔の角《ニービルレイン》】は豚男を再び壁に激突させた。


「あー! もー! めんどくせぇぇぇぇ!!!!!」


 体中に突き刺さった【悪魔の角《デビルホーン》】を再び竜巻で粉々にした豚男。


「お前、ほんっとうに面倒くさい。次で決める!」


「くそぉー! まだだ。【龍角《ドラゴンホーン》】! これで死んでくれー! 止まれ! 止まってくれぇぇー!!!」


 豚男は突然出現した【龍角《ドラゴンホーン》】を避ける事が出来なかった。しかし、咄嗟に左腕でガードする事には成功した。今までダメージというダメージを受けてこなかった豚男だが、【龍角|ドラゴンホーン】は腕を貫き、腕からは血が出た。貫通の危険があったが、防御に意識を注ぎ浅い傷で済んだ。因みに、天井を突き破り2階天井付近まで来ていた。


「危なかった…油断し過ぎたか。けど、これで終わりだ。【重風撃《ヴェル・イン・シュール》】!」


 角から腕を抜き、もう片方の手に風槌を出しそのまま【龍角《ドラゴンホーン》】を叩き壊した。


「あ、あ…嘘だ」


 豚男はラッセラトの目の前に立ち、風槌を振りかぶる。そして、思いっきしぶっ潰した。高太が急いで壁を張った為、ラッセラトが何処かへ飛んでいくことはなかった。


「ふー中々面倒くさかっけど。悪くなかったぜ」


 その後、豚男と高太は建物中探し回ったが本拠点に続く道を見つける事が出来なかった。その為、大人しくラッセラトが起きるのを待つ事にした。

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