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9話「神のシナリオ」


――――――――――――――


さっきは何も言わなくてごめ〜んね(泣)

だからここで、

伝えられなかった注意事項を書いちゃうお⭐️

読んでくれなきゃわし、泣いちゃうお?(腐)


――――――――――――――


「注意事項?まぁ主人公としてのルールみたいなものか。てか、これがさっきまでの神と同一人物だというのか……?」


「ダメだウザすぎる、ウザすぎて読んでられない。読み上げてくれ...」


「はいはい」


俺はフラフラとよろめくレミュールの横で、声に出して手紙の続きを読んだ。


――――――――――――――


さてさて、


その世界はメタディレクション(笑)を持つ


君の行動ひとつでかぁーんたんに変化するお!


この事を"メタエフェクト"っていうお!


だから気をつけて欲しいことがあるお!


それは、シナリオにとって重要なキャラクターが死ぬと、大きな矛盾、"シナリオエラー"が発生するってコト!


J-49でいうと、挑むべき魔王や、挑む勇者がいなければ、シナリオは進めなくなるおね?


そうなったらどうなるかな?


世界はシナリオエラーを抱え切れず、進むべき方向を見失う。


それを"シナリオ崩壊"と言うお!!


シナリオ崩壊すると、登場する全ての創作物は勿論、


"君もろとも消滅"するお!


だ・か・ら❤️


君の使命は


"プロットに従って、世界を観測し、テーマへ収束させる"


そして物語を完結させるコト!


君がこの世界や主人公へ、どんなメタエフェクトを与えるか楽しみだお!


神より


――――――――――――――


「な、なんだこれは...何を言ってるんだ?」


メタエフェクト?シナリオエラー?シナリオ崩壊?消滅?J-49ってなんだ?プロットに従って、世界を観測し、テーマへ収束させる?それが俺の使命って...


大体、なんで俺の心の中での設定"メタディレクション"を知ってるんだ...


なるほど、神だからか。神だから俺の心も読めてるのか、うわーーーなんか恥ずかしい!!!


ふとレミュールに目をやると、引きつった笑みを浮かべ、長い爪を噛んでいた。そして俺から手紙を奪うと、今度は真剣な顔で読み直した。


「何か気がついたのか?」


「う、ううん!別に...!」


レミュールは手紙を押し返すと、わざとらしく口笛を吹いた。


「てか、モブ雑魚って本当にモブ雑魚だったんだな」


「はぁ?なんの話だよ」


「だって最後の一文に書いてあるじ、『"君"が世界や"主人公"へ』って。それってモブ雑魚と主人公は、まったく関係のない"別人"って事でしょ?」


俺は最後の文に、もう一度目を通した。そして無言で手紙を引きちぎり、それを地面に叩きつけて何度も踏みつけた。


「俺、主人公じゃないのかよ!!」


俺のそんな様子を見ながら、レミュールは手を叩きながら笑っている。


「まてまてまて。じゃあ、主人公でも無い俺が、どうやって物語を完結させるんだよ!」


「これみたら分かるんじゃない?」


レミュールが手紙の入っていた封筒からもう一枚の紙を取り出す。その上文には「神のシナリオ」と記されていた。


「な、なんよこれ?」


「この世界?物語のあらすじ?みたいなのが書いてあったよ」


「あらすじ...!?そうか!それなら何かヒントが!」


俺は迷わずその紙に飛びついた。それにはこう書かれていた。


――神のシナリオ――


プロット番号J-49

タイトル名:『無敗勇者は魔王に挑む!』

世界:魔群大陸アズランド

テーマ:努力と信念は必ず勝つ


――生物の99%が魔族に含まれる魔群大陸アズランド。人類はほぼ絶滅しかけていた。全ての魔族を支配する"魔王ザシュー"は、ついに人類を殲滅する為に動き出した。そんな最中、人類最後の砦"救済都市パラグワイア"で130年ぶりの勇者が誕生した。その名は勇者ブラム。人類最後の希望、無敗勇者の魔王に挑む冒険が始まる――


なんーだこれは?中学生の授業中の落書き、みたいなあらすじは。てか、俺が知ってるタイトルと全然違う。"無策で魔王に挑んでみた(笑)"だろ?まずテーマが違いすぎる。


俺はシナリオを四つ折りにするとポケットの奥底にしまった。そして大きなため息をつく。


「でもこれなら、俺が何もしなくてもストーリーは勝手に進むだろ?まぁ、余計な事はせず、勇者が魔王を倒すまで、のーんびり過ごしてれば、シナリオ崩壊?そんなもん起こらないだろ!」


俺は空へ向かって両腕を伸ばした。その瞬間、全身から一気にやる気が消えていく。


「あー....そうもいかないかも....なんだよねー...?」


「ん?それはどう言うことだ?」


「ウチね」


その場の空気が一気に沈み、レミュールは引きつった笑みを浮かべる。


「なんだよ、言いづらい事なのか?レミュールらしくねぇな笑」


レミュールに指をさしながら、ふざけたダンスを踊る。


「そ、そうだよな!ウチらしく無いよな!!よぉーし!!」


「そうそうその意気!」


「ウチね、多分この世界の魔王を殺しちゃってんだよね❤️」


レミュールはウィンクをすると、舌を少しだけ出し、笑顔の横でピースサインを作った。俺も真似をして、同じポーズをとる。


「いえーい❤️....はぁ!?」


森から変な鳥の奇声が、やけに大きく聞こえてくる。

そうか、へぇー魔王死んだのか。



あれ、じゃあもうこのシナリオ詰んでね!?

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