48話 偽りの家族 2
今回短いです
明日公開するのはもう少し長いです
やがてテラバスの嗚咽が収まり、呼吸が落ち着いたのを肩越しに確認すると、メルザは彼の腕に手をかけ体をやんわり引き剥がす。
しばらく見つめていると、ふいに向けられた黒瞳とぶつかった。
「少しは落ち着いた?」
「……ああ」
メルザの手が離れ、テラバスはぐったりと壁に寄りかかった。
憔悴しきっているが、泣いた事によりストレスが緩和されたのか、テラバスは落ち着きを取り戻していた。
「ここはどこだ……メルザ……」
気が静まれば、敵味方の判別はつく。
テラバスはキッと彼女を睨んだ。そんな顔が出来るほどには回復したのか、と安心したメルザはにこりと笑った。
「私達が昔いた孤児院よ。懐かしいでしょ? ……ほら、お家に帰ってきたんだから、もっと寛いでいいのよ」
手を広げて揚々と語る。
孤児院、という事はここは8番街。元々いた2番街から、かなり長距離移動した事になる。
遠路はるばる連れてこられた事にも驚いたが、何よりこの空間に驚かさせた。
テラバスが知る限りでは、孤児院にこんな物騒な設備は無い。記憶の中の孤児院はもっと温かい……親がいなくても不幸と思わない、満たされた場所である。
しかし今は薄暗くジメっとした檻の中。
首枷までつけられて寛ぐもクソもあるか、と思いながらここに来るまでの経緯を思い出していた。
スライプとはぐれたと思ったらローブ姿の女が現れ、視力を奪われ気を失い、気がついたらここに繋がれていた。
「あの時オレを襲ったのは、お前か」
「何を今さら。まぁ、貴方を追い詰めるのは心苦しかったけど、そのままだと駄々こねそうだったし、手荒くさせてもらったわ」
「駄々こねそうなら、どうして手足は自由なんだ。首枷だけつけやがって」
「……貴方は、自分のペットの手やら足やらを縛るのかしら? 動き回る自由は奪わずとも、逃げないよう首輪くらいはつけるでしょ?」
それと一緒よ、とメルザは冷たく言い放つ。
「オレはペット扱いか」
「当然、ペットは家族ですもの」
平然とした答えに、なるほど……とテラバスは妙に納得してしまった。




