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井浦は基本、動いてから考える生き物である(だからこうなった)

休載すみません。

待っていて下さった方々に感謝です。



 茂る木々の間から見えるのは洋風の城である。そんで作業着っぽい服と金の斧を持った俺、そして町娘っぽい服を着たユカリヨさん。なんか色々あってこうなってる。


 そんで今、勇者ホクロの能力が判った所である。



 勇者の能力は、未来予知。思い浮かんだ文字は声となり、ユカリヨさんの声と重なった。

 あの勇者(ホクロ)はこの井浦の行動やら缶の効果やらを、予め知っていたかのようであった。それも奴の能力が未来予知なら辻褄が合う。



「....でも、未来予知の能力者がいたとして、有名にならない事ってある?」


「確かに未来予知なんて能力があれば、政府様の頭脳替わりくらいにはされるだろうが.........まあ、俺が能力の全貌を適当に隠してても世間には知れ渡らないしな」


 俺の答えにユカリヨさんは「ああー...うん」と微妙な顔で答えた。

 井浦は爆発缶とか基本出さないが、今なら使えるっ!思ったらすぐ使うしな。そんで瀬田さんの仕事が増えるわけだ。愉快愉快。



 要は、俺が瀬田さんに色々と揉み消してもらっているように勇者も誰かお偉い立場の人を味方に付け、その未来予知とかいう能力を秘匿して貰っているのだろう。



 これで、今まで未来予知の能力が知られなかった理由もある程度推測できたし、奴の能力が未来予知だとも断定できる。



 勇者ホクロの能力は未来予知だ。そして俺はその能力を破った。

 おそらく、俺が別にどこでも缶を生み出して逃げた時すでに破ったいた。奴は俺が逃げられないと予知していたのだろう。この世界限定能力の主人公補正が働いてくれたって所かな。まぁ、そんな事はどうでもいいか。



 あとはあの勇者(ホクロ)に未来予知と言えばこの夢世界は終わる。特に何かトラブルが起こる事も無くてよかった。


 トラブルが起こる事もなく........

 ただ、どうだろう。これからトラブルが起こる気がするんだぁ。



 城の方へ向かったホネタロウ一行と、同じく城へ向かったらしいコウキくん。城の中に置いてきたフシ。未だに行方不明のカズマさん。グラ子だってどこかにいると思う。あと政府の役人的な奴もいるだろう。

 そして、未来予知を持ちながら何もしてこない勇者ホクロ。もう井浦が能力を言い当てる未来を予知できると思うのだが。

 あれだな、うん。

 不 安 要 素 ば っ か り 。

 

 

 何も起こらないで早くお家に帰れればいい。

 井浦は基本平和主義なのだよ。うん。そんな井浦の友や知り合いが騒ぎを起こすなんてあり得ないね。


 .......



 ....なんか城の方で『ドゴォン!ズゴゴゴドッシャーン』っと感じの音が盛大に轟いたが、たぶん気のせいだろう。気のせいだろう気のせいだろう(早口)



「お城、崩れたね....」


「ああ.......」


 ユカリヨさんの呟きに、ため息を吐くような声が出た。


 そうだよね〜☆気のせいなわけないよね〜☆あの城の塔ひとつ崩れた音だったね〜☆



 マザーシット



 さて、もう手遅れだ。どうやっても騒ぎにしかならない。俺の缶が皆をこんな世界に巻き込んだ所から騒ぎは起こっていたけども。

 あと樹を切ったのは悪手だったか......いや、それよりあのホクロが予想以上に厄介だっただけだな。


 しかし手遅れは手遅れだ。悔いても仕方ない。だからと言って次の一手を考える余裕もあるとは言いづらい。

 なら、直感でもいいからとりあえず動く。すなわち脳筋プレイ。いつも通りの俺ですね。



「とりあえず、俺は城行くか」


 ここで傍観主義を決め込むのもいいかもしれないが、そしたら取り返しの付かない事になるかもですし。



「私も行っていい?」


 ユカリヨさんも同行ですか?



「ええ....うん、まあいいや」


「ちょっと不満そう!?」


 いや、森を突っ切って最短ルートで城へ向かうつもりなのだが、ユカリヨさん動きにくそうな格好だし。


 だがここから城まで、それほど距離は無いだろう。まぁ、レーザー缶で城のテッペン狙った時より城は大きく見える。五百から八百メートルくらいか。



「森突っ切って行くけど、いいか?」


「フシちゃんには乗らないの?」


「いや、あれ結構危険だからな。安全性のかけらもない。...まぁ、テロが多発してる外国に連れてくような感じ。そんな無責任な事ユカリヨさんには出来ない」


 あと、ユカリヨさんの前で「神☆獣☆召☆喚!」とか言いたくないし、召喚の演出がいちいち長くてもうその時点で面倒ってのもある。大いにある。



「そ、そっか」

 

 ユカリヨさんは腕を後ろに組み、顔を逸らす。眉をハの字にしながらも抑えたような微かな笑みを浮かべた表情はどんな心境なのかよく分からない。

 ただ、いつもと違う服装と髪型だからか、井浦はその動作に少し見惚れていたようだ。


 あらあら、こんな時でも井浦ってば思春期真っ盛り。次はもう倦怠期。今が全盛期なんだな。

 


「そんなワケで、全力でやろうじゃないの」


 ホームラン宣告は金の斧で。掲げる先は城、まだ倒れていない塔。

 この位置に木があればいける。



「俺の前に木、生やしてくれ」


「うん、わかった」


 ユカリヨさんは井浦の指定した場所に、ほんの数十秒で他と変わらないような木を生やす。

 その間にエナジードリンクの缶を出して一気に飲み捨てた。薬漬けである。おくしゅりしゅごい。



「サンキュー、悪いな」


「いいよ」



 それを聞いてから、再び斧を構える。全体重は右足に乗り、左足は地面に付く程度。


 文字通り、ここから道を切り拓こう。

 俺が思いつく、ただ一つの道を。この斧で。


 右膝を曲げ、身体を捻り、力を溜める。

 そして踏み込む左足を土の地面にめり込ませ、一瞬に込めた全力。

 

 一振りは、いつものごとく大きく衝撃の波を生んだ。

 よし、届いた。全部切った。ここで城までの木、全部切ってやった。

 そんで城まで切り崩してやった。


 城の塔がまた一つ、綺麗に倒れて崩れた。



 これで城(半壊)までの一本道の完成である。


「ハイハイ注目、井浦の御成(おなり)だ。なあ勇者(ホクロ)?見えてたかよ、この今が」


 俺は、崩れた城の瓦礫の上に立った人影に問うた。














『ーーーちゃんちゃん♪ ねこちゃん♪ ちゃんちゃん♪ うさちゃん♪ ちゃんちゃん♪』


 ああ、締まらん。



井浦がマザー○ットとかマ○ーシットとか(大事な事なので2回略)言ってたような気がしなくもないですが、井浦は上品です信じて下さい。


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