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異世界転生したのにチート能力が無い!?  作者: ゆき


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5/5

美麗

目の前に広がる破壊痕に僕は、ただ見惚れていた。

正確に言うならば、彼女の魔法にと言うべきだろう。

それは、ほんの一瞬、瞬きの合間には終わってしまうほどの速さであったにも関わらず、僕の瞼に焼き付き離れない。

呼吸も忘れてしまう程の衝撃、満開の桜が咲き乱れた姿を見た時の様な、刹那的な美しさを感じさせられた。

彼女の杖が眩く光ったかと思うと、それは瞬く間に放たれた。

槍の様に一本の鋭く大きな物体に巻きつくかのように流れ散る電流。

僕には掠りもしていないはずなのに、身体は痺れて動かない。

声を出そうとするも、情けない音が漏れるだけ。

まるで一目惚れみたいな…いや、まさしくそうだろう。

彼女の魔法に当てられ身動きもできなくなってしまうのだから。


「………あ」


彼女は思い返したように言うと、急いで呪文を唱え始めた。


「親愛なる精霊よ、愚かな我らに祝福を与えたもうて、その力を振わんとせよ、クリエイション」


「クリ…エイション…?…もしかして創造?」


どうやら僕の予想は的中したようで、彼女が手を伸ばした先から土がどこからともなく出てきて、それは先ほど彼女が破壊した山の頂上へと飛んでいき、まるで初めからそこにあったかの様に落ちて馴染む。

ほんの数分で、先ほどまでの円形に破壊された痕は無くなってしまった、まるで何事もなかったかの様に。


「お…おぉ…!」


流石の父もこれには驚いたようで、感嘆の声を漏らしていた。


「これなら安心して預けられますね」


母も驚きと尊敬の混ざったような声でそう言う。

…いや、さっき急に山にあんな風穴あけた奴に安心して預けられないだろ。

とか思いつつも、僕の心は既に決まっていた。


「…ノエル・フードさん…先程は失礼な態度を取ってしまい申し訳ございませんでした。…ノエルさんさえよろしければ、僕の師匠になっていただきたいです。」


ノエルさんは、少し疲れの見える顔でこちらを見つめると、ほんの少しだけ黙り込んでから


「いやまぁ、初めからそのつもりでしたから」


風に髪を靡かせながら僕の目をしっかりと見据えて言う。


「…!こ、これからお願いします!」


「はい、こちらこそお願いしますね」


そうして、俺の人生において初めての師匠が出来た。


ーーー


「それで…君はどれくらい魔法を使えるんですか?天才、としか聞いてませんけど」


あの後、両親は仕事に戻り、僕と師匠はさっそく特訓をはじめていた。


「えっと…魔法を使ったのは一度しかありません、それ以降は師匠が着くまでは使用禁止と言われてて」


「…なるほど…じゃあ一度魔法を使ってみてください、思いっきり」


「思いっきり…ですか?」


師匠の言葉に僕は突っかかりを覚えてしまう。

確かに弟子の実力を知るにはこれが1番早いだろう。

けれどそれでもし被害が出れば?

もし僕の放った方向に人がいれば?

僕はまだ魔法のまの字も知らない素人、それ故暴発してあらゆる事故を引き起こす可能性だってある。

…前科もあるし。

そんな僕の心配を察したのか。


「大丈夫、もし何か壊れても私が直しますから」


師匠は真っ直ぐこちらを見つめると、力強く僕に言う。

その目からは、有無を言わせぬだけの圧と、自信を感じさせられた。


「…わかりました、それじゃあ…いきます。」


一度深呼吸をして、魔力を身体に巡らせる。

さっき師匠を見ていて気がついた事がある。

師匠は魔法を使う前に身体に魔力を巡らせていた。

それにどんな意味があるかは分からない…ものは試しと言うものだ、ダメなら次から改善すればいい。

そうして、僕は身体中に魔力が行き渡った事を確認すると


「サンダーボルト」


僕の思考は、身体に魔力を行き渡らせる事とその効力に注力されすぎて、詠唱をぶっとばしてしまった。


「え」


一瞬師匠の間抜けな声が聞こえた気がしたけれど、それは瞬時に爆音にかき消されてすぐに聞こえなくなった。

魔法を唱えたと同時、僕は爆風に吹き飛ばされ家の壁に激突してしまう。


「こ…これは…」


師匠の声が聞こえるのと同じに僕も目を開ける。

そこにあったのは以前より二回り以上大きく、さらに深くなった穴だった。

師匠は僕とその穴とを交互に見比べると


「…おばか」


僕の頭を軽く殴る。


「な、なんで」


何故殴られたのか分からず言い返そうとすると

師匠はその穴を塞ぎ


「魔力量はやばいけど、君はまだ魔法を何も知らないね…あたしが全部教えてあげる」


僕の方に振り向き、きらきらとした笑顔で告げてくる。


「…お、お願いします」


僕の守備範囲にロリは含まれないはずなのだが…柄にもなく僕は、彼女のその笑顔にドキドキしてしまう。


「よろしい、それじゃあ…今から授業を始めます」


「はい!お願いします!」


僕は、これから始まる初めての師弟関係へのドキドキを胸に、大きな声で返事を返すのだった。

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