第49話 秋の収穫祭をマレイの領地で行う
今年は近隣の町や村、集落に声をかけて、秋の収穫祭をマレイの領地で行うことになった。
ヤマネ町の町長の娘フローラが企画し、ヌマタ村、タロイモ村、カスミ村、アミカ村、オワリ村が賛同して、大きな初めてのイベントとなった。
準備組は、数日前からテントを張って、機材の搬入や加工などを進めていた。
屋敷前の広場に机を並べて、食べ物や飲み物を用意した。もちろん、食材や酒、そして料理をする者も、各町村の持ち込みである。
近隣からこのホワイト町までは、近くても20キロメートルはある。前日からテントを張っているものや、当日朝早くから、馬車に乗りあって駆けつける者もいる。
「ご注目願いますー。ご注目願いますー。素晴らしい秋空の下、皆さん集まっていただきありがとうございます。わたしは、この祭りの実行を取り仕切らせて頂いております、ヤマネ町のフローラでございます。 本日は、近隣にお住みの皆さん、およそ5000人の方々に足を運んでいただいております。ありがとうございます。時間もたっぷりございますので、ごゆっくりお楽しみ願います」
魔素で稼働するマイクとスピーカを開発した。声を増幅する”ハンドスピーカー”だ。
「えーっと。案内係のモモカです。楽しみ方いろいろです。中央通りの脇と中央噴水の周りに案内板があります。これは!と思うところに出向いて下さい。賞品景品とも沢山そろえています。のどじまん、腕相撲、丸太乗り、射撃、金魚すくい、ボルタリング、ボーリングなど競技に挑戦してみてください。小さなお子様も楽しめるものも用意しています。迷子やトラブルなどは、この中央噴水前のテントに申し出てください」
わいわいがやがやと、ひと・ひと・の往来が激しい。
腕相撲のところを見ると、やはり獣人種が強い。で、なぜか狐種に化けたカレンが入っている。
「カレンちゃん?。勝っちゃあダメだよ」と小声で注意した。なんたってアンドロイドだから力は、人の3倍もある。
周囲の連中は、僕もカレンにも認識がないのか、注目もされない。うれしい。
僕は、魔法で狐種のおじさんに化けている。ソフィーズたちにも化けさせている。まあ、誘拐に会わないとも限らないし、可愛いからと言って捕獲されてもたまらんので。
「ここの領主様はウサギなんだって。知ってる?」
「見たことあるよ。でも今日は見えないね」
屋台も大盛況だ。焼きとうもろこしもうまい。ニンジンも美味い。
昼頃、アナウンスがあった。
「ご注目願いますー。ご注目願いますー。今日この祭りの場を提供していただいたホワイト町の町長を紹介させてください。さあ、どうぞ町長こちらへ。・・・・。可愛い・・・。あっ!失礼しました。長い耳と赤い尻尾が・・・可愛いぃぃ・・。あっ!失礼しました。ご紹介します。町長のフリオ・マレイ氏です」
「ハハハ。可愛いと言われても、おじさんなんだけどね。さて、皆さんフリオです。長い話は嫌われますので、早々に退散します。この祭りの準備に尽力いただいたスタッフの皆さんに、お礼の拍手を送ろうではありませんか。パチパチ・パチパチ・パチパチ。じゃあ、皆さん心行くまで楽しんでくださいね」
僕も、子供たちも本来の姿に戻している。
僕と同じのウサギ型のタロウ。長い耳と赤い尻尾がチャームポイントだよ。
カレン、アズサ、そしてソフィーズたち。
「フリオ様、ありがとうございました。こちらには、カレン様とお子様たちがお座りになっております。会場でお見掛けしたら、お声をかけてくださいね。ムムム・・・可愛い・・。あっ!失礼しました」
「それでは、青い館から美しい音をいただきましょう。ソフィーズとグリーンズの皆さんです。拍手でお迎えください」
「「「パチパチパチパチ」」」
この日に合わせて、ソフィーズの楽団は練習をした。
曲目は、『青い空』『ふるさと』『輝く星』の三曲。作曲はミゲル。
曲に合わせて、グリーンズの子供たちによる踊りも披露した。(グリーンズは森人の子供たちの呼び名)
夕方には、女性や子供たちは家路についた。後は、明け方まで男どもが酒を飲んで騒いでいたのは、祭りの定番だ。
まあ、翌日は片づけに追われたよ。森人たちも加勢してくれた。




