第13話 ルーレット・カガクの記憶
この地にダイブしてから、2年が経った。
血肉躍る大冒険をしたかったわけではない。”魔法を使ってみたい”の一心だった。
ひいらぎの魔導書を抱えて、ここにダイブしたのだ
木陰の椅子に座って、走馬灯のように過去を思い出しながら、うとうととする。
僕の宇宙船は、全長30キロメートル、幅7キロメートル、前方には半径500メートルの円形状に操舵室などがある。後方は動力区や居住区、栽培エリアなどがある。乗り組み員2000人が生活するための必要なものが船内で作られる。また、船外からの攻撃に対しての戦闘機やレーザー砲なども備わっている。
「セバス、あの地点に転送してくれ。君たちは、この星の周回軌道で待機」
「了解しました」
俺は、ルーレット・カガク。星間行商ギルド3500万人を統括する者である。通称、赤の総帥と呼ばれている。そして、カガク家の尻尾は赤いのだ。
ある日、電子とは異なる素が黄色い太陽から放出されているとの情報が入った。まあ、いつものデマの一つとスルーしたが、この星域に関する5000年に及ぶ多くの記憶が一点に集中してきた。ある!、ある!、3つ巴の太陽に緑の惑星がある!。
私は、ルーレット・カガク様の執事のセバスです。
ルーレット様が、母星アルタイルを後にして早1年。この辺境の星系にやってきました。
突然、”冒険がしたい”とおっしゃったのです。なぜにと疑問はもちろん浮かびました。
総帥の仕事はどうされるのでしょうかと。
でも、お疲れなんでしょう。5000年も星間行商ギルドを支えてこられたのですから。ええ・賛成です。
早速、ルーレット様の近辺整理に奔走しました。
そして、一年がかりで全ての移譲作業が終了しました。もちろん、ご遺留の声が絶え間なく反響してきましたが、ルーレット様の心は固いものでした。
”もう、わしがおらずとも、大丈夫だ”と。
周回に入って3年。地上のデータを集め解析する日を過ごしている。
電子とは異なる素が、あの黄色い太陽から放出されている。この船にも。
地上の人種の手から、直接炎が出たかのような動作を何度も見た。あれは、炎を出す魔法?。
遥か昔からおとぎ話のひとつに、魔法の世界がある。そして、魔法を冠にした小説やアニメ、漫画などが溢れた時代があったそうだ。科学の世界では取り上げられるはずもなく、しかし、人々、特に若者には根強い憧れがあったと聞く。
さて、3年は長かった。調査は念入りに行った。
降下候補の地上には、数千年前に滅びた世界が広がっていた。廃ビルの小山が点々と碁盤目に通る道路に沿って見える。草原と森が続く広大な大陸であるが、その地域には数千人の人種が住んでいるようだ。
人の多くは大きな森の西側に、およそ600万人ほど住んでおり、レベル3の文明文化を営んでいる。その他、知性を持った生物がところどころにコロニーを形成している。人種は魔法を中心に発展しており、科学は芽生えていない。
そうそう、崩れていない青い建築物があった。いつか訪れてみたい。
「それでは、いってくるよ!」
おれは、魔の星に向いてダイブしたのだ。
何度思い返してみても、無茶な衝動から?? でも、やっぱり冒険は心が躍るよ。ワクワクだよ。




