第11話 満月の夜 人種との初めての遭遇
ある廃ビルの小山で、ふと脇に目をやると、上に向かう踏み跡がある。獣道だな?といつもは見逃すのだが、今日は跡を辿ってみた。
段々と上に続いており、頂上で終わっていた。100メートルほどの高さだろうか。頂上には、かなり踏みしだいた跡がある。
なんとなく満月の夜に例の廃ビルを見に行った。
ビンゴだね。廃ビルの地下から人?が出てきたよ。10人ぐらいだろうか?
風下のブッシュに隠れ、様子を見る。
背丈は、120センチメートルほどで、頭には耳としっぽが見える。僕に似て短足だ。顔の作りは良く見えないが、一瞬こちらに顔が向いたときに、うーん、猫に似ているかな?。白っぽい貫頭衣のようなものを、全員が着ている。皮膚が出ている手足は、シロや黄色、クロ、橙色などがかすかに区別できる。
あ!つい、小枝を踏んでしまった。
『ぽきっ』
一斉に、こちらを向いた。
「「「ん!だれ?」」」
彼らは、僕の姿を認めると、”だれ?”と聞いてきた。
恐れとか、危険とか、逃げようとか、そんな感じが彼らから伝わってこない。襲われたり痛い目に合ったことがないのだろうか?。
それよりも、言葉が通じる。
「僕は、フリオ・マレイと言うよ。最近こちらに引っ越してきたのだ。よろしく」
「ああ、知っているにゃ。こちらこそよろしくにゃ」
頂上まで、皆の後ろを三歩引いて、一緒させてもらった。
彼らは、猫種で、ここから東へ5日ほど歩いたあたりに小さなコロニーが散在しているそうだ。全部で600人ぐらいらしい。
満月の夜には、近くの小山の上で、この星の神さまに祈りをするとのこと。
祭壇を設け、干し肉や木の実などを祭った。
「ニャー、ニャー・・・、ニャー、ウォー、ニャー・・」
四分の2拍子で、夜空に向かって歌いながら、祭壇の周りを踊る。
僕も、身体が左右に揺れて、気が付いたら踊りの中に加わっていた。
「ニャー、ニャー・・・、ニャー、ウォー、ニャー・・」
四分の2拍子で、手を打ち、足を鳴らして、祭壇の周りを踊る。
そう、たっぷり一時間ほど踊って、終わった。
「あっしは、このコロニーの長をやっている”にゃん吉”にゃ。こちらは妻と子供たちにゃ」
「楽しかったよ。また寄せてもらても良いかい?。」
「歓迎するよ。何時か君のところへ、行っても良いかにゃ?」
「もちろん」




