34.プラネタリウムを見に行こう<偽りの星々>
「じゃあ、プラネタリウムを上映するってことでいいな」
「ええ、ではさっそく、買い出しに行きましょう。色々買いたいものあるのよね」
「ああ、こんな時用に部の活動費をとっておいてよかったな」
というわけで俺達は部室を出て買い出しに行くことにした。紅がいい考えがあると言った時は嫌な予感がしていたが意外とまともでよかった。部の活動費も特になんもしてないから余ってるんだよな。外はすでに夕暮れになっていた。季節のせいか結構寒い。前のカップルとか手を繋いでるじゃん。いいなぁ。
「あー、なんか手が寒いわね。そういえば魔力が足りなくなってきたのよね……どこかに補充してくれる騎士はいないかしら」
「はいはい、素直に手をつなぎたいって言えばいいのに」
どうやら紅も同じ思いだったようだ。ちらちらとこちらを見てくる紅に、俺が意地の悪い笑みを浮かべると手の甲をつねってきやがった。抗議の視線を向けると彼女は顔を真っ赤にしながら口笛を吹いていた。照れ隠しにしてももっとない? 今時暴力ヒロインは流行らないぞ。まあ、せっかくだし手を繋いであげるとしよう。
そして俺達は買い出しに出たショッピングモールに到着した。なんか紅が色々胡散臭い雑貨屋さんで、胡散臭いものを買ってるけど大丈夫かな? 俺達プラネタリウムの材料買いに来たんだよね? ていうかこの店なんなの? アーサー王伝説に出てくる円卓の破片が3000円とかで売られてるんだけど……絶対本物じゃないだろ……でも何故かむちゃくちゃテンション上がるな。ノーマークだったぜ。今度お小遣いでたら買いに行こう。
「大体こんなものかしら、神矢は買いたいものとかある?」
「特に買いたいものはないが、偽りの星々の輝きをみたいな」
「あー、なるほど。確か屋上にあったわね。出し物の参考にするのね。確かに現物を観たほうが作るときの参考になるわね」
そうして俺達はプラネタリウムを見に行くことにした。まあ、部活うんぬんは半分言い訳で、彼女になった紅と放課後デートっぽい事をしたかったって言うのが本音である。紅は星とか好きっぽいしちょうどよいのかなと思う。
プラネタリウムに入り俺達は隣り合って着席した。紅は子供のように目を輝かせながら開始を待っているようだ。可愛らしいなと思いながら俺は紅をみつめる。
室内の照明が消え天井に星々が輝いてナレーションと共に星座の説明がされる。個人的に星座って厨二心くすぐるよなって思う。オリオン座とかあるように神話とかにもつながるしな。などと思っていると手のひらに暖かさを感じた。なんだろうとみると紅の手が俺の手を包んでいた。彼女の顔は見えないが今頃真っ赤になっているのではないだろうか。俺はにやにやしながらプラネタリウムを楽しんだ。
「あー、楽しかった。本物もいいけど、こういうのもいいわね、この前撮った写真の星を映して説明するとかありかもしれないわね」
「だなー、天草先輩がオタク狙いならこっちはカップルや女子ウケがいいようにしよう」
まともにやりあったら準備期間があった天草先輩には勝ちにくいだろうからターゲットをずらすしかないだろう。俺達はカフェに入り作戦を話し合った。もちろん手は繋いだままだ。いつか恋人とここのプラネタリウムに行ってカフェでお茶と言うのをしてみたかったのだ。
「私が星が好きで、恋人になっても観に行きたいって言ってたの覚えてくれてたのね。ありがとう」
「ああ、俺はお前の騎士だからな。お前の叶えるためならなんでもするよ」
やっべえ、単にプラネタリウムをみたいなって、軽く思っただけなんだけどいまさら言い出せねえ。紅すっごい感動しているよ、もしばれたら満面の笑みが、ゴルゴーンのように形相になりそう。気分はアルテミスに浮気がばれそうなオリオンである。なんとか話題を変えよう。
「何を飲もうかー」
「そうね、結構種類があるわね。私は血の滴る液体を所望するわ」
「ここは学校近いぞー、ジキルとハイド、あっ、コーヒーとトマトジュースをお願いします」
指をパチンと鳴らし店員を呼んだ。店員は俺をスイッチを押せよって言う目で見た後、紅の言葉に何言ってんだこいつ? みたいな顔をしていたが気にしないでおこう。こっちのがテンションあがるんだよ。
改めて紅の買ったものをみてみる。サソリの形をした置物を買ったり、白いローブのような服を買ったりしてるんだけど何に使うんだろ。まじで嫌な予感した気がするんだが。
「でも、そのサソリとかなんにつかうんだ?」
「プラネタリウムに決まってるじゃないですか?」
「えっ?」
「えっ? だって私達オリオン座を撮影しましたよね」
きょとんとした顔をした紅を見て俺は考える。いや、わかった……そういうことか……オリオン座にサソリか……さすがは魔女だせ。確かにただのプラネタリウムよりこちらのが俺達らしい。
「なあ、紅よ、俺は何を作ればいい? 弓矢とかいるか?」
「そうですね、一本くらいはあった方がいいと思います」
そうして俺達の会議は進む。色々作ったり天草先輩にお願いすることは増えたが楽しい文化祭になりそうだ。久々に武器を作るの楽しみだ!!
神矢の甲冑や武器は基本自作です。
オリオン無茶苦茶強くないですか? 欲しいけどカイニスや年始のガチャまでガチャは我慢……
コメディの短編を書いてみました。仲良い友人が男の子か女の子かわからないので何とかしてどちらか確かめようって話です。読んでもらえたら嬉しいです。
シュレーディンガーのおっぱい
https://ncode.syosetu.com/n7313fx/
やたら短編書いてるなって思うかもしれませんが、ツンデレ以外のヒロインも書けるようになりたいなって思って練習をしているのでこういう系のヒロインの話を読みたいってリクエストがあれば書くかもしれないです。お気軽にどうぞ。