表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Is  作者: 遠奈 都
19/20

それは未知の

ここしばらく俺を悩ませていた問題は驚くほどあっさりと解決し、あとは良い返事を待つだけだ。そんなすっきりとしたはずの心境とは裏腹に雑然とした部屋へと帰りつく。

帰宅するまでの間に俺の心の中もさっきまでの勢いを失い、不安ばかりが頭をよぎる。


今月のご請求予定金額

115,328円


机の上には、昨日届いたクレジットカードローンの利用明細が広げられたままだ。


お母様はああ言ってはいたが、俺はそれに相応しい人間なのだろうか?

横山さんほどの女性であれば、いくらでも好意を抱く相手はいたであろうし、それに引き換え俺は自分の事ばかりを考えて生きてきたあげく、彼女がいたためしもない。そんな俺がお母様の期待に応えられるはずもない。


振り返れば一向に残高の減らない借金の明細票がそこにある。


何故、あんなメールを送ってしまったのだろうかとさえ思えてくる。どうせ断られるのであればがっかりしない方が良い、そう思って2週間無難なメールのやり取りをしてきたのではなかったのか?お母様に乗せられたのか?


だが、もちろんお母様がそんなつもりだったなどということは100%ありえない。

結局は言い訳を探しては何もせずに先送りにしてきたのが今までの俺なのだ。そしてそれは今も変わらない。後悔ばかりが頭の中をぐるぐるする。もしも先程送信してしまったメールをなかったことにできるのであれば、迷わずそうするであろう。


しかし、当たり前のことだが、送信してしまったメールをなかったことにすることなどできるわけもない。否が応でも結果が出るわけだ。

そしてそれは今までの俺が体験した事のない事であって、未知の世界なのだ。


プシュッ


不安をかき消すようにビールを呷る。


結局この日横山さんからの返信はなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ