こっちがそっち!?
電車を乗り継ぎ、自宅に帰る頃には時計の針は23時を回っていた。
スーツを脱ぎ捨てシャワーを浴びる。それから髪を乾かし、冷蔵庫を開ける。プシュッとしながらふと携帯に目をやると新着メール有りを意味する青いランプがついている。
From:yokoyama_XXXXX@YYY.jp
先程は突然でごめんなさい。ご迷惑ではなかったですか?
今度はもっとゆっくりお話したいですし、カラオケ行ってお茶でもしませんか?
これからよろしくお願いします。
おー♪これはもしかして脈有りですか?なんて、期待に胸を膨らませて早速返事を返す。
迷惑だなんてとんでもありません。
是非是非、一緒に行きましょう!
都合の良い日を教えてもらえればできるだけ合わせますよ。
送信と。渡りに船なメールだったこともあり、優柔不断な僕にしては珍しくすぐに送信ボタンを押す。
携帯の画面が受信BOXに戻ると新着メールがもう1通ある。
From:横山明日香
映画とっても面白かったですね。
今日は家まで送って頂いてありがとうございました。
帰り道では母が失礼しました。母はあの通りの性格ですのであまり気にしないで下さい。
もうすぐ夏ですね。お互いビールがたくさん売れるように頑張りましょう!
ということは…
状況を整理してどういうことかを考えてみるが、どう考えても答えは一つ。
最初のメールはお母様からのメールで、それに対してメールを返信した。そして次のメールが横山さんからのメールだった。これ以外の解釈はしようがない。
とりあえず横山さんにメールを返そう。
こちらこそありがとうございました
お母様明るく元気な方でしたね。
今日は俺もとっても楽しかったです。また誘ってもいいですか?
文面を考えているうちに、すかさずお母様からの返信が届く。
そういってもらえると嬉しいわ。それじゃあ来月の土日のどこかにしましょう。また連絡しますね。
どうやらお母様とのカラオケは決まりのようだ。