1 子ども部屋
マリエールは辺境伯令嬢。この国のやり方で辺境伯、侯爵、公爵の6歳の優秀な子女は一年間王宮の子ども部屋で過ごす制度がある。
1 子ども部屋
マリエールは辺境伯令嬢である。この国では独特な制度があり、辺境伯、侯爵、公爵の子女に関しては6歳から王宮の子ども部屋で一年間王子、王女と共に過ごしその中から優れた子女に関しては国王の養子、養女として王位継承権を与えるというものだ。この国には第一王子だから王位を継ぐという考え方もないし男だから継ぐという考え方もない。最終的には貴族会議の議決で決まる。だからこの王宮の子ども部屋で過ごすという事には意味がある。能力だけではない。協調性や人間としての魅力も問われる。各領地はこれはという子女を送って来る。子ども部屋に送る事は強制ではない。領地の跡継ぎと目される子どもを送る事もないし、落とされると判って送る事もない。マリエールはこの国の国王に相応しいと思われたから子ども部屋に送られるのだ。マリエールは子ども部屋の日々に心踊らせた。側近のマリアンヌに、
「ねぃ、マリアンヌ、王宮の子ども部屋でどんな日々が待っているのかしら私楽しみでたまらないわ。」
マリアンヌは呆れた顔で、
「お嬢様が期待しているような事は何も起こらないでしょうね。何しろ子ども部屋ですから。」
子ども部屋は普通貴族王族としての素養を高める教育機関としての一面がある。特に6歳の子ども達には7歳の儀で貴族王族として認められための特訓が行なわれるからそういった場にマリエール達が参加する事が推奨されるのだ。
王宮にやって来た。先ず国王に挨拶だ。
「辺境伯領から参りましたマリエールと申します。国王陛下にはご健勝とお見掛け申し上げ何よりです。これより一年間貴族王族となるための教育の場を提供して頂けるとお聞きしました。恐悦至極でございます。」
国王陛下への謁見は終わり各所への挨拶も終わった。最後に一緒に勉強するロザリア王女との面談だ。上位者ではあるが相手は子どもだ。あまり謙るものではないだろう。
「辺境伯領より参りましたマリエールと申します。これから一年間一緒に勉強しましょう。」
ロザリア王女は美少女だ。きりとした印象的な目でマリエールを見ている。
「才女とお聞きしましたわ。お互い頑張りましょうね。」
今日の任務は完了だ。明日からいよいよ課題が始まる。マリエールはマリアンヌ相手に雑談を始めた。
「ロザリア王女は良さそうな方で助かったわ。子ども部屋でいいスタートが切れそうだわ。」
マリアンヌも笑顔だ。
「ロザリア王女は非常に優秀な方だとお聞きしました。お嬢様の良きライバルになるのではないでしょうか。」
マリエールも楽しそうに、
「それは楽しみだわ。」
と答えた。
翌日からいよいよ課題だ。小さな部屋に2人分の席が用意してある。ロザリア王女とマリエールの分だ。2人が着席すると教師が入室して来た。始めは数学の時間だ。いきなり2桁3桁の加減乗除だ。マリエールには何ら問題ないがロザリアにも問題がないようだ。少数、分数の問題に入り一日目の数学が終わった。次の時間までにロザリア王女が話しかけて来た。
「マリエールさんてやはり凄いわね。このプログラム全部私に合わせてあるのよ。私ができるのは当然だけどあなたにもできるのね。分数なんて大人でも知っている人多くないと思うわ。」
成る程。貴族王族に分数が必要とは思わなかったがそういう理由でここで出てきたのか。
「数学の得意な叔父に習ったのです。お前なら判るだろうって。数学って面白いですよね。私好きです。」
それからしばらく数学談義に花を咲かせた。
ロザリア王女はとても優秀。彼女に合わせたプログラムで課題が組まれている。初回の数学の授業で分数を習った。




